『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー『世界は6月、新型コロナウイルスと共生するニューノーマル(新日常生活)に恐る恐る一歩踏み出した』★『新型コロナ後の世界政治地図はどうなるのか』
新型コロナ後の世界政治地図はどうなるか。
前坂 俊之
6月8日、ブラジルの新型コロナウイルスによる累計死者数が米国(11万)、英国(4万)に次いで三番目(3万4千)となった。メキシコへも飛び火し新型コロナ新規感染者が連日過去最多を記録、累計感染者数は11万人(死者1万3千)に増え、各国へのパンデミックの勢いはとまらず、世界全体では690万人、死者は40万人にのぼった。
そんな中、世界は「新型コロナウイルスと共生するニューノーマル(新日常生活)」に恐る恐る一歩踏み出した。今後の新型コロナ共生マラソンレースでの勝ち組、負け組はその 国の国力(経済力)、民力(民生度、デジタルマインド、寛容性)、リーダーシップ(インテリジェンス、問題解決力)、IT・IoT・AI(人工頭脳)競争力によって決まってくるであろう。
昨年12月、新型コロナウイルスは中国・武漢で発生し習近平政権による初動体制のおくれと情報隠蔽によって世界中に拡散したことは周知の事実だが、その中国の全人代(全国人民代表者会議、国会に相当)が5月22日からはじまり、香港国家安全法が可決された。同法は中国が国家の安全を脅かす行為とみなされれば、香港でのデモや抗議集会を厳しく取り締まる法律。香港立法会(議会)もこれと類似した中国国歌への意図的な侮辱行為を禁じる『国歌条例』を同時に可決した。
香港の1国2制度はこれで完全に消滅すると、危機感をもった香港市民の民主化デモが再び巻き起こったが、機動隊が催涙弾が撃ち込んで学生ら360人以上を逮捕して鎮圧した。
これに対して英米豪などは一貫して反対を表明していたが、トランプ大統領は「WTO」脱退に次いで香港への「関税や渡航(ビザ)などの優遇措置を停止、金融制裁を発動。アジアの金融センターの香港の地位が揺らぎかねない状況になり、米中新冷戦は一段とエスカレートした。
この「香港民主化弾圧法」が米国にブラーメンとなってはね返った。
ミネソタ州で黒人男性を警察官が首を絞めて窒息死させた事件で「人種差別反対」の抗議デモが全米各地で暴動に発展。トランプ大統領の「民主党やバイデン氏が扇動している左翼の過激派の暴動だ」と軍隊を派遣して鎮圧するという強硬発言が火に油を注いだ。2007年に650都市で起きた「女性の行進」(女性差別反対運動)を上回る米国史上最大の「抗議デモ」に発展してますます燃え上がっている。ロンドンや大阪など世界各地でも支援デモの輪が起きた。
大統領選民主党候補のバイデン氏は殺された黒人男性の遺族に哀悼の意を表し、9日にヒューストンで行われる葬儀にビデオメッセージを送るという。また、自身が大統領に選ばれれば副大統領は黒人女性を指名することも表明、トランプ打倒をアピールした。
すでに5月20日に1948年以来の米大統領選挙の予測では1968年(ニクソン勝利)、1976年(カーター勝利)の2回の選挙を除き、すべて的中させてきた名門シンクタン「オックスフォード・エコノミクス」(英国)は「トランプ大統領の歴史的な大敗(選挙人獲得数、バイデン328、トランプ210)」を予測を公表した。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/19783
トランプ氏の度重なる「コロナ対策失敗」「差別発言」から共和党の内部からもからも反トランプ派がうまれ、あと半年に迫った大統領選でのトランプ再選に赤ランプが激しく点滅してきた。この半年間の急激な世界の変化、各国の栄枯盛衰をリアルに体験していると、「パンデミック」(疫病の世界大流行)が文明史を変える」といわれることが、よく理解できる。
コロナ後の世界政治地図は一体どうなるか。
「Gゼロ」(21世紀の国際的にリーダーシップをとる国がいない世界情勢を表す言葉)の時代に入ったといわれるが、各国大統領の独裁、独走、独断ぶりをみると、古来から名言「権力は腐敗する、絶対的な権力は絶体に腐敗する」という言葉が浮かんでくる。
就任当初からトランプ大統領の独断ツイート・暴言暴走運転が続いてきた「エアホースワン」(大統領専用機)、ここにきてついに墜落してしまうのか!?。
一方、毛沢東とソ連崩壊の原因を徹底して研究し、2012年にトップに立った習近平主席は2018年に憲法規定の「主席の在任期間10年」を削除して永久主席の地位に就いたが、その個人崇拝とナショナリズムを背景に、GDP成長主義と対外的強権主義で国内的には「スマホ監視国家」を築いてきたが、ここにきて「中国が世界の救世主なる」という「戦狼外交」を打ち出し好戦的姿勢を強めている。
