日本リーダーパワー史(153)国難リテラシー⑩「「すべての生物は逆境の時だけに成長する」(糸川英夫)
 日本リーダーパワー史(153)
国難リテラシー⑩「すべての生物は逆境の時だけに成長する」
(糸川英夫)
(糸川英夫)
前坂 俊之(ジャーナリスト)
たまたま書斎を整理していると、古いメモ帳が出てきた。一時、その独創的な発想法にはまって読みふけったロケット博士・糸川英夫の言葉が書きつけてあった。3・11以降の日本メルトダウンの原因と、それへの対応をみていると、糸川英夫の言葉はズバリ当たっている。「なぜ事故は起きたのか」(WHY)ではなく「事故収束」「復興・再生」の「HOW TO」ばかりの大合唱なのである。やばいよ。
●「すべての生物は逆境の時だけに成長する」
イスラエルの建国の父・初代首相のダビッド・ベングリオンは『この国の60パーセントを占めている沙漠を征服し,荒野の地に人が住むようにならねば、イスラエルに未来はない』-との言葉を聞いた時、糸川は電撃を受けたようなショックを受けた。
不毛と灼熱の大地、砂漠とくらべると,山岳と森に囲まれて、豪雪地帯もある日本は暮らしにくいなどと言う人があったら罰が当たる。日本はどこに住んでいても天国のなだと思った。
同じく、次の頁には利根川進の言葉が綴られていた。
1987年、ノーベ医学賞の生理学賞を日本ではじめて受賞した利根川進博士は『なぜ、日本人にノーベル賞の受賞者が少ないのか』と問われて、次のように答えた。
●『心が自由にならない限り、モノはつくれても、世界的な研究や発明は
出てこない』
出てこない』
●「機械を動かすにはスパナと油で十分だが、人を動かすためには
金と哲学が必要だ」(本田宗一郎)
金と哲学が必要だ」(本田宗一郎)
糸川の言葉に打たれた。
『日本人には原理原則、哲学がない』-これが「日本興亡]
のキーワードはこれである。
『日本人には原理原則、哲学がない』-これが「日本興亡]
のキーワードはこれである。
そして、本をかき分けて、これも書斎の本箱の下に山積みになっている糸川英夫の『日本創成論』(1990年、講談社)を見つけ出した。日本とイスラエル、キリスト教を比較しながら「日本滅亡論」を展開しており、見事に当たっており、なるほどと感じた個所にはシオリが張ってあった。
日本人には原理原則、哲学がない。『HOWばかりで、WHYがない国』である。
『人類共通の原理・原則を発見するためには、「なぜ」(WHY)という問いかけが必要である。
「なぜ」の繰り返しなくしては、宇宙を支配する絶対的真理には到達できない。この「なぜ」と問う姿勢が、伝統的に欧米人の思考法の基盤になっている。
それに対し、日本的思考法の基盤は、「いかにして」(HOW)である。たと、えば、日米構造協議にしても、日本側は相手方の矛先をいかにしたら(HOW)うまくかわせるかに終始して、なぜ(WHY)このような問題が起こってきたかにかかわる部分はすべて素通りしてしまう』
「要するに、原理・原則、不滅の論理体系などというものは、日本人には関係なく、日本人にとって意味をもつのは、具体的な身のまわりの事実、現象にいかに対応するかということだけだというわけである」
「原理・原則をもたない民族は、過去を容易に忘れる。ユダヤ人は二千年、三千年前のことを昨日のことのように論じ合っているのに、日本では四十数年前の戦争体験も風化している。
 過去と未来をつなげるのが哲学であり、新しい科学(応用や改良ではなく基礎科学)だとすれば、
それをもたない民族には未来がないということになる」
それをもたない民族には未来がないということになる」
「ヨーロッパ人は日曜日には必ず教会に行く。そこでなにをするかというと、哲学、つまり人生や宇宙、世界のことを考えるのである。神と語り合うというのは、そういうことなのだ。
ギリシア語で余暇のことを「スコーレ」という。アリストテレスは、「われわれはスコーレをもつために働く」といっている。彼のいう余暇とは、考え、思索する時間のことであり、この「スコーレ」が「スクール」 の語源である
「スコーレ」が「スクール」 の語源であることを考えれば、そのことが容易に理解できる。そして現在のヨーロッパでは、学校は人間を完成させるために非常に重要な場所なのである」
ところが、日本の大学はみんなが行くから、いかないと恥ずかしいーと言うだけのもの、これで人間もエリートも育つわけがないではないか。
関連記事
-  
            
              - 
      
『Z世代のための百歳女性学入門⑦」★『天女・料理研究家/アートフラワー創始者・飯田深雪(103歳)の応援メッセージ』★『百歳名言10ヵ条ー「自分は今、何を果たすべきかを第一に考え実行するとき、不思議に心に充実感と幸福がみなぎります』
飯田深雪 103歳(1903年10月9日~2007年7月4日) 料理研究家・アー …
 
-  
            
              - 
      
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー「21世紀は2020年から始まる。コロナウイルス共生の「新日常」へ』★『2020年が21世紀の<ITスマホ5Gネット革命>の幕開けになる』(5月25日)
「21世紀は2020年から始まる」―コロナウイルス共生の「新日常」へ   …
 
-  
            
              - 
      
日本経営巨人伝⑬伊藤伝七ーーーわが国紡績界の創始者・三重財界の重鎮の伊藤伝七
日本経営巨人伝⑬伊藤伝七 わが国紡績界の創始者・三重財界の重鎮の伊 …
 
-  
            
              - 
      
日本リーダーパワー史(840 )(人気記事再録)-『権力対メディアの仁義なき戦い』★『5・15事件で敢然とテロを批判した 勇気あるジャーナリスト・菊竹六鼓から学ぶ➂』★『<人権と民主主義を守るため報道の自由> に貢献した「20世紀の世界の 報道人100人」に選ばれた』●『トランプ対メディアの<仁義なき戦い/死闘編>』
2013年9月13日の日本リーダーパワー史(417) 『軍部テロと …
 
-  
            
              - 
      
『オンライン入門講座/シルバーYou tuber(前坂俊之チャンネル)になる方法』★『ネット動画の時代に乗り遅れる既存メディアー 情報をあまねく広げる「個人」の出現で社会が変わる』(2012年でのインタビュー)記事全文再録)
取材場所:日本記者クラブ (インタビューの聞き手:沖中幸太郎氏) …
 
-  
            
              - 
      
★『ある国際ビジネスマンのイスラエル旅行記④』★『エレサレムの旧市街の迷路を歩く』★『発掘されたエルサレム 各統治年代によって重層化した地盤』★『究極の聖地周辺は今も大規模な発掘が進行中』★『呼び込みの激しいバザール』
2018/03/24 『F国際ビジネスマンの …
 
-  
            
              - 
      
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(15)』★『ポルトガル・リスボン旅行日記③ー『エンリケ航海王子没後500年の1960年に出来た高さ52mの白亜記念碑『発見のモニュメント』
2012/12/24 『F国際ビジネスマンのワールド・ …
 
