前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史』(331 )記事再録★『2016年7月の南シナ海裁定で完敗した中国の強硬姿勢の背景にある『China2049―秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略』①『中国の夢』の恐るべき陰謀とはー 中国が世界の覇権を握った「帝国」は「自由より秩序、 法より倫理、民主主義と人権よりエリート による共産主義独裁帝国の実現」①

      2020/04/18

 

  

 日本リーダーパワー史(720)記事再録

『China2049―秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略』①『中国の夢』の恐るべき陰謀とはー

(民主國ではなく共産主義独裁帝国が夢ー「スマホ監視カメラのデストピア」

前坂俊之(ジャーナリスト)

南シナ海の90%の領有権を主張する中国に対して、フィリピンがオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所に訴えた仲裁で7月12日、中国の領有権主張を完全に否定する裁定が出された。南シナ海の九段腺(中国が領有権を主張するため地図上に引いた境界線)についても法的根拠なしと否定した。

また、スカボロー礁にあるすべてのリーフは法的には中国のEEZ(排他的経済水域)や大陸棚を生成しない『岩』であって島には当たらないとの裁定を出して全面的にフィリピンの勝訴となった。

この中国対フィリピン(ベトナム、バックに米国、日本)との対立は『国際秩序対中華思想』の衝突―欧米中心の国際システムにいら立った中国の挑戦の構図である。

米ソによる冷戦対立が終焉を迎えてから四半世紀。アジアは再び2つの大国による主導権争いが激化している。

中国の勃興は覇権国アメリカへ挑戦状であり、『ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が過去500年の事例を調べたところ、新興大国と既存の覇権国が激しく争った16のケースのうち、75%に当たる12件では戦争が勃発していた。(『ニューズウイーク日本版』7月26日号)というだけに、今後の両国の出方によっては戦争勃発のリスクが高まったといえる。か世界は分岐点を迎えたといえる。

この仲裁裁判所の判決は紛争当事国を法的に拘束する最終的なものだが、この判決を執行する手続はないので、中国の軍事基地化をストップさせ原状回復させることはできない。

しかも、中国は裁定前から、判決には一切従わないといけ猛々しい態度で、埋め立てと軍事基地化を強行しており、裁定後もその強硬的な発言、行動に変化は見られない、今後、中国の国際判決無視『無法国家』の暴走が繰り返されれば、の一触即発の事態が危惧される。

ここまで、なぜ中国は国際秩序を無視して強硬一点張りの姿勢なのか。

こうした中国側の強硬姿勢の背景には習近平主席の『核心的利益政策』がある。中国は世界第2の経済大国に発展し、2030年代には米国を抜いて世界一になるとの見通しのもとに、習近平主席は『核心的利益政策』を一層強化した『中国の夢』がある。

核心的利益とは

① 台湾問題②チベット独立問題③東トルキスタン独立運動④南シナ海問題(九段線、南海諸島)⑤尖閣諸島問題でこれが、国家主権と領土保全、安全維持、経済社会の持続的で安定した発展の最重要国益としているのである。その点では絶対妥協できない領土紛争なのである。

これは清国時代から西欧列強の英国、フランス、ロシア、日本などに清国は大きな被害を受け、それによって奪われた領土、国益、被害の奪還運動でもある。

当時の国際法なるものは、国際法的秩序は西欧列強の植民地、侵略、帝国主義の別名でもあり、中国側の主張はこの恥辱と被害の回復運動であり、侵略される前の大清帝国の領土、領海の復活政策が『核心的利益政策』であり、習近平主席のアメリカで語った『中国の夢』の復活なのだ。

習近平は国家主席就任以前から「中華民族の偉大なる復興の実現」を掲げており、2012年、国家副主席として初めて訪米した際には、ワシントンポストのインタビューで「中国とアメリカとで太平洋を二分すること」というような回答をした。

2013年6月、国家主席になってからの訪米の際には、オバマ大統領に対して、「太平洋には両国(アメリカと中国)を受け入れる十分な空間がある」と『中国の夢』を明言した。

米国・オバマ大統領が「世界の警察官をやめる」宣言をしたことで、習近平はその強硬姿勢を一層鮮明にし。2014年には南沙諸島の埋め立てを隠そうともせず急ピッチに進め、滑走路の建設、軍事基地化を国際裁定のまえに完了させる挑発的軍事行動を続けた。

習近平が中国共産党書記長(主席の前段階)に就任してすぐのスピーチで、かつて中国の指導者が公式の演説で述べたことのない「強中国夢」(強い中国になるという夢)という言葉を口にした点にある。

「中国の夢」については「China2049―秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略」(マイケル・ビルズベリー著、日経BP社、2015年刊)で著者は40年間の中国担CIA部員がこう書いている。(以下41-50p)

『中国の夢』の原本は中国国内で出版されてベストセラーとなり国家の統制下にあるすべての書店で「推薦図書」の棚に飾られた。

著者の劉明福は(人民解放軍国防大学の大佐で指導的学者)で『100年マラソン』の理論『100年かけて中国は米国を抜いて世界一の覇権国になる戦略』が書かられている。それが1947年のスタートなので2049年に覇権を目指すというわけである。

『中国の夢』のの巧妙な戦略とは・・

①  毛沢東の「社会主義を奉じるわれわれは、イデオロギーの戦いで最適者として勝ち残るために、あらゆる状況を利用しょう」

②  中国人は世界の頂点の地位を回復するという歴史的野望によって動いていおり、「中国の歴史が語るのは、中国人は自国を世界最強の国にしようとするが、チャンスが訪れるまでその野望を隠すということだ」(鄧小平)の戦略である。

