前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』★『 新型コロナ、大災害多発、世界大恐慌の襲われる地球世界(上)』★『米国の感染者は330万人を突破、なぜ、アメリカが最悪なのか』★『米中新冷戦のエスカレート』 

   

 新型コロナ、大災害多発、世界大恐慌の襲われる地球世界(この分析は7月15日までの情報)

           前坂 俊之(ジャーナリスト)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が猛威を振るう中で世界第2の感染者を出したトランプ2世といわれたブラジルのボルソナロ大統領(65)が7月6日、感染検査で陽性が判明、同国のコロナ危機は大統領の感染という異常事態になった。米国では感染者数と死者数が複数州で過去最多を記録。全米の累計感染者数は320万人にを突破、トランプ米大統領は7月6日、世界保健機関(WHO)から1年後に脱退すると国連に正式に通告した。「感染症が近代国家をつくった」「パンデミックはその国の保健衛生の不備を明らかにして、そのしわ寄せは貧民層に集中する」といわれるが、今回のコロナ危機では米国、ブラジル、インド、ロシアがワースト5で、この歴史の教訓が再び繰り返されたといえる(この分析は7月15日までの情報からです)

  • 米国の感染者は330万人を突破

  • 『米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の調べでは、米国の感染者数が7月14日、累計で300万人を超えた。4月下旬に100万人、6月上旬に200万人へと増加。6月に入って増加ペースはさらに上がり、人口の1%近くが感染する事態となった。連日新規感染者は5万人を超え7月7日には6万人を突破した。

中でもテキサス、フロリダ両州など南部、西部の州で感染が深刻化しており、これまでマスクを拒否していたトランプ大統領もマスク着用を国民に呼びかけて、自らも黒いマスクをつけた。ペンス副大統領は「感染検査を受けた米国人3,900万人超のうち、300万人以上が陽性だった」と発表した。

一方、全世界の感染者数は14日現在で1300万人を超え、米国に次いで多いのはブラジルで約186万人。インドが87万人超、ロシアが約73万人で続いている。世界全体の死者数は約57万人で、13万人超の米国が最多。ブラジルが約2万7千人、英国が約4万5千人。南米で特に感染者が増え続けており、ペルー(32万6千、死者1万2千)メキシコ(30万、3万5千)と急増し、ボリビアの暫定大統領やペルーの大臣が1人、ベネズエラの政権ナンバー2が感染するなどパンデミックがとまらない。

  • なぜ、アメリカが最悪なのか

 「毎日(7月1日付)で2頁にわたって詳細に分析している。それによると、6月23日現在で人種別の人口10万人当たりの新型コロナによる死者数は、黒人が65・8人と白人の28・5人と比べて2倍以上多い。総人口の12%の黒人が死者数では24%を占める一方、総人口の62%の白人は死者数は52%と低い。人種別の死亡者数をみると、黒人、先住民族、中南米系、白人、アジア系の順で人種間格差があらわれて経済格差につながっている。都市部を中心に低賃金の仕事につくマイノリティーが多い。彼らはテレワークができず、感染リスクにさらされながら出勤せざるをえない。米国には日本のような国民皆医療保険制度がない。病院に行くと高額の治療費を請求されるので病院に行けないという三重苦に陥っているです」

 「トマス・J・ポリキー「感染症が暴き出す政治システムの正体一パンデミックの本当の教訓」(「フォーリンアフェアーズ」2020年7月号)」によると、「感染症が近代国家を作った」とは歴史家のマーク・ハリソンの言葉で、世界人口の22%が死んだと言われる14世紀の黒死病(ぺスト)以降、感染症を管理する必要性が近代国家を形成したと指摘している。略奪的なエリートたちも、自分たちと労働の担い手を守るために、領土内の民衆の生命と繁栄により大きな責任を果たすことを強いられてきた。米国で最初にコレラが蔓延した時、公衆衛生を担当する専門組織はなかった。衛生局ができたのは1805年で、国際的な公衆衛生の枠組みが必要なためWHOの元となる国際協力ができたのもコレラ対策のためです。ところが、今回の新型コロナによって大都市集中、三密主義の国家・社会システムは三密排除、ソーシャルディスタンスの保持、テレワークへと180度変わらざるを得ない状況となったわけですね」

  • 日本の現状はどうか

「一方、日本では、各国の感染者、死者数と比較するとダントツに少ない。今のところは抑え込みに成功している。ところが、7月11日には東京の新規感染者は243人と連日最多を更新し、神奈川、埼玉なども増え続き、全国では430人と緊急事態宣言以後最多を記録、その後も200人超えが続いている。

