『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義⑥『憲政の神様/尾崎行雄の遺言』★『先進国の政治と比べると、日本は非常識な「世襲議員政治』★『頭にチョンマゲをつければ江戸時代を思わせる御殿様議員、若様議員、お姫さま議員のバカの壁』★『総理大臣8割、各大臣では4割、自民党世襲率は30%。米国連邦議会の世襲率は約5%、英国の世襲議員は9%』★『封建時代の竹刀腰抜けの田舎芝居政治を今だに続けている』
日本リーダーパワー史(921)記事再録
〇総理大臣は8割が世襲総理、4割は世襲大臣、自民党議員の世襲は3割」の
殿様、若様、お姫様のバカの壁!
国会議事堂の敷地内の一角に「憲政の神様」「議会政治の父」といわれる尾崎咢堂(行雄)の記念館と銅像がある。咢堂は1890年(明治23年)の第一回総選挙から連続当選25回、議員勤続年数63年間、94歳まで衆議院議員を務めあげて日本政治の興亡のサイクルを見つめてきた。
「売り家と唐模様でかく3代目」とは「初代が裸一貫、貧乏から苦労して築き上げて残した家や財産を、苦労を知らずの二代目は遊びや趣味にふけって事業に失敗し、借金を重ね、三代目となると没落して、ついに売り家に出すはめになる」という喩である。
今年は明治維新150年だが、この間の日本興亡のサイクルを象徴したとえであり、国家、企業、個人にも適用する栄枯盛衰の浮沈でもある。
●欧米では世襲は少ない、世襲するのは政治家ではなく、家業の政治屋という
トランプ大統領の出現以来、世界は激動期に入り、世界各国の政治は混迷している。日本政治のがたつきもひどくなる一方だ。危機感をもった自民党は「世襲制」「定年制」「選挙区改正」『一票の格差是正』「定数削減」などの政治制度改革の小田原評定を続けているが、内部の反対で難航している。
-
総理大臣は8割が世襲総理、大臣の4割は世襲
稲井田茂 著「世襲議員 構造と問題点」(講談社2009年)などによると、過去10人の総理大臣のうち、8人がいわゆる世襲政治家。橋本龍太郎氏、小渕恵三氏は2代目、小泉純一郎氏は祖父が逓信大臣、父は防衛庁長官の3代目で、進次郎氏(二男)は4世議員である。
安倍首相の父は元外相、祖父の岸信介氏が元首相の三代目。福田康夫氏の父赳夫氏も元首相。麻生氏の祖父は吉田茂元首相。
民主党政権で最初の首相の鳩山由紀夫氏は父が元外相、祖父が元首相という政治家一族。弟の邦夫氏も元総務相。民主党の菅直人氏、野田佳彦氏以外は全員が世襲政治家なのである。
頭にチョンマゲをつければ江戸時代を思わせる御殿様議員、若様議員、大名議員、お姫さま議員がまかり通る不思議な国『時代劇ガラパゴスジャパン政治』といえる。
アメリカの世襲大統領といえば共和党の、名門ブッシュ一族で2人の親子大統領が登場したが、民主党の名門ケネディ家もジョンF,ケネディー大統領の暗殺以後見るかげもない。実力主義、合理主義のアメリカでは『世襲』はすくない。
英国の場合もかつては上院(貴族院)の大半を世襲貴族が占めていたが、99年に大幅な制度改革が行われ今や大半が「一代貴族」。下院(庶民院)でも世襲議員による「地盤継承」という考え方は英国にはないという。
世襲制とはかって世界各国のすべてにあった世襲君主制の旧弊であり、現在の西欧流の議会制民主主義体制とは全く異なり、家族制度や長子(男子)相続制の基盤に成り立っている。
日本では歌舞伎、伝統芸能、茶道、伝統文化、伝統産業では家元制度が代々継承され、老舗稼業、老舗企業、貴族、名門、ブランドが尊敬される文化である。世襲議員はこの伝統的な家元制度の名残であり、公的な政治家の家業化、私物化した「特権階級化」である。国民の利害が一層、複雑化し、社会構造の変化への対応力(政治力)がそがれてしまう。世襲議員が「地盤」「看板」「カバン」を譲り受ければ、「非世襲」の議員に比べて圧倒的に有利となる。優秀な外部人材の参入の障壁となり、政治の貧困を招く。世襲議員がはびこる理由のもう1つは政治家が引退して身内に継がせる場合、一般的には後援会などの政治団体を資金ごとそっくりそのまま引き渡す。これには税金は一切かからない。金、地盤、知名度はそのままタダで相続されるが、この相続税免除の優遇措置は断つ必要がある。大企業には『世襲、2世、3世社長』は大幅に減っている。経済は実力主義、成果主義であるからで、政治も実力主義、成果主義に変えなければ、国の発展はあり得ない。特に世界がグローバル競争時代に突入している中で、グローバルな実力のある政治家を生み出さなければ、20年前には世界1位(現在は9位)だった国際競争力ランキング低下の歯止めはできず、じり貧は免れない。
