日本敗戦史(44)「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕<ガラパゴス日本『死に至る病』東條首相誕生の裏側➂
2017/08/16
日本敗戦史(44)
「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕
<ガラパゴス日本『死に至る病』➂東條英機自身も仰天した
組閣の大命降下ーー 東條首相誕生の裏側➂
『昭和天皇独自録』によると昭和天皇は、「九月六日の御前会議の内容を知った者でなければならぬし、陸軍を抑え得る力のある者であることを必要とした。
会議の内容は極秘となっているから、内容を知った者と云へば、会議に出席した者の中から選ばねばならぬ。
東條、及川海相、豊田外相(海軍身)が候補に上ったが海軍は首相出す事に絶対反対であったので、東條が首相に選ばれる事になった。
よく陸軍部内の人心を把握したのでこの男ならば、組閣の際に、条件さへ付けて置けば、陸軍を抑へて順調に事を運んで行くだろうと思った」と経緯を述べている。
天皇、木戸とも東條を高く評価しており、天皇が「虎穴にいらずんば、虎児を得ずだね」と木戸に漏らしたのも、東健への厚い信頼からであった。。東久邇宮は驚いて、「日米開戦論者の東條をなぜ推薦したのか」と日記で疑問を呈した。
米側も陸軍最強硬論者の東條内閣の出現に戦争必至との体制をとる結果となる。こうして開戦内閣は誕生したのである。
総理となったカミソリ東條は、天皇の指示を忠実に実行し、今度は開戦派から和平派に立場を変えて日米和平の可能性を探り始める。九月六日の御前会議をいったん白紙還元して見直す作業を行い、連日、寝る時間もけずって連絡会議で開戦回避の方途を探った。しかし、客観情勢に変化があったわけではなく、石油禁輸によって生命線の石油は日々底をついており、座して(戦わずして)死を待つよりも万一の勝利を期待してでも、戦った方がよいという考えが大勢を占めていった。
十一月二日夜、東條首相は天皇に再検討の結果、御前会議の決定は白紙撤回できず、同じ結論になったとを泣きながら報告した。
「ジリ貧をさけようとして、ドカ貧にならぬように注意すべきだ」との米内光政元首相などの警告も届かない。天皇も、いざここまで来て戦いを避けると、世論が憤激して陸軍強硬派が暴発してクーデターを起こして国内は内戦になるのでは、と危惧して沈黙する。
天皇も、政府も、海軍、外交当局者も開戦回避を願いながら断固命をかけて阻止する勇気を持たず、様子見を決め込んで現実に追従し、ここまでくればやむを得ない、と状況に押し流されていった。総無責任体制に陥っていたのである。
十二月八日、真珠湾奇襲攻撃で日米戦争は火を噴くが、その前日の七日未明、首相官邸の寝室から東條の号泣が聞こえた。
驚いた妻のカツと三女が部屋をのぞくと、東債は皇居に向かいフトンに正座してただ一人で泣いており、それがだんだん号泣に近くなっていく
様子を目撃したという(保阪正康著『昭和陸軍の研究』上巻・朝日新聞社1999年11月刊)。
透徹した世界観、長期ビジョンは欠如しているが、目先の事務能力にたけ、カミソリ、能吏、軍人官僚の典型といわれた東條は、その結果のゆきつく先の敗北という暗い予感に恐れおののいたのである。
(保阪正康著『昭和陸軍の研究』上巻・朝日新聞社1999年11月刊)。
つづく
関連記事
-
-
日中韓異文化理解の歴史学(1)(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く(連載70回中1ー20回まで)★『申報、英タイムズ、ルー・タン、ノース・チャイナ・ヘラルドなどの外国新聞の報道から読み解く』●『朝鮮半島をめぐる150年間続く紛争のルーツがここにある』
『中国/朝鮮行動学のルーツ⑦』中国紙「申報」の論説から 日中韓150年戦争史 …
-
-
知的巨人の百歳学(155)/記事再録/百歳学入門(46)原安三郎(98歳)「いつでも平常心を持って急迫の事態にも冷静に対応し、判断せよ」長寿10ヵ条とは
2012/08/11 百歳学入門( …
-
-
日本メルトダウン脱出法(837)『習近平氏 対日強硬論の火消し役として側近起用』●『超A級の秘密書類持つ元中国共産党幹部の弟、米政府庇護下に』●『オバマ政権最後の今年、中国は尖閣に攻撃を仕掛ける 、米元政府高官が警告「米国は日本を助けない」古森義久』●『米国で再び語られる北朝鮮の政権崩壊シナリオ(古森義久)』
日本メルトダウン脱出法(837) 『習近平氏 対日強硬論の …
-
-
知的巨人たちの百歳学(165)ー『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル・植物学者・牧野富太郎(94)植物学者・牧野富太郎 (94)『草を褥(しとね)に木の根を枕 花を恋して五十年』「わしは植物の精だよ」
94歳 植物学者・牧野富太郎 (1862年5月22日 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(953)ー『米中間選挙後も、トランプの「孤立主義」「単独行動主義」の暴走は収まりそうにない』★『安倍首相はサミットメンバーではメルケルに次ぐ最古参で、TPP、EUとの経済連携協定(EPA)など自由貿易を守る旗手として今こそ、安倍首相のその真価が問われている』
世界リーダーパワー史(953) 米中間選挙(11/6)は事前の予想 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(64)記事再録/『天才老人NO1<エジソン(84)の秘密>➁落第生 アインシュタイン、エジソン、福沢諭吉からの警告』★『天才、リーダーは学校教育では作れない』★『秀才、優等生よりは、落ちこぼれ、落第生の方が天才になれるのよ』
2014/07/17   …
-
-
日本リーダーパワー史(198)『政治家のスピーチ力を比較する―憲政の神様・犬養毅と小沢一郎のお粗末さ』
日本リーダーパワー史(198) 『政治家のスピーチ力を比較する― …
-
-
『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑱ 』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したか] ★★『ルーズベルト大統領だけでなく、ヘイ外務大臣、海軍大臣とも旧知の仲』★『外交の基本―真に頼るところのものはその国の親友である』★『内乱寸前のロシア、挙国一致の日本が勝つ、とル大統領が明言』
2011年12月18日日本リーダーパワー史(831)★『ルーズベルト米大統領、全 …
