日本リーダーパワー史(339) 水野広徳『日本海海戦』の勝因論②—東郷平八郎長官と秋山真之参謀、国難突破の名コンビ
2015/01/01
ために東郷という名長官の下に秋山という名参謀をこの国に
前坂 俊之(ジャーナリスト)
幸に局面は無事に拾収された。それは幕僚の手腕にもよるであらうが、泰然として不動自若の長官の態度によったものと思はれる。長官という職責に伴う無形の人格力の偉大なると共に、長官に対する認識を是正せざるを得なかった。
長官は床の置物ではなく、少くも無くてはならぬ漬物の重しであることを知った。長官の値打は才能よりも、手腕よりも、豪胆不動の性格的偉大さである。
だから日露の海戦は事実において秋山によって計画され、東郷の名において実施されたのであることは、島村参謀長の言によって保証せられて居る。裏面における秋山の勲功は参謀長よりも、長官よりも、偉大であったというも必ずしも過言ではない。
いう名長官の下に秋山といふ名参謀をこの国に与へたのではないかとさえ思われる。
次の戦争の場合、誰が第二の秋山たり得るかは、誰が第二の東郷たるかよりもなお一層重大なる意義を有する問題である。
松田の落胆としょげ方は側の見る目も気の毒な程であった。
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