『忘れ去られた近現代史の復習問題』―『日清戦争の引き金の1つとなった『明治19年の長崎清国水兵事件とは何か』
2017/04/24
『忘れ去られた近現代史の復習問題』―
日清戦争の引き金の1つとなった『明治19年の長崎清国水兵事件
とは何か』
長崎清国水兵事件
1885年(明治18)8月1日、清国北洋艦隊水師提督・丁汝昌は「定遠」、「鎮遠」、「威遠」、「済遠」の鉄甲船巨艦四隻を率いて長崎港に入港した。同時にロシアの東洋艦隊も旗艦ウラジミル・マーマック号に同国海軍大臣セスタコフが坐乗して入港しており、さらに英国艦隊九隻が近距離の対馬沖で目を光らしていた。
当時英国は朝鮮沖の巨文島を占拠しており、ロシアは朝鮮の東北にあるラザノフ港をねらっていた。露国の野望を見抜いて朝鮮を属国視している清国は、ロシア東洋艦隊がウラジオ出港したという急電が入り、丁汝昌の北洋艦隊をしてこれを尾行させたともいわれた。
また一方、清国は琉球独立の黒幕となって、すでに艦隊の一部は琉球に入り、丁汝昌も近く琉球に向うともいわれていた。やっと明治維新によって開国したアジアの後進国・日本の国力、海軍力などないに等しく、英、露、清などからは全く無視されていた。
この時、長崎清国水兵事件がおこった。
8月13日夕、清国水兵五名が長崎寄合町の丸山遊廓『楽遊亭』で娼妓をあげ遊興した後、外で食事をしてまた帰ってくるといって出ていった。午後八時ごろ別の清国水兵五名が酔ってはいり込み、店員が『部屋が全部ふさがり遊女もいない』と断ったのを押しきって登楼した。
そこへ先きの清国水兵五名が帰ってきて、遊女に迎えられ各自部屋に入っていったから、後から来た連中は納まらない。わけを説明するにも言葉が通じぬ。怒った清国水兵はもっていた日本刀をふり回し、金襖をつき破り、火鉢をなげつけて暴れるので、丸山町派出所へ訴えて出た。
黒川小四郎巡査がかけつけ説諭しょうとすると、五人は同巡査を突き飛ばして出ていった。間もなく今度は十五、六人の集団となった清国水兵がきたが、そのうち乱暴した一人が交っているのを認めた黒川巡査がその水兵をひきずり出そうとして乱闘になり、さきの水兵は日本刀で同巡査に2度斬りつけた。
黒川巡査は重傷のまま日本刀をもぎとり逃げる相手を追い船大工町路上で再び格闘中、かけつけた同僚巡査に取押えられた。この水兵は王祭(25)で頭部に一ゕ月の重傷を負った。
日下長崎県知事からこの事件は政府に急報され、伊藤総理の命で寺原警保局次長は四十余名の警官をつれ横浜から海路、長崎へ急行した。一夜あけた八月十四日、長崎市内は清国水兵が多数横行して不穏な空気が流れたが、別に衝突もなく、その間、彼らはみやげものや刀剣類を買いあさっていた。
15日午前8時ごろ、海岸通りの広馬場派出所で福本巡査が立番中、清国水兵四、五人が通りかかり、同巡査の前で放尿したのでこれを制止すると、路上のスイカの皮を拾って同巡査の顔をなで、さらに巡査を囲んで袋叩きにした。この清国水兵の集団暴力をみていた市民が怒り出し、ついに〝白ドッポー組″という車夫を中心とする威勢のいい一団が立ち上った。
『水兵危うし!』とあって上陸していた清国士官が警笛を鳴らし水兵を集合して〝白ドッポー組″と乱闘となった。清国水兵は日本刀や青竜刀を抜き、ドッボー組も日本刀や出刀庖丁で立ち向かい、斬りあいとなった。
この時、清国の貿易商や支那料理屋の二階から清国水兵のため刀剣類が投げられたので、水兵たちは優勢となり、ドッポー組や警官隊をじりじり追い詰めた。
警官隊はこれまで帯剣をかたく戒しめ無手で対抗していたが、ついに清国水兵のために梅ガ崎署まで押込まれたので、江口峰吉署長は「抜剣」を命じ、警官隊は一斉に躍り出し、ここに日清の市街戦までに発展した。
この乱闘は夜半までつづいたが、清国水兵たちの軍艦引きあげて、市街戦となった市内各地も一応収まったが街のあちこちには血まみれ姿が横たわっており、清国水兵たちは大浦のドイツ人ホテルを仮収容所として手当を施した。
長崎始審裁判所で取調べにかかった。相手が外国人であるため、清国領事の立会いを求めたが、ようやく十六日午前二時になって領事葵幹がやってきた。しかも、それが支那式の大ゲサなもので、行列の先頭に「大清国領事街門」と大書した高張提灯一対を押し立て、その後から網羅をうち鳴らしている尊大さである。
双方の臨検が終った時はもう朝になっていた。日本側は死者一名、負傷者二九名、清国側は死者八名、負傷者四二名であった。
結局、事件は外務省に移され、取調局長・鳩山和夫は外務省顧問米人デ二ソンを同伴長崎に出張、清国側から日本駐在参賛官・楊枢が顧問英人ドラモンドを同伴してきた。
双方審理の結果は、水兵の王葵逮捕の際、警官が捕縄を用いず普通のワラ縄を用いたのは、清国軍人を侮辱したもので、非は日本側にありということになった。その結果、賠償金を日本側から五万五千円、清国側から一万五千五百元を支払うことで和議は成立したが、この外交談判には国民は承知しなかった。
もともと事件は清国水兵の乱暴狼藉から起ったものなのに、日本側が清国以上に賠償した伊藤内閣の軟弱外交に世論は沸騰し、『傲慢清国』に対する批判が高まった。
<参考文献『世相と事件史、日本の1世紀』全日本新聞連盟編 同連盟刊 1968年≫
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日本リーダーパワー史(616)
日本国難史にみる『戦略思考の欠落』➉
『日中韓はなぜ誤解、対立,衝突を重ねて戦争までエスカレートさせたか」ー
日清戦争の真実②日清戦争の遠因となった長崎清国水兵事件
http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/12316.html
日中韓150年戦争史–日中韓パーセプションギャップの研究(80)
伊藤博文、井上馨ら歴史当事者が語る日清戦争の遠因の長崎事件(長崎清国水兵事件)について
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/4956.html
日清戦争の遠因となった長崎事件(長崎清国水兵事件)ー2資料紹介
「頭山満と玄洋社物語」(続)(平井晩村著 大正4年刊)
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/4297.html
<日中韓150年三国志―尖閣問題のル―ツの研究>
『日清戦争勃発に至る<日中誤解>(パーセプション・ギャップ)の研究―
強大な軍事大国・清帝国に対して小貧国日本の海軍力増強と長崎清国水兵事件の勃発』②
◎<歴史は繰り返す、歴史を凝視し未来の道標にせよ>
http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/1824.html
日中北朝鮮150年戦争史(22)
『日清戦争の原因となった長崎水兵事件のすべて』清国海軍は「砲艦外交」(Gunboat Policy)
の威圧デモを 繰り返し日本は震え上がる。
尖閣、南沙諸島をめぐる中国軍の威嚇・暴圧行動パターンは昔も今も変わらない。
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/19132.html
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