前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-「日英同盟の影響」⑭ 1902(明治35)年11月8日『米ニューヨーク・タイムズ』 ●日露戦争開戦2ゕ月前『満州を条約をうまく利用して占領、開発したロシア』★『嫉妬深い日本ですら,ロシアの領土支配に武力で立ち向かおうとはしないだろう。ロシアの支配権はそれほど確立しているのだ。』

      2016/12/01

    

★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-

「日英同盟の影響」⑭

1902(明治35)年11月8日『米ニューヨーク・タイムズ

                『満州を条約をうまく利用して占領、開発したロシア』

 ➀ロシアは,条約上の義務がある以上,満州から撤退したとはいえ,この国を確実に支配できるように事前に配慮していた。

② 支配するに値する満州の全域の完全で有効な軍事支配権をロシアは持った。

③ こうして得た支配権をロシアに維持させない方法はなさそうだ。ロシアは口先では約束の履行を唱えながら,それを望み通り破ることに専念していると非難することも当然できる。

 ④ 嫉妬深い日本ですら,ロシアの領土支配に武力で立ち向かおうとはしないだろう。ロシアの支配権はそれほど確立しているのだ。

 

満州におけるロシア満州でのロシアの動きを伝える驚くべき報告がロンドン・タイムズ紙北京通信員によって同紙へ送られ,われわれは数週間前これに論評を加えたが,この報告はヨーロッパ大陸の新聞に注意を喚起した。これが注目を引き,それに報いるものであることは予期されていた。

 この通信員が暴露した要点を言えば,ロシアは,条約上の義務がある以上,満州から撤退したとはいえ,この国を確実に支配できるように事前に配慮していた。これを実行する根拠となったのは,ロシアはその鉄道線路を防衛する権限を与えられるという,これもまた条約に定められた条項だ。

支配するに値する満州の全域の完全で有効な軍事支配権をロシアが持てるように,ロシアはこの条項を解釈し,その通り実行した。満州鉄道は大半の鉄道よりずっと「一直線」に近く,新しい国々を開発するために建設される大半の新しい鉄道と比較してもそうなのだ。

しかしそれでも,ロシアの占領の結果出現した新しいすべての町だけでなく,ロシアの支配の主な障害となっている中国の古くからのすべての都市もまた,ロシア軍の駐屯地のいずれかの攻撃距離こあり,支配できる距離にある。

 こうして得た支配権をロシアに維持させない方法はなさそうだ。ロシアは口先では約束の履行を唱えながら,それを望み通り破ることに専念していると非難することも当然できる。

だが,嫉妬深い日本ですら,ロシアの領土支配に武力で立ち向かおうとはしないだろう。ロシアの支配権はそれほど確立しているのだ。

 

 

 また実際,ロシアの支配が非難される理由がないのも理の当然だ。ロシアによる中央アジアの汗たちの領民の支配の方が,ロシア人が来る前の支配よりも彼らにとって,そして全人類にとって悪いことだとあえて主張する者はいない。

われわれは,この方が満州人による支配よりも満州にとってましだろうと認めなくてはならないようだ。

 

ロシアがロシア自身の有する以上の高い文明を征服地に授けられないこと,とりわけロシアの支配は「開放された門戸」の閉鎖を意味することは明らかに不幸だ。

しかし遺憾なことに,後者の欠点はアメリカ人がまともに言い立てることのできない欠点だ。

われわれは公平で平等な条件で牛荘の「わが」港への入港が許されているか,あるいはじきに許され,改革されていないロシア人の「搾取」と強奪に反対して争うのは改革された中国人だけとなるだろう。

見たところ,これだけしかわれわれには要求する権利がなさそうだ。ロシアの税関がなくなれば,われわれが満州の「後背地」へ入り込めるかどうかは,わが商人の企業心と.それから確かに内外のわが当局者の支援の程度によって決まるだろう。

 - 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報「日本のメルトダウン」(502) ●日米中韓100年戦争のデジャビュー「秘密保護法は軍事小国・日本の「必要悪」(佐々淳行氏)

    速報「日本のメルトダウン」(50 …

no image
★「冷戦終結のベルリンの壁崩壊から30年、今、再び「新冷戦」の時代へ」

                前坂 俊之(ジャーナリスト) &nbs …

『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交の研究➂』-★「日露開戦までのいきさつ④」★『『明治天皇のリーダーシップ①』 大津事件で対ロシアの重大危機・国難を未然に防いだ 明治天皇のインテリジェンスとスピーディーな決断力に学ぶ(上)

  2019/09/21  『リーダーシ …

no image
終戦70年・日本敗戦史(118)日清戦争はなぜ起きたのか⑤ー日中韓パーセプションギャップの対立から戦争へ② 原因としての長﨑清国水兵事件、防穀令事件、金玉均暗殺事件

 終戦70年・日本敗戦史(118)                   <世田谷 …

no image
日露300年戦争(2)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真相』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した⑵』

★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した⑵』  その侵攻ぶりを、当時の長崎奉 …

no image
日本の「戦略思想不在の歴史」⑭「ペリー米黒船はなぜ日本に開国を求めて来たのか」<以下は尾佐竹猛著『明治維新(上巻)』(白揚社、1942年刊、74-77P)>『開国の恩人は、ペリーではなく金華山沖のクジラである』

  <以下は尾佐竹猛著『明治維新(上巻)』(白揚社、1942年刊、74-77P) …

世界/日本の最先端技術『見える化』動画チャンネル ★「10分で早わかり、 チャツトで仕事はどうかわる」『NEO JAPAN のChat Luckのプレゼン「電話・メール・チャットのメリット、デメリット比較」はよくわかる

             世界、日本の最先端技術『見える化』動画チャンネルー J …

no image
太平洋戦争プロパガンダ傑作集・戦時国策標語はこれだ

1 静岡県立大学国際関係学部教授 前坂 俊之 太平洋戦争中の傑作コピ-といえば「 …

『オンライン/日本議会政治の父・尾崎咢堂による日本政治史講義②』ー『売り家と唐模様で書く三代目』②『80年前の1942年(昭和17)の尾崎の証言は『現在を予言している』★『 浮誇驕慢(ふこきようまん、うぬぼれて、傲慢になること)で大国難を招いた昭和前期の三代目』

    2012/02/24 &nbsp …

no image
『働き方改革』EXPO(幕張メッセ、9/16-18)の取材で発見した「スーパープレゼン」-「(株)スタジアムのWeb面接・録画面接システムの『インタビューメーカー』はすごいよ」

日本の最先端技術「見える化」チャンネル 『働き方改革』EXPO(幕張メッセ、9/ …