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『世界サッカー戦国史』③『15世紀から20世紀にかけて世界中の国々がヨーロッパ列強の植民地のなり、そこでハイブリット化したサッカーが誕生した』★『ブラジルはポルトガル領に、アルゼンチンはスペイン領』

      2018/07/16

『世界サッカー戦国史』③

 

この連載のタイトル通り「サッカーと戦争」は深い関係にある。今回のロシア大会の出場国、強豪チームに南アメリカ、アフリカが多いが、いずれも15世紀中ばから、17世紀中期まで続いた大航海時代以来のヨーロッパ各国の植民地となった国々であり、その中でうまれたスポーツでなのである。

この植民地の歴史のおさらいをすると、サッカ―強豪国の分布がよくわかる。ヨーロッパの強国でも南米、アフリカの旧植民地からのきた選手が多く入って、中心的な活躍をしているのが目につく。

スペインとポルトガルの大航海時代の世界支配

 

ヨーロッパにとって、地政学的にはユーララシア大陸の最も遠い東端に位置するのが日本である。その日本の存在をマルコ・ポーロの『東方見聞録』によって〝黄金の国ジパング〟 として初めて知ったヨーロッパ人は〝ジパング″へ大きな関心を示した。

中国伝来の羅針盤の精度を上げて長期航海できる帆船を建造し、ジパングの黄金とインドの香辛料などの獲得をめざして、海洋国のポルトガルとスペインがいち早く未知の大海原へ乗り出し、大航海時代の幕を切って落とした。

ポルトガルのヴアスコ・ダ・ガマ(一四六九~一五二四)は一四九七年に南アフリカの喜望峰を発見し、アフリカ南岸を通ってインドに渡る航海ルートを開いた。

一四九二年にスペインのコロンブスはアメリカを発見。マゼランは一五一九年に五隻のスペイン軍艦で、マゼラン海峡を通って西回りで世界一周する航海に成功した。

マゼランが「地球は丸いこと」を実証したことから大航海時代は決定的になり、続々とヨーロッパの宣教師たちがキリスト教の布教、ミッションに乗り出した。さらに冒険家、探検家、山師、軍人たちが続いて、金銀財宝や奴隷、宝物、珍しい食べもの、資源、物産をもとめて見果てぬ地に繰り出した。サッカーの遊びもこの時に伴った。

ブラジルはポルトガル領に、アルゼンチンはスペイン領に

一四九三年、ローマ法王は教書によって、新発見の未開地について西経三八度線をもってポルトガルとスペインの領土境界線とした。東をポルトガル領、西をスペイン領と世界を二つに分割し、南アメリカではブラジル以外はスペイン領となった。

アジアではニューギニア島中央の東経一四四度三〇分に線を引き、東はスペイン領、西はポルトガルに分割して、世界を支配した。

 

一五〇〇年にポルトガルはブラジルを発見。アジア方面で1152年にマラッカを領有したあとはマカオ、長崎にまで貿易圏を広げ、ポルトガル商人が1543 年(天文12)に種子島に漂着して、鉄砲を伝えた。この鉄砲戦術をうまく使った織田信長が長篠の戦いで武田勝頼の騎馬軍団を壊減させ、西洋の文明、技術は戦国統一の大きな原動力となった。

スペインは1521年のコルデスによるアステカ帝国の征服、1533年のピサロによるインカ帝国征服により、十六世紀から十九世紀初頭にかけて北アメリカ南西部、南アメリカ(ブラジルを除く)全体に大植民地帝国を築きあげた。

この間、インカのマヤやメキシコの何百万の原住民が、鉄砲やヨーロッパからもたらされた伝染病、梅毒などでジュノサイドに追い込まれた。今に残るマチユピチユ遺跡などのインカ帝国の世界文化遺産は、その民族虐殺の悲劇のモニュメントである。

今回、ポルトガルを2-0で破り、ベスト8位に進出したウルグアイは1726年スペインの植民地となり1828年に独立。20世紀に入り、最後となった内戦に勝利した後、スイスモデルにした社会経済改革が実行し、「南米のスイス」を目ざし、福祉国家となった国である。

こうしてスペインとポルトガル両植民帝国は、十五世紀から十六世紀前半にかけてインド洋と太平洋の先駆的航海者として、またアメリカ大陸の最初の上陸者として大航海時代での世界覇者となった。

 

ヨーロッパ列強に蚕食されたアフリカ

ヨーロッパ列強によってアジア・太平洋諸地域が分割統治され、植民地になったあと、残されたのは〝黒い大陸″ アフリカである。

十九世紀後半、宣教師たちの情報によってアフリカ争奪戦が繰り広げられた。列強が派遣した少数の軍隊は、マキシム機関銃などを装備しており、旧式銃しか持たないアフリカ軍の大部隊を簡単に撃ち破った。そして労働力の確保と称して〝金儲けになる〃黒人売買、どれい奴隷貿易がおこなわれた。

原住民たちは有無をいわざず強制運行され、南北アメリカに売りとばされて、強制労働に従事させられた。この結果、アフリカの人口は六千万人も減少したといわれる。

ヨーロッパ人によるアフリカ人の奴隷売買、アメリカ政府による先住民インディアンの虐殺、オーストラリアでのアボリジニの虐殺は人類史上最悪の 「ジェノサイド」 (民族皆殺し) として、歴史に大きな汚点を残した。

一九一四年の第一次世界大戦開戦までの二十年間にアフリカの全陸地面積の約八五パーセントが、イギリスを筆頭に、フランス、ドイツ、アメリカ、ベルギー、オランダ、イタリアなどの植民地となった。

奴隷売買によってアフリカ大陸の多くの地域では、伝統的なアフリカ部族や種族の社会構造が壊滅的に破壊された。これが原因で、そこに居住する人間同士の生活基盤は根底から崩壊した。

イギリスはこのアフリカ争奪合戦でも勝利をおさめて、南アフリカ (植民地化は一.八七九年)、ナイジェリア(一九〇三年)、ウガンダ(一八九六年)、ガーナ(一九〇二年)、ケニア(一八八八年)、ザンビア (一八八九年)、タンザニア (一八九〇年)、ナミビア (一九一〇年)、モーリシャス 二八一四年)などを次々に植民地として、大英連邦を築き上げた。

そして、植民地の遊び、スポーツとしてサーカーはボール1つあればどこでも簡単に遊べるサッカーは人気スポーツと化していった。

つづく

 - IT・マスコミ論, 戦争報道, 現代史研究

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