『野口恒の原発事故ウオッチ』①ー独立した「原子力規制委員会」と「広域放射能汚染モニタリングシステム」の設置を
『野口恒の原発事故ウオッチ①』
米国のような独立した「原子力規制委員会」と「広域放射能汚染
モニタリングシステム」の設置を提言する。
モニタリングシステム」の設置を提言する。
野口恒(経済評論家)
今回の福島原発事故に関するさまざまな貴重な情報・映像を公開・発信し、それに対して誰もが自分たちの意見や知見を発表し、議論できる「メディアサイト」をいち早く立ち上げられ、精力的に活動されておられることに敬意を表します。
管政権がやっと、中部電力・浜岡原子力発電所の稼動停止措置を決定したのはよかったと思います。しかし、それも東海地震・津波被害に対する防波壁(堅固な防潮堤・防波堤でなく、それよりも脆弱な防波壁しかないことに注意!)を作るまでの一時的な停止措置でしかなく、廃炉を目指した抜本的な措置ではないことが非常に残念です。
前坂さん、私自身はエネルギ-源としての原子力発電は、何か大きな事故が起こった場合に、人類が現在持っている知識・科学・技術の力では完全にコントロ-ルできない(制御不能)、安全性を担保できない未完成・未成熟のエネルギ-源だと思っています。
原子力発電は確かに、正常な時には大きなエネルギ-源となりますが、何か災害が起こった場合、異常が発生した時には、人類の現在の科学・技術の力では、根本的に制御不能・管理不可能なエネルギ-源でしかありません。災害時や異常時に制御不能、管理不可能になるエネルギ-源に人類の未来や将来を託す訳には絶対にいかないと思います。
東電・福島原発の事故に関しては、私の意見を言わせていただきます。
① まず、福島原発事故に関しては早急に、中立的で独立性の高い第三者機関である「原発事故調査委員会」を設置し、二度とこうした原発事故を起こさないために科学的・技術的・政策的に事故原因・背景の徹底究明を行ってもらいたい。
なぜ原発事故を防げなかったのか。想定外といった想像力の欠如や責任逃れを許さず、二度と原発事故を起こさないためにはどうしたらよいか。その抜本的な対策を提言してもらいたい。
② 既存の原子力安全委員会や原子力安全・保安院は、中央官庁の管轄下に置かれ、東電など電力会社と癒着した行政機関でしかなく、現実に今回の原発事故に際しては何ら有効なチェック機能を果たしていない。
本来規制機関である原子力安全・保安院は独自のモニタリング機能・体制を持っておらず、事故当事者である東電の発表デ-タに
依存している情けない始末です。
依存している情けない始末です。
③ 事故調査委員会において徹底的に調査し、専門家(御用学者のような官庁や電力会社に買収されたり、息のかかっている御用学者や専門家でなく、本当に中立的な立場から科学的な知見や技術的なスキルを持った専門家)による密度の高い議論を経て得られた科学的なデ-タや情報、貴重な知見は原則として国民に公開する。
そして、国の将来を決めるエネルギ-源として原子力発電をどうするか。新設・増強するのか、新設は認めずこのまま現状維持するのか、それともいっそ原発を廃止し、自然エネルギ-など代替エネルギ-の開発にシフトするのか。国民的な議論を活発に促すような、究極的には「原発国民投票」のような国民投票を実施する時に役立てていきます。
④ アメリカの原子力規制委員会のような、あるいは公正取引委員会のような国家行政組織法第3条に該当するような、独立性が高く中立的で独自の行政権限を持った「原子力規制委員会」「原子力安全評価委員会」などを内閣府に設置し、そこが原発を推進したい関係官庁や電力会社に依存せず、国の原子力行政、規制措置、安全性評価を科学的かつ客観的に行うるような、安全性を確実に担保できる中立的な独立行政機関を設ける必要があります。そこで原子力発電を継続するか、それとも廃止するかを決め、最終的に「原発国民投票」にかけ、国の原子力政策に反映させます。
⑤ それと、早急に広域にわたる放射能汚染状況を精確にモニタリングする「広域放射能汚染モニタリングシステム」を作り、そこで得られたモニタリングデ-タを国民に公開すると共に、放射能汚染が今後どの範囲まで広がり、どこまで避難すべきか。
また、どの範囲までなら安全かなど、精確なモニタリングデ-タの公開と実測デ-タに基づく予測シミュレ-ションを行うことできる信頼のできる監視体制を整えるべきです。この対策は急ぎます。米国でも、ドイツなどEUでも、こうした対策はすでに行っていて、監視体制ができています。
産業界、とくに製造業のサプライチェ-ンに福島原発がどんな被害や影響をもたらしたか、その詳細なレポ-トは、五月中に取材した結果をまた送ります。
関連記事
-
-
速報(155)『日本のメルトダウン』 ☆『イノベーションのジレンマに負けたコダック』★『金融市場に悲観まん延、実体経済にも悪影響』
速報(155)『日本のメルトダウン』 ☆『イノベーションのジレンマ …
-
-
『Z世代のための世界現代史入門講座』(23年4月20日まで)ー『混迷する世界と「チャットGPT」●『トランプ前米大統領の裁判』●『プ―チン氏の戦争犯罪』●『習近平氏と台湾有事』●『日本の話題はWBCと大谷選手に集中』★「チャットGPT」が日本の救うのか』
混迷する世界と「チャットGPT」 『米国+NATO+ …
-
-
速報(114)『日本のメルトダウン』まとめ<世界はムチャクチャじゃ>『原発放射能』『先進国の借金財政』『中国情報隠ぺい』
速報(114)『日本のメルトダウン』 ★NAVERまとめ9本!<世界はムチャクチ …
-
-
「トランプ関税国難来る!ー石破首相は伊藤博文の国難突破力を学べ②』『日露戦争開戦『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米させた」★「当時、米国はロシアを第一友好国としており、金子は渡米に反対した』★『ル大統領と親友の金子は和平講和条約の仲介役を同大統領に引き受けさせる広報外交を展開した』
2021/09/01 『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑮ 』 以下は前坂俊之 …
-
-
★『緊急スーパー台風19号の進路速報!、神奈川県逗子から②』★『逗子市の高潮警報発令で、田越川周辺の住民に自主避難所を開設(動画)』★『台風19号、静岡か関東上陸へ=7都県に大雨特別警報-1人死亡、10人重軽傷 (10/12/pm16/)』
  …
-
-
クイズ『坂の上の雲』(資料) 英紙『タイムズ』が報道する『日・中・韓』三国志③<朝鮮統治のむつかしさ>
クイズ『坂の上の雲』(資料) &nbs …
-
-
日本リーダーパワー史(144)国難リテラシー・66年前の『大日本帝国最期の日』昭和天皇・政治家・軍人はどう行動したか②
日本リーダーパワー史(144) 国難リテラシー・6 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(71)記事再録/『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉞ 『自立』したのは『中国』か、小国「日本」か」<1889(明治22)4月6日付>
2014/08/11 /『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓 …
-
-
日本リーダーパワー史(606)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』②「ペリー黒船来航情報を無視、無策で徳川幕府崩壊へ②「オランダからの来航予告に対応せず、猜疑心と怯惰のため時間を無駄にすごした」【勝海舟)
日本リーダーパワー史(606) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』② (開国 …
