『明治維新から150年(2017年)』ー『世界史の中での日清、日露戦争』アジアで唯一、 西欧列強の植民地になるのを防げた理由とは?『イギリスの東洋侵略史の要点』
明治維新から150年(2017年)
『世界史の中での日清、日露戦争』アジアで唯一、
西欧列強の植民地になるのを防げた理由とは?
『イギリスの東洋侵略史の要点』
前坂俊之(ジャーナリスト)
巨文島事件(きょぶんとうじけん)
http://sinojapanesewar1894.com/370ktonghak.html
1885年―1887年英国が朝鮮南部の小島巨文島を占領した事件。1880年代初め朝鮮をめぐって英・露の対立が激化,英国はロシアの極東艦隊の日本海への回航阻止のため1885年この島を占領し砲台を築いた。英国の進出はロシアを刺激し,かえって朝鮮の一部を占領しようとした。この対立の間に,清朝は有利な地歩を占めようとし,ロシアに朝鮮占領の意図のないことを宣言させたうえで,1887年英国軍を巨文島から撤退させた。
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この巨文島事件(明治18年)が起こった際、陸軍参謀本部は寝耳に水の大慌てで、なすすべもなかった。山県有朋、川上操六は福島安正大尉に調査を命じ、福島がその歴史、背景を報告したもの中の、一部が次のものである。イギリスのアジア侵略の歴史を簡単にまとめて、参考になるので以下で引用する。(島貫重節『福島安正と単騎シュイベリア横断』(上)原書房、1979年、101-103P)
『イギリスの東洋侵略史の要点』
- 1588年、英国艦隊がスペインの無敵艦隊を撃破して世界一の強大な海軍国となった時点から世界情勢は一変してしまい、これより後は英国が海軍力の実力にものをいわせて1600年、インにに東インド会社を創設してインド侵略の第一歩を踏み出すことになった。この時は日本の関ケ原の戦闘のあった年であり、実に徳川幕府発足の直前の時代の出来事であった。
- 英国のインド侵略にならって、オランダ、フランンスの両国も同じく東インド会社を創立し、これによりインドは完全に欧州三ヶ国のえじきとなってしまった。しかし1700年の英国の産業革命、1776年の米国独立、1789年のフランス大革命、次いでナポレオンが1804年皇帝となって欧州は混乱と戦争に明け暮れた関係で、欧州列強によるアジア侵略は一時的にストップした。
- ナポレオンが1815年、ワーテルローの戦闘で敗れて欧州の天下が一応の平静に復帰するや、英国の東洋進出は再び活気を呈し、1819年には遠く印度を越えてシンガポールを占領、続いて英国は1824年に第一回のビルマ(ミャンマー)戦争を仕かけ、そして一八四〇年には遠く支那(清国・中国)にまで来襲してアヘン戦争を仕掛けてついに支那(中)から香港を奪取してしまった。フランスもこれにならい1862年に交趾支那(越南、ベトナム)を占領してしまった。
- 明治2年(1869年) スエズ運河の開通によって欧州からインド洋を経て東洋に進出する経路は画期的に時間短縮(スピード)の時代を迎えるに至り、これより英仏等の海軍は競争してアジア侵略に乗り出すことになった。
思えば日本の明治維新は偶然にも米艦(ベルリ)の浦賀来航(1859)以来の刺激を受けて国内の大改革を断行した機会に恵まれ、このような世界情勢の見地からすれば、まことに好機をつかんだという結果となる。
つまり、ヨーロッパから最も東(極東)のさらに海上を隔てた島国であり、地政学的に距離が最も遠かったこと、が日本が列強からの侵略を免れた第一要因である。
第2はヨーロッパ列強(英国、フランス、ドイツ、ロシア)の植民地獲得合戦がヨーロッパ、中近東を舞台に展開されており、極東日本まで手を伸ばすのがおくれたこと
第3はスエズ運河の開通(明治2年)によって蒸気鉄鋼軍艦により大兵団を送ることが可能となる前に独立して、軍備を整える時間的な余裕があったことーなどである。
結論的に言え、ラッキーに恵まれたというだけで、今後(当時は明治18年)ともこの幸運が続く保証はない、そのためにも世界情勢の正確な判断の基礎となるインテリジェンス(各国の情報調査、スパイ情報)こそ急務であると、福島安正大尉(山県有朋の伝令史)は上申書を川上操六参謀本部次長に提出していた。
- 一八七七年(明治10年)英国は遂に全インドを支配して英領インド帝国を成立させ、フランスは一八八三年(明治16年)越南(ベトナム)を保護国とし次いで印度支那(インドシナ)半島全域を仏領として支配してしまった。
これらの事件は実に2年前の出来事であったが、日本としては、以上のような従来の経緯もほとんど判っておらず、現状も知らないといった状況である。
ロシアの東方侵略史
- 一方、ロシャは英仏両国が海路からアジア進出に成功していた事例に刺激を受けて陸路より東洋進出を企図しっつあった。一八六〇年(明治維新の八年前)英仏連合軍が清国を攻め天津附近に上陸して首都北京に進撃する形勢となった時、ロシャは急に清国援助を申し入れ、即座に新式野砲七門を清国軍に提供する等の態度に出て、ここに英仏軍の北京進撃を一時中止させ、後に英仏両国と清国との仲介役を引き受けて和議成立に漕ぎつけた。
- ところが、狡猾なロシアはたちまち清国に対し仲介の代価として沿海州(ウスリー河以東の地区)の割譲を迫り、ここに北京条約を締結させて、多年の宿願としていた日本海の海岸に至るまでの地域を占領してしまった。
- ロシャは当時清国の漁港であった「海参衛」という一寒村に海軍基地を造り、この海軍基地を基礎にして東洋制覇の中心都市とするよう企図し、「ウラジオストック」(支配すべし、東洋東方を)の名称をつけた。
これによって朝鮮の東北部は直接ロシャと国境を接することになり、日本海の対岸はロシヤに奪られてしまったことを、この明治18年現在においてすら知っていない日本人
が大部分であるという情けない日本国内の事情であった―と福島は書いている。
結論として、
「以上の経緯をみると日本・朝鮮・支那の東洋の国々は南北から西欧列強の侵略の危機に立たされており、これらの実態を詳細に承知することがなくては適切な防衛対策もできない。
特に日本は西欧列強に比較して軍備も非常に立ち遅れているという理由で最初から手が出ないと諦めているものもいるが、これは大きな誤りであって、わが方の力が小才ならば、小さいほど、それなりの彼らの弱点や彼等相互の牽制関係、特に支配された住民たちの抵抗運動等、利用すべき方策は必ず存在するものである」と戦略提言している。
現在の北朝鮮の核開発、ミサイル発射の恫喝外交に振り回されている日本の安保問題、外交をの見ていると、歴史的な示唆を与えるものであろう。
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑲ 朝鮮・巨文島事件めぐる英国、清国、ロシアの紛争
http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/372.html
「『ニューヨークタイムズ』からみた『日中韓150年戦争史』(55)『(日清戦争開戦10日目)-イギリスは中国の勝利に期待」
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/238.html
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉗ 「日本人の中国人に対する敵意を論ず」(巨文島事件をめぐる)
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/337.html
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