『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』★『 新型コロナ、大災害多発、世界大恐慌の襲われる地球世界(下)』★『米中の覇権争いの勝者は?』★『米国先住民の警告―「最後に人はお金は食べられないことを知るだろ」』
前坂 俊之(ジャーナリスト)
米中の覇権争いの勝者は?
「大和総研調査本部長 チーフエコノミストの熊丸亮丸氏は米国が有利とみる。米国GDPは中国の約1.6倍。付加価値に占める製造業の割合は中国は米国の3倍(30%、2017年当時)なので経済制裁は中国側に大きな打撃となる。米国の対中輸出は0.7%に対し、中国の対米輸出は3.6%で、関税率引き上げの影響は中国側に不利となる。米側は中国に依存するサプライチェーン(部品供給網)を「デカプリング」(分断)に踏み切っており、中国経済へのダメージがさらに大きくなる。習近平主席は米英らの反対は覚悟しており、中国共産党独裁体制を維持したい一心でトランプ大統領の任期(再選されれば残り4年半)を耐え忍ぶ「持久戦」を展開し、その間は『籠城戦』も辞さない方針とみられる」
(「米中対立のエスカレートは日本にとって、死活問題と熊丸氏も指摘してなる。 2019年の日本からの中国、香港への輸出額は18.3兆円、輸出全体に占める割合は23.8%、GDPに占める割合は3.3%です。さらに中国からの訪日外国人観光客は1000万人です、これがコロナによって100万人減少すると、GDPは2500億円のマイナスになる。米中対立が激化した最悪の場合、日本経済に20兆円規模のダメージを受けるといっている」。
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米国先住民の警告―「最後に人はお金は食べられないことを知るだろ」
「さて全米では黒人差別反対運動が盛り上がっていますね。シアトルでは市庁舎が占拠されて、自治区をつくると立てこもる事件が発生した。そのシアトル市名についてこんなエピソードがある。
1840年代のある日、米国ワシントン州内で先住民インディオの部落に白い肌の男たちが「土地を買いたい」とやってきた。先住民には「土地を買う」という意味が全く理解できなかった。土地は誰のものでもない、天のものだ。流れる川の水や空気を売買できないのと同じ。白い男たちは頭がおかしくなったのか、と思った。しかし、白人の文化に親近感を持った酋長シアルスは何とかまとめて、両者の共生社会ができた。
この異民族の平和的な共生社会は第14代フランクリン・ピアース大統領の登場で幕を閉じた。奴隷制度に賛成していた同大統領は1855年初めに先住民に対して、土地を政府に売って近くの島に移住せよとの大統領令を発した。シアル酋長は州政府との調印式で別れのスピーチを行った。
「最後の木が切り倒され、最後の川が汚染され、最後の魚が捕まえられてはじめて、人はお金は食べられないことを知るだろう」ー米国の植民地主義者に対して先住民のクー族が最後に残した言葉を紹介したのです。シアルス酋長に感謝した白人たちはその名前をシアトル市名につけたというのです。それから約150年が経過した現在、米国では新型コロナウイルスの第2波が発生し、人種差別反対デモが盛り上がり、植民地主義者の銅像破壊が連発し、正にこの「クー族の警告」がよみがえってきたのかと思わせる雰囲気となっている」
(「結局、新型コロナウイルス発生の原因を調べると、地球の生態系、地球環境のカメ底を割った現代物質文明、CO2炭素社会、強欲資本主義の行きつく先が見えてくる。新型コロナは地球上のあらゆる生物(絶滅種族、ウイルス、微生物も含む)の悲鳴ではないか思う。地球温暖化が自然災害の巨大化をうみ、次々に記録的な災害を引き起こして、世界中にはね返っている」
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シベリア永久凍土の溶解、中国「三峡ダム」のブラックスワン?
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「例えば、オーストラリアで2019年末から20年春まで続いた山火事の焼失面積は世界最悪で延焼面積は韓国の国土面積に相当し、日本の国土面積の約4分の1が消失した。コアラなど動物12億匹が犠牲となった。同国の19年は観測史上最も暑く乾燥した1年で、12月の平均最高気温は40度を超えた。
また、そのアマゾンでも2019年には観測史上最多の火災が発生した。四国の面積の約2倍が消失した。トランプ2世といわれるボルソナーロ大統領はアマゾン開発を推進した結果、ブラジルでの新型コロナウイルスの感染者数は米国に次いで世界第2位の186万人(を突破、アマゾンの先住民やリオデジャネイロの貧民街などで特に感染者が集中している」
(「一方、ロシア・シベリアでもこの6月は気温が38度に達し、北極圏での過去最高気温を記録、例年より18度も高かった。このため永久凍土が融解し化学工場の地盤が沈下し、大量の石油が河川に流出する事故が発生した。
永久凍土は北半球の陸地の約4分の1の面積を占め、地球大気の約2倍の炭素(CO2やメタンガスがなど)保持されている。これが融解すると、閉じ込められていた炭素(CO2)やメタンガスが放出され、感染症の炭疽(たんそ)菌、コレラなどが解き放たれ動物や人々の健康を脅かす。新型コロナウイルスの再来の危機となるのです」
「かと思えば、世界覇権を目指して「戦狼外交」を展開する中国でも、洪水パニックが発生した。6月初めから降り続く熱帯低気圧の大雨がによって重慶市(人口3020万人)、湖南省、四川省など南部一帯は「80年に一度の大洪水」に見舞われた。被災者は約3700万人に上ったが7月に入っても大雨は降り続いた。
このため世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」(湖北省宜昌市)は警戒水位を3,5mも超えて崩壊の危機にあるといいます。中国水利部が記者会見で「ブラックスワン」(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと)の可能性に触れたため、世界に衝撃が走った。
三峡ダムの下流(揚子江)地域には武漢市(1100万)、南京市(800万)上海市(2400万)の大都市があり、約6億人が住み、中国のGDPの40%が集中する中国経済の中心地だ。万が一にも、三峡ダムが決壊すれば、潰滅的な被害が出る。
また、この梅雨前線の刺激で日本でも7月始めからの熊本中心に九州豪雨があり、水害などによる死者63人、浸水家屋1万棟を超えた。世界はコロナパニック、大災害パニック、大恐慌パニックのトリプルパニックに襲われているのです」
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2021年東京五輪は開催できるのか、中止か!?
