前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

よくわかる日中韓150年戦争史ー「約120年前の日清戦争の原因の1つとなった東学党の乱についての現地レポート』(イザベラ・バード著「朝鮮紀行」より)

   

まとめ「東学党の乱について」各新聞の報道

イザベラ・バード著、時岡敬子訳「朝鮮紀行」(講談社学術文庫、1998年より)

「朝鮮南部の反乱(東学党)は首都の不安をかきたてていた。もっとスケールは小さいものの、このよぅな動きは朝鮮半島では毎年春になると見られるできごとではある。

二、三の地方で官僚による搾取に怒った農民が蜂起し、多かれ少なかれ暴力を用いて(死者が出ることもある)気に入らない役人を追い払ってしまうのである。

処罰はめったに行われない。国王はべつの官僚を送り、あらたなその役人はまた農民から搾取し、搾取ががまんの限度を越えると実力行使で追い払われ、ふたたびふりだしにもどる。

この東学(「東洋」または「国家主義」の意)党の乱はさらに重大な問題が生じたために見落とされがちではあるが、ソウルその他の都市部においても多数の支持者を得るほど広範に組織された、とても重要な運動だった。

きわめて明確で正当な目標を掲げており、わたしなど最初はその主導者たちを「逆徒」ではなく「武装改革者」と呼びそうになったほどである。この時点において、王権に関してはなんら問題はなかった。

東学党の檄文は国王への忠誠を敬語を用いてあらわし、ついで苦情をきわめて穏健なことばで述べ、つぎのことを忌憚なく主張している。」(232P)

朝鮮宮廷の腐敗した政治、行政の実態

➀朝鮮の官僚は私利私欲のために、民衆を苦しめている悪事についてのニュースや報告をいっさい国王の耳に入れていないこと。

②中央政府大臣、道知事、部守らは国の繁栄にはまったく無関心であり、私腹を肥やすことにばかり一生懸命で、彼らの収奪行為を取り締まるすべはなにもないこと。

③(官僚生活への唯一(道である)科挙試験は贈収賄、取引き、売買の場以外のなにものでもなく、文官としての適性をみるための試験ではもはやないこと。

④官僚たちは急速に累積しっつある国の負債にはわれ関せずであること。彼らは「倣慢で、虚栄心がつよく、姦通にふけり、貪欲である」こと。

⑤地方官職を任ぜられた役人の多くがソウルに住んでいること。そして「平和時には媚びへつらい、有事の際には逃げだして任務にそむく」こと。

そこには改革の必要性がつよく訴えられていた。外国人に対する敵意をあらわしたような箇所はひとつもなく、この檄文が外国人への敵意を念頭において書かれたものとは思えなかった。

東学党の乱の首謀者とその信奉者たちは、当初は旧式の刀と槍でしか武装していなかったものの、政府の武器庫と敗れた政府軍から奪ったライフル銃を所持するようになっていた。

流言輩語が飛びかったが、なかには事実らしいものもあった。それは、国王が東学党鎮圧のために数百人の兵士を送り、その指揮官が途中で三〇〇名の人員を徴兵して武装させた、ところが交戦中にその三〇〇名が「逆徒」に寝返り、政府軍兵士三〇〇名が殺された、そしてその指揮官は行方不明だというものである。

これにつづいて政府軍が数カ所で敗北し、重要地方官数人が免職され、東学軍がソウルに向かってきているといううわさが流れて、緊迫感はいっきに高まり、国王はソウル脱出を覚悟していると巷ではささやかれた。」(232-233P)

ーーーーーーーーーーーーーーーー

★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の

「日清戦争開戦論」を読む』(7)

「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」●

東学党の乱の拡大について、社説『速(すみやか)に出兵すべし』、『計画の密ならんよりも、着手の迅速を願う』で福沢一流の文武に通じた鋭い戦略論を展開している。

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/23490.html

日中北朝鮮150年戦争史(16)日清戦争の発端ー日本最強の陸奥宗光の外交力⑨甲午農民戦争(東学党の乱)はなぜ起こったのか。『閔族一派専横の時代』の内政の腐敗、紊乱、貪官汚吏の収賄,苛斂誅求に対する百姓一揆だった。

 http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/18578.html

終戦70年・日本敗戦史(119)