しかし、東京都はPCR検査を連日1日2500人程度行っており、陽性率は1,5%-5,8%と増えているものの、重篤者は少なく、死者はゼロが続いている.東京の病院の空ベット(1000室確保)で、まだ入院者は100ほどなので余裕があり、緊急事態法の再度の発出は必要ない、としている。

しかし、専門家は①PCR検査を増やせば、重篤者、死者も増えて、医療崩壊が起こる②東京と地方の人の出入りが増えれば感染者が増えるので、ホストクラブなど、夜の営業は自粛要請を行い、金銭的補償も行う➂政府が7月から始めた地域観光の再生に向けた旅行奨励割引クーポン券発売「GoToトラベル」は地方への感染者を引き起こすリスクがある警告している」

(B)「7月10日から11日に成田空港に到着したパキスタンやペルーから入国者のうち20人が新型コロナに感染していたという。入出国者がの増加とともに感染者もそれに比例して当然増える。

出国前と入国後、ダブルで検査を行い、加えて2週間隔離が絶対に必要ですね。入国時のみの検査をしていたら、感染者を日本で面倒見なければならないので、入国条件管理体制の強化が緊急の課題です」

  • 米中新冷戦のエスカレート

(A)「中国全人代の常務委員会は6月末、香港版国家安全維持法(国保法)を可決、香港政府は即7月1日から施行した。これに反対するデモが1日に行われたが、香港警察は高圧放水車などで、デモ参加者を一斉に蹴散らせて、市民ら約370人を国保法容疑で逮捕し、中国政府の強圧的な姿勢を改めて世界に示した。

同法は「国家分裂罪や国家転覆罪、テロ活動などを禁止し、香港市民や中国人だけでなく外国人にもその適用範囲を広げた。また、警察が「ネット情報」を取り締まり「国家の安全」を脅かすと認めた場合には新聞、TV,SNS、ネットサービス運営企業のアカウントの削除を要求できる権限をみとめた社会主義国の多くが採用している言論弾圧法規そのものです。国内で完成したスマホネット監視社会を徹底して維持するため法案です。

この結果、中国は英国と交わした「香港1国2制度を50年間維持する」という国際条約をわずか23年で一方的に破棄したことになる。欧米、豪、日本、自民党外交部会は香港国安法を非難する決議案を発表して抗議しています」

  • 米英の即座の反発と対抗策

  • 「トランプ大統領は香港への貿易優遇措置を取り消した。中国の5Gインフラの中心のファーウェイの全面排除を各国に求めており、英国もこれに従って今年1月、5Gネットワークの基幹部分ではない分野ではファーウェイの使用を認めていたが、安全保障上の理由から全面的にこれを取り消した。オーストラリア、カナダ、日本もこれに従った。しかし、ファーウェイ側の発表では世界中から91件の5G商用契約を獲得、ヨーロッパが47件、アジアが27件、その他の地域17件としている」

「また、第2のファーウェイといわれるTikTok(ティックトック、中国版Youtubeでモバイル向けのけショート動画、プラットホームで5月、世界で20億回ダウンロードを記録、同社の資産は1000億ドル(約10兆8000億円)を超えた)に対して、米軍は軍が支給したモバイル端末でのTikTok使用を禁止した。米国の機密情報がSNSを通じて、流出するリスクを排除するため。米ピーターソン国際経済研究所は「TikTokは中国当局に個人情報や位置情報のほか、各国の軍事施設などの機密情報を提供している可能性が高い」と見ている。インド政府もこれに同調して6月末、国家安全保障上の問題を理由に59本の中国製アプリの使用を禁止。「TikTok(ティックトック)」や「WeChat(ウィーチャット。漢字名は微信)」などの利用も禁じた。米英豪日印などによる米ソ冷戦下の鉄のカーテン並みの中国5G,ハーウエイ包囲網が進んでいるというわけです」

 

「中国の戦狼外交について、仏モンテーニュ研究所特別顧問・ドミニク・モイジ特別顧問(国際政治学者)は日経6月25日付で次のように分析している。『中国はハンデミック(世界的大流行)に世界が没頭するのをよそに香港の特別な地位を制圧した。西側が中東危機に忙殺された1956(昭和31)年、旧ソ連の戦車がハンガリーの首都ブダペストに侵攻した歴史(ハンガリー民主化運動を戦車でもって武力で鎮圧した事件)と重なる。香港の問題は2014年にロシアが国際法を堂々と違反してクリミアを併合した事態とそっくりで、既存秩序の暴力的な破壊だ。 私は米国と中国の関係は米ソ冷戦に続く第2次世界冷戦に近づいていると思う。」と述べている。中国は軍事力強行の旧ソ連共産主義と同じ体質です』

                                   つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

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