「6月10日、来年に延期された東京五輪について、大会組織委員会の森会長は「中止の議論は全くない。選手や観客などに安全・安心な環境を提供することを最優先課題とし、簡素な大会にして準備を進めている」と発表した。
IOCとの協議で簡素にする項目は①国立競技場や各競技場のコロナウイルス対策を想定して観客数、観客席数を大幅に削減②チケット販売の中止➂開、閉会式の規模を縮小④選手村やIOC委員や国際競技団体の役員など参加数削減などなど複雑、多岐にわたる課題が山積している。無観客の競技も検討しているが、それでも全体の大会経費は1兆3500億円に増える見込み。
7月1日には組織委員会の遠藤会長代行が、安倍首相と面会し「五輪開催の最終判断は来年3月以降で間に合う」との判断を示した。いまのところ、IOCや各国の5輪関係者も新型コロナ対策に追われており、五輪どころではないという雰囲気ですね」
『ところで、世界中での新型コロナの新規感染者はますます増えて、7月12日には 1日で23万370人に上り、過去最多を更新、経済活動の再開で、この増加ペースはさらに増えそうです。感染者数の最も多い米国のハーバード大学国際保健研究所(GHI)所長や専門家たちは「ワクチン開発には1年以上はかかる」という。そうだとすれば21年夏の東京開催はいよいよ難しくなりつつある状況です」
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国産スーパコンが8年半ぶりに世界一を奪還
「6月22日の 国産スーパーコンピューターが8年半ぶりに世界一を奪還したニュースは久しぶりに国民に明るい希望を与えましたね。今年のスパコンの計算速度ランキング「TOP500」では理化学研究所・富士通が共同開発した「富岳」が1秒間に41・5京(京は1兆の1万倍)回の計算能力を示し、2位の米「サミット」(同14・8京回)に3倍をつけてトップに輝いた。日本勢が首位を奪うのは旧民主党政権下の事業仕分けで立憲民主党の蓮舫副代表が「2位じゃ駄目なんでしょうか」と追及した先代の「京」以来9年ぶりの快挙です。
これまで創薬には約10年もの時間がかかり、従来のスパコンが候補薬をフィルタリング(データー類別)するにも、1~2年を要していたが、富岳はこれを劇的にスピードアップした。今回、世界で初めて既存の2128種類の薬を対象にシミューレションを行なつたが、 わずか10日間で寄生虫の駆除に使われる「ニクロサミド」など数十種類の薬が新型コロナウイルスの増殖を抑える効果があることを突き止めた。来年中には、治療薬、ワクチン開発のメドがたつ見込みです」
「ところで、これに関連して、今回のコロナ防止対策の世界的な競争力ランキング(23カ国・地域の指導者の比較評価)で、安倍首相らによる日本の指導力評価は最下位となっています。
5月1日から開始された10万円の個人特別定額給付金の支給率をみても、2ヵ月たった7月1日現在で全国平均74,4%で、まだ3分の1の人々に届いていない。中小企業への給付金、補助金についても書類申請の複雑さ、ハンコ行政、ネット対応不備によって、そのスピードは最低ランクも当然でしょうね。
予算編成では毎年恒例行事のようにITデジタル化推進のスローガンが打ち上げられ、科学技術立国宣言(1996年)、電子政府構築(2003)、地方創成(2014)、世界最先端IT国家創造、(2017)など陳腐化した看板を取り換えるのみで、その実行力はあきれほど遅い」
「確かにね。世界のトップリーダの指導力、実行力を問う世界共通テストが毎年発表される「世界デジタル競争力ランキング」(IMD)です。これは首相、政権の採点簿。1990年代には総合順位で連続1位を続けてきた日本だが、2019年の総合順位をみると転落の一途で日本は63ヵ国中の第23位、アジア太平洋地域でも14ヵ国中8位と順位を下げ続けている。日本は「平成のベンチャー精神を失なった30年」で、ついにデジタル後進国に転落してしまった」
日本憲政史上最も長い8年目に入った安倍政権の「アベノミクスの改革力」は看板倒れで世界からの落第点をつけられたということ。ところが、7月7日のニュースを見て、再び仰天したよ。政府は、デジタル化を社会変革の原動力とする「デジタル強靭化社会」の実現を目指すIT戦略案をまとめ、来年(2021年)の通常国会で、法改正を目指すという。またまたこのテイタラクぶり。『ガラパゴスアナログジャパン』の安倍政権の実行力はガラパゴス諸島に唯一生息する絶滅種族のゾウガメのノロイ歩みと重なって見えてきましたね(苦笑)』
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