③  「21世紀における中国の最大の目標は、世界一の強国になることだ。世界のリーダーシップを握るには、国際的レベルの軍事力が必要だ」と劉は言う。

④  「アメリカの弱みを研究し、西洋が中国の本当のゲームプランに気がついたらすぐアメリカを打倒できるよう、準備しておく」と劉は言う。

⑤  毛沢東は「アメリカを超すための壮大な計画を練り、アメリカの打倒は人類に対する最大の貢献になると述べた」と劉は讃える

⑥  現代中国思想の主流派の趨汀陽の『天下体系-歯界制度哲学導論(2005年に出版)では「伝統的な中国の理想像に基づいて世界の構造を作り直すことだ』と述べている。

⑦  この書によると世界(中国流では天下)は「『最も優れた』中国文明を頂点とする、統合された世界システム」とであり、「アメリカなどの他国の文明は「野蛮人」の文明にすぎず、中国には、文明化した世界の中心として、全世界の国家と国民を「調和」させ、「向上」させる(すなわち、中国の価値観や言語や文化を学ばせて、天下により順応できるようにする)責任がある。

⑧  そして、中国が世界の覇権を握ったこの「帝国」は「自由より秩序、法より倫理、民主主義と人権よりエリートによる支配に価値を置く」というのである。

―これこそ、<核心的利益政策>によって大清帝国時代の領土を奪還したいという『中国の膨張政策の夢』というわけで、中国3000年の歴史で強固に作られた『中華思想』『華夷序列思想』の延長線上のものであり、現在の国際秩序(国際連合の思想】とは全く相反するものであることがわかる。

――――――――――――――――――――

日本リーダーパワー史(204)『日本は西洋覇道より,東洋王道を目ざせ』孫文の「大アジア主義」

2011/10/23

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/2833.html

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究 , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
知的巨人の百歳学(135)ー昭和天皇(88歳)-『皇太子時代のヨーロッパ青春の旅で、広く世界に目を開き、人格・思想形成の原点となり帝王学の基礎となった。』

  昭和天皇は皇太子時代のヨーロッパ訪問で、広く世界に目を開き、人格・ …

no image
日本リーダーパワー史 (22) 『世界の知の極限値』ーエコロジーの世界の先駆者だよ、南方熊楠先生は・・(上)

日本リーダーパワー史 (22) 『世界の知の極限値』ーエコロジーの先駆者・南方熊 …

no image
日本リーダーパワー史(146)国難リテラシー・『大日本帝国最期の日』(敗戦の日) 陸軍省・参謀本部はどう行動したのか④

 日本リーダーパワー史(146)   国難リテラシー・『大日本帝国最期 …

no image
世界史の中の『日露戦争』⑦『開戦必至の情勢』(32日前)日英同盟から英国は日本が抹殺されるのを座視しない』『タイムズ』

  『日本世界史』シリーズ   世界史の中の『日露戦争』⑦-英国『タイムズ』 米 …

no image
知的巨人の百歳学(149)ー人気記事再録/ 百歳学入門(30)『歴史有名人の長寿と食事①天海、御木本幸吉、鈴木大拙、西園寺公望、富岡鉄斎、大隈重信

     2011/07/19百歳学入門(30) …

『オンライン憲法講座/<エピソード憲法史>④』★『現憲法はペニシリンから生まれた?>』★『毎日新聞スクープから始まった憲法草案!』★『天皇日蝕論』★『白洲次郎のジープ・ウェー・レター』★『『アトミック・シャンシャイン』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)

   2006年8月15日「憲法第9条と昭和天皇」/記事再録 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(197)『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉘『開戦1ゕ月前の「独フランクフルター・ツワイトゥング」の報道』ー「ドイツの日露戦争の見方』●『露日間の朝鮮をめぐる争いがさらに大きな火をおこしてはいけない』●『ヨーロッパ列強のダブルスタンダードー自国のアジアでの利権(植民地の権益)に関係なければ、他国の戦争には関与せず』★『フランスは80年代の中東に,中国に対する軍事行動を公式の宣戦布告なしで行ったし,ヨーロッパのすべての列強は,3年前,中国の首都北京を占領したとき(北支事変)に,一緒に同じことをしてきた』

    2017/01/09 &nbsp …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(263 )/『東日本大震災/福島原発事故発生の3日前の記事再録(2011/03/08)』★『ガラパゴス/ゾンビ国家になってはいけない』★『ロジスティックで敗れた太平洋戦争との類似性』★『1千兆円の債務を抱いて10年後の2020年以降の展望はあるのか?」

(2011/03/08)記事再録―日本リーダーパワー史(130) 『自 …

no image
日本メルトダウン脱出法(777)「19歳のメディア王 タヴィ・ゲヴィンソンらが見つめる未来」●「課金の壁に突き当たる新聞業界」●「ユニクロで難民100人雇用へ 柳井氏「解決に民間も」

  日本メルトダウン脱出法(777)   19歳のメディア王 タヴィ・ …

『欲望・利益最優先資本主義から公益資本主義へチェンジする講座』★『百年以上前に<企業利益>よりも<社会貢献>する企業をめざせ、と唱えた公益資本主義の先駆者』ー渋沢栄一(日本資本主義の父)、大原孫三郎(クラレ創業者)、伊庭貞剛(住友財閥中興の祖)の公益資本主義の先駆者に学ぶ』

     2019/01/09日本興亡学入門⑩記事 …