関連記事
-
-
『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ⑦』強い円が日本では世代間に溝を作っている』<ニューヨーク・タイムズ7/31>
『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ⑦』 ★『&ldq …
-
-
『オンライン日本史の現場を訪ねる動画散歩』★『鎌倉五山、北条政子が眠る「寿福寺」のもみじの晩秋を拝観』★『鎌倉幕府を作った北条政子が眠る「寿福寺」のお墓にお参り』
鎌倉五山、北条政子が眠る「寿福寺」のもみじの晩秋に拝観(2022年12月19日) …
-
-
日本リーダーパワー史(722)『強中国夢』③(中華思想単独覇権主義)をめざす習近平共産党政権はー孫文の「覇道」「王道」 の認識は完全に間違っており、習近平も 同じ誤りの道を暴走している。<孫文「大アジア主義」の演説全文を再録>③
日本リーダーパワー史(722) 『強中国夢』(中華思想単独覇権主義)をめざす 習 …
-
-
『オンライン講座・日本戦争外交史②』★『日露戦争・ポーツマス講和会議②―戦争で勝って外交で敗れた日本』★『今も外交力不足の日本が続いている」★『樺太はこうしてロシアにとられた。ロシアの恫喝・強権・フェイク外交に騙されるな』
第ゼロ次世界大戦としての「日露戦争」 前坂俊之(ジャ-ナリスト) 会議はほぼ一カ …
-
-
日銀の黒田総裁が27日に日本記者クラブで「原油価格と物価安定」と題して講演し、「PB黒字化は第一歩」財政再建に強い意思を示した
日銀の黒田総裁が27日に日本記者クラブで「原油価格と物価安定」と題して講演し、 …
-
-
『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座㉙」★『明治開国以来、わずか40年で日清、日露戦争で勝利したのは西郷従道の人事抜擢した山本権兵衛だった』
2009年8月15日「西郷従道」のリーダーパワーの記事 …
-
-
『Z世代への遺言・生死一如』★『関 牧翁の言葉「よく生きることは、よく死ぬこと」★『一休さんの遣偈(ゆいげ)は勇ましい』★『明治の三舟とよばれた勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟の坐禅』
2020/03/09 『リーダーシップの日本 …
-
-
「経済成長戦略には何が必要か」「武田薬品工業の長谷川閑史社長」「東レの日覺昭廣社長」の記者会見動画(3・14,19)
日本記者クラブ会見動画 「経済成長戦略には何が必要か …
-
-
「今、日本が最も必要とする人物史研究➅」★『日本の007は一体だれか→福島安正中佐➅』★『ウクライナ戦争と比べればロシアの侵略体質は変わらない』★ 「福島はポーランドの情報機関と協力しシベリア単騎横断でシベリ鉄道の建設状況を偵察した』★「福島をポーランド紙は「日本のモルトケ」と絶賛した』
ホーム > 人物研究 >   …
-
-
知的巨人たちの百歳学(175)記事再録/『一億総活躍社会』『100歳元気社会』のシンボル 「 医師・日野原重明(103)、漢字学者 白川静(96)に学ぶ」
2015/11/05知的巨人たちの百歳学( …
- PREV
- 『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義⑤『憲政の神様/尾崎行雄の遺言/今の政治家にも遺伝の日本病(死にいたる病)『世界に例のない無責任政治を繰り返している』尾崎行雄③
- NEXT
- 『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義⑦★『自民党裏金事件の処分を見れば、これが真の政治家のやることか』★『政治家の本来の仕事とはー政治家(ステイッマン)は高い志を持ち、国益や国民益を考えて行動する人。逆に「政治屋(政治稼業)ーポリティシャン」は「自分の選挙や当選することを主目的に、国民益よりも収入の自益、地盤益、党益、派閥益を優先する人』★『岸田首相は3代にわたる政治屋家業』