一方、米中対決のはざまで右往左往する日本の安倍内閣。
かけマージャンで辞任した黒川弘務検事長問題など度重なる不祥事に安倍長期政権のおごりと腐敗が指摘されているが、6月7日に発表された安倍内閣の支持率は38%に急落し、不支持率は61.3%になった。(時事通信6月7日付)
。2012年12月に発足した第2次安倍政権以降では最低水準に。新型コロナウイルス対策について「評価しない」が60%、「評価する」の37.4%を上回った。
新型コロナ対策でカギを握ったのがIT競争力だが、日本のIT競争力世界ランキングは韓国10位、台湾13位、中国22位に次いで日本は23位とアジアの中での2周おくれ。
過去4か月の新型コロナ論文数を文科省科学技術・学術政策研究所が調べたところ、1位は中国545本、2位は米国411本、大きく下がって日本は8位の31本。中国のわずか約14分の1という少なさである。コロナ共生オリンピックマラソンレースではますます順位を下げている。
関連記事
-
-
『Z世代のための百歳女性学入門⑧」★『日本最初の女性解放運動家・日本初の女性代議士・加藤シヅエ(104歳)の奇跡の人生』★『男女平等は与えられたものではない、日本の女性の戦前からの地道な活動のたまもの」。104歳、最期の言葉「みんなに愛してもらって幸せです 』
104歳 加藤シヅエ((婦人運動家,政治家) (1897年3月2日~2001年1 …
-
-
日中北朝鮮150年戦争史(7) 日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。日本最強の陸奥外交力で「我朝保護属邦旧例」(朝鮮は清国の属国)の矛盾を徹底して衝いた。
日中北朝鮮150年戦争史(7) 日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。 …
-
-
速報(281)『インターネットに怯えるフェイスブック』『ツイッターのビジネス収益性への懸念は』『車にも免許にも興味なし?米若者文化』
速報(281)『日本のメルトダウン』 ◎『インターネ …
-
-
リーダーパワー史(40) 中国共産革命を実現した毛沢東と周恩来のコンビ
リーダーパワー史(40) 中国共産革命を実現した毛沢東と周恩来のコ …
-
-
『知的巨人の百歳学(159)記事再録/ 「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬」
百歳学入門(104) ー天才老人になる方法— 『会社』には定年があって人生に「定 …
-
-
『リモートワーク/歴史証言学/日中韓150年政治外交史』★『日本議会政治の父/憲政の神様・尾崎行雄が中国、韓国との150年対立・戦争史のルーツを語る』★『「『朝鮮(韓国)は助けて、支那(中国)は討て』★『支那(中国)滅亡論」を読むー中国に国家なし、戦闘力なし』』★『『朝鮮の独立を認め、日本を敵視せず、トルコ、ベトナム、清仏戦争の失敗に学ばねば、清国は滅亡する(尾崎の予言)』
前坂俊之(ジャーナリスト) 日中韓150年三国志―尖閣問題ル―ツ …
-
-
『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑫』★『ミネソタ州・ウォルズ知事が副大統領候補の指名受諾演説を行った。』★『心にしみる「名演説」で選挙のテーマは「自由」,「リーダーとは何か」「あなたが求める人生を自由に送るために闘う」』
米民主党の全国党大会は8月21日、3日目を迎え、ミネソタ州のティム・ウォルズ州知 …
-
-
日本の最先端技術『見える化』チャンネルー『日本の情報関連技術の遅れは「企業の閉鎖性」が原因だ』」( 野口悠紀雄)●『日本の製造業はIoT時代にどうやって勝ち残っていくべきか』●『 アマゾン攻勢!「YouTubeに宣戦布告」の勝算―「ビデオダイレクト」が目指しているもの』●『iPhone7拍子抜けで見えた、アップル依存大国・日本に迫る脅威』
日本の最先端技術『見える化』チャンネルー 日本の情報関連技術の遅れ …
-
-
最高に面白く、やがて悲しくなる人物史⑪『日本風狂人伝⑦ ー アル中、愚痴の小説家の葛西善蔵』
2009/06/23 ・日本風狂人 …
-
-
日本リーダーパワー史(586) 「日本飛行機の父」「殿様飛行士」徳川好敏のパイロット人生
日本リーダーパワー史(586) 「日本飛行機の父」「殿様飛行士」徳川好敏の …