 <世田谷市民大学2015> 戦後70年  7月24日  前坂俊之 

◎『太平洋戦争と新聞報道を考える』<日本はなぜ無謀な戦争をしたのか、どこに問題があったのか、500年の世界戦争史の中で考える>⑥ http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/8766.html

 

クイズ『坂の上の雲』(資料) 『ニューヨーク・タイムズ』の『日・中・韓』三国志⑤1895(明治28)年1月20日付<朝鮮の暴動激化―東学党、各地の村で放火、住民殺害、税務官ら焼き殺される。
朝鮮王朝が行政改革を行えば、日本は反乱鎮圧にあたる見込―ソウル(朝鮮)12月12日>

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/3270.html

日本リーダーパワー史(632)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(25)   『川上操六参謀次長と日清貿易研究所設立の荒尾精③<日清戦争勝利の秘密―清国兵出兵の第一報をもたらした鐘崎三郎の活躍>

 http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/13032.htm

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報(396)『日本のメルトダウン』『21世紀は「情報戦争」「サーバー戦争』の時代ー「サイバーセキュリティ」こそ最重要課題』

速報(396)『日本のメルトダウン』     ●『21世紀の …

no image
日本メルトダウン脱出法(866)『世界のCEOが選んだ尊敬するリーダー第1位! チャーチルの不遇と成功』●『2025年問題」をご存知ですか?~「人口減少」「プア・ジャパニーズ急増」…9年後この国に起こること』●『アベノミクスの「頭打ち」を示す二つの証拠〜その限界は5月にはっきりする!?』●『ウソで固めた「中国経済」大崩壊〜空前の倒産ラッシュ、各地で発生する「報道されない暴動」』

日本メルトダウン脱出法(866) 世界のCEOが選んだ尊敬するリーダー第1位! …

no image
高杉晋吾レポート⑱ルポ ダム難民②超集中豪雨の時代のダム災害②森林保水、河川整備、住民力こそが洪水防止力

高杉晋吾レポート⑱   ルポ ダム難民② 超集中豪雨の時代のダム災害② …

no image
日本メルトダウン脱出法(714)「マイナス成長が明確に示す経済政策の根本的誤り(野口悠紀雄)」「日本の「平和」論者の暴力的な理屈ー単に戦争のない状態が平和なのか(古森義久)」

                 日本メルトダウン脱出法(714) マイナス成長 …

no image
日本風狂人伝⑤ 三上於菟吉・奇行は酒にあり、作家は酒家よ

   日本風狂人伝⑤              2009,6,20   …

no image
★『 地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(1071)>★『北朝鮮の暴発による第2次朝鮮戦争の危機高まる!?』★『「クリスマスまでに…」トランプが安倍首相に告げた北朝鮮危機限界点 【特別レポート】電話会談で話された事』◎『「米中が組んで北朝鮮を討つ」そんなシナリオさえ現実味を帯びてきたーー利害は案外一致している』★『あまりに幼稚な左派の「北朝鮮核容認論」これでは日本が滅びる』☆『北朝鮮の暴走が止まらない‥だがそのツケも出始めて』

 ★『 地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(10 …

no image
速報(285)●『日本崩壊は不可避か?『日本経済と原発』を斬るーディープ3人座談会を開催(80分)』(4/17)

速報(285)『日本のメルトダウン』   ●『日本崩壊は不可避か?『日 …

日本リーダーパワー史(680) 『日本国憲法公布70年』 『吉田首相のリーダーシップと憲法論と神学論争』吉田が偉大なリアリストであり国際政治経済への「先見の明」があったことは確かだ

日本リーダーパワー史(680) 『日本国憲法公布70年』 『吉田首相のリーダーシ …

no image
日本リーダーパワー史(725)-『迷ったときに1粒飲めば、たちまち元気回復、 ヒットが打てる『イチロ―人生名言クスリ』 をどうぞ!

 日本リーダーパワー史(725) 迷ったときに1粒飲めば、たちまち元気回復、 ヒ …

no image
日本メルトダウン脱出法(669)「中国主導のAIIB、日本は参加すべきなのか(浜田宏一)●「人民元がアジアの主要決済通貨になる日も近い!?」

 日本メルトダウン脱出法(669) 中国主導のAIIB、日本は参加すべきなのか? …