知的巨人の百歳学(124)ー『天才老人・禅の達人の鈴木大拙(95歳』-『長寿の口癖は「わしは死神と競走で仕事をする」★『死を恐れるのは仕事を持たないからだ。ライフワークに没頭し続ければ死など考えるヒマがない。死が追ってくるより先へ先へと仕事を続ければよいのじゃ』
知的巨人の百歳学(124)
『天才老人・禅の達人の鈴木大拙(95歳)から学ぶ』
禅の達人・鈴木大拙(1870~1966)は九十五歳という長寿で、まさしく大器晩成。
大拙は日本語よりも英語の著作が多い。ビアトリス夫人の協力で英文雑誌「イースタン・ブディスト」を創刊、二十年継続して、五十七歳のときに英語論文集『禅論文集第一』を刊行、六十九歳でビアトリス夫人が亡くなると、同年に、『無心ということ』を出版。七十三歳で名著『禅の思想』を、翌年、七十四歳で『日本的霊性』を発表した。

九十歳の時に、インド政府の招きで渡印して講演、九十四歳で、またまた渡米してニューヨークに滞在し、帰途にハワイ大学での国際会議に出席した。最後の最後まで現役だったのである。こうして一九六六(昭和四十一)年に九十五歳で逝去した。
その大拙の口癖は、
「わしは死神と競走で仕事をする」「仕事こそ人生なり」の生活で、九十四歳まで現役で精力的に研究に没頭した。
「死を恐れるのは、やりたい仕事を持たないからだ。やりがいのある、興味ある仕事に没頭し続ければ死など考えているヒマがない。死が追ってくるより先へ先へと仕事を続ければよいのである……」
大拙の晩年の秘書は在米日本人二世の岡村美穂子。彼女は助手として大拙が鎌倉に建てた松ケ岡文庫に住み、最晩年の大拙の身の回りの世話をおこなった。

この岡村美穂子が語る晩年の生活ぶりによると、毎朝六時半頃に起きて、夜は十二時か十二時半頃に就寝。その間、ほとんど執筆活動に専念。健康法は毎朝の冷水摩擦。それ以外は決まった日課はなかったが、家の中で二階に上がったり降りたり、庭を歩きまわり、それがよい運動になっていた。
食事は、朝はパンとオートミールに紅茶。昼はおかゆと軽いおかず。夜食はなんでも食べ、肉料理や、中華料理も。量は腹八分目が基本。
鈴木老師の人生観は常に前向きであった。
「先生は九十になって前向きですからね。つねに新しいものの創造に心をそそがれていた。問題が起きても決してそれを恐れられない。真正面から解決しようとする。決心実に早い。ちっとも年寄りぶられない。いつも新しいことに興味を示す。新聞や雑誌でいつも最近のことに関心を持つ。いまの若い人や外人の心理 -どういうことを考えるか、どういうことを知りたがるか。そこからどう説明し、どう理解させようかと、それでつねに頭がいっぱいなのです」と岡村は語る。
「生きがいに没頭し続ければ死など考えているヒマがない。死が追ってくるより先へ先へと仕事を続ければよい……」
93歳の時に健康法について「わしは過去のことは考えんな。いつも未来のことを考えておる。あれをしなくてはならぬ、これをしなくてはならぬとな。今日から明日へ、来年また来年と、将来に希望をかけることが私の健康法だよ』と答えている。
確かに、人間は過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる。老人は過去から、未来に生きるスイッチに切り換えなさいとの大拙師の教えである。
大拙の長寿と大器晩成の秘訣は、まさに、これであった。
一歩一歩いけばそれが終局になる。生き甲斐こそがさいごまで行くエネルギーとなる。
○バカな奴は単純なことを複雑に考える
○普通の奴は複雑なことを複雑に考える
○賢い人は複雑なことを単純に考える
との名言がある。考えすぎないこと、楽天的なひと、くよくよしない人が長寿となる。生きがいこそ長寿の秘訣である。
「見る前、考えるまえに飛べ」ばよいのに、心配ばかりして、臆病となって、行動できない日本人が多すぎる。その点、信念と生きがいを持って、「自分が歩いたあとに道ができる…」と独立自尊・独歩している人が遠くまで行く。
頼山陽(江戸後期の儒学者)は、「あなたは三十日後に死にますよ」と医者から宣告された。
山陽は残された日々を仕事に励んだ。1ヵ月たってもまだ生きていた。医者は「あと四十五日で……」と言った。なおも夢中になって働いた。ついに、最期の時が訪れた。仕事をしていた時、危篤になったが、「ちょっと一眠りするよ」と言って亡くなった。頼山陽がこの時書き残した「日本外史」こそ明治維新の原動力となったのである。
関連記事
-
-
『リーダーシップの日本近現代史]』(24)-記事再録/日中韓/異文化理解の歴史学(1)(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く(連載70回中1ー20回まで)★『申報、英タイムズ、ルー・タン、ノース・チャイナ・ヘラルドなどの外国新聞の報道から読み解く』●『朝鮮半島をめぐる150年間続く紛争のルーツがここにある』
日中韓異文化理解の歴史学(1)(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の原因を読 …
-
-
●★5『 京都古寺巡礼のぶらり旅!』『秀吉ゆかりの「京都醍醐寺」全動画案内30分(9/3)』―わが 『古寺巡礼』で深く感動した古刹、庭園です②』 金堂、不動堂、祖師堂ななどゆっくり散歩
『 京都古寺巡礼のぶらり旅!』 『秀吉ゆかりの「京都醍醐寺」全動画案内30分』 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(154)』 『イスラエルに魅せられて再訪(2016/1)」レポート(4) 『ベエル・シェバ(Beer Sheva)から死海(Dead Sea) を目指す』死海に到着し、ソドム山を見上げながら、創世記に伝わる「ロトの妻の塩柱」の異様に驚く。
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(154)』 『イスラエルに魅 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(171)記事再録/長寿逆転突破力を磨け/「100周年を迎えたシャープは存亡の危機にたつー創業者・早川徳次(86歳)の逆境・逆転・成功人生に帰れ「ピンチの後はチャンスが来る」
2012/08/30&nbs …
-
-
日本リーダーパワー史(650) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(43)『三国干渉』に日清戦争の立役者・川上大本営上席参謀はどう対応したか①『余の眼晴(がんせい)が黒いうちは、臥薪嘗胆10年じゃ』と
日本リーダーパワー史(650) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(43) …
-
-
速報(419)●『ボランティアの力を懸念する中国政府』●『株高予兆する金急落、「鬼に金棒」の好環境=武者陵司氏』
速報(419)日本のメルトダウン速報 ●『ボランティアの力を懸念す …
-
-
速報(161)『★<小出裕章情報>●『除染必要地域は日本の3%』★『除染基本方針案骨子は本当ふざけた国」』など
速報(161)『日本のメルトダウン』 ★<小出裕章情報> ●『東京 …
-
-
日本リーダーパワー史(46)水野広徳による『秋山真之』への追悼文(下)
噫(ああ)、秋山海軍中将(下) 水野広徳著『中公公論』大正7年3月号掲載 …
-
-
速報「日本のメルトダウン」(486)◎「中国に説教することは厳禁―エズラ・F・ヴォーゲル」●「日中問題は全国民にとっての「世紀の宿題」
速報「日本のメルトダウン」(486) <そして、またまた …
-
-
日本リーダーパワー史(180)<国難突破力ナンバーワン・出光佐三を見習う②>『石油メジャーに逆転勝利』
日本リーダーパワー史(180) <国難突破力ナンバーワン・出光佐 …