前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための日本最初の民主主義者・中江兆民講座④』★『中江兆民(53)の死に方の美学』★『兆民の唯物論とは「続一年有半」(無神・無霊魂)の現代訳では、以下になる」』 』

   

以下は『民権の獅子』日下藤吾著、叢文社、平成三年刊)による「続一年有半」(無神・無霊魂)を現代訳である。

●「兆民の唯物論とは」

「そもそも哲学(理学)というものを研究するには、五尺の体のなかに小さくちぢこまっていてはダメだ。もともと空間といい、時間といい、世界といっても、こういうものには元来、始めの有るわけは無く、
また上下とか、東西とかに極限の有る道理もさらにない。だから、そもそも五尺の躯とか、人類とか、小さく考えてしまって、自分だから、そもそも五尺の躯とか、人類とか、自分一個の利害とか、希望とかに身動きできぬように縛られて、
人間以外の犬や猫やモグラや糞ころがしを軽べつし、人間という動物だけをあたかも〝万物の霊長〟であるかのように自分勝手に妄想するから、神が存在する精神は不滅であるとか
、肉体が亡びても霊魂だけは肉体から離れて永久に生き残るというような、人間という動物に都合のいい議論を並べて立てて、非論理にして且つ非哲学的なタワ言を言うようになるのだ」。
(『民権の獅子』日下藤吾著 叢文社、平成三年刊)
 
 
「プラトンや、デカルトや。ライプニッツなど、いずれも宏遠達識の大学者でありながら、知らず識らずのうちに自分の死後の都合を考え、自分と同種の動物、すなわち、人類の利益に誘惑されて、天道とか、地獄とか、唯一神とか、霊魂の不滅とか、自分らが大層なしろものとして有難っているものがいずくんぞ知らん単なる言語上の泡沫バブルでしかないことを知らないで、臆面もなく書物を書いているのは、まことに笑止千万と言う他はない。
同じく、欧米の有名学者の多くが母親の乳を吸うのと同時に自分の体内に吸い込んだ〝迷信″に支配されて、無神とか無霊魂とか言うと、あたかも大罪を犯しているかのように考えているのは、これまた笑止千万である。
とりわけ、大病にかかって一年、半年と死に近づいている末期癌患者のような人間にとっては、慈愛と公正の権化であるような神が存在し、肉体が亡びても霊魂は死せる肉体を去って独自の生命を維持し続けるとしたら、大いに慰められるところがあろう。
だが、それはそれとしても、わが輩は生れてここに五十五年、神が存在するとか、霊魂は不滅であるとかいうようなタワ言を吐く勇気は不幸にしてもち合わせていない。」(同『民権の獅子』)

 

 - 人物研究, 健康長寿, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
イラク戦争研究②-イラク戦争とアラブ衛星放送の影響―アルジャジーラを中心にー②

イラク戦争とアラブ衛星放送―アルジャジーラを中心にー②              …

no image
日本メルトダウン脱出法(822)「米投資家ソロス氏「中国のハードランディングは不可避」」●「中国の「海に浮かぶ原子力発電所」 来年には建造開始」●「「アジアの優良上場企業50社」 日本は1社、韓国4社、中国25社」

  日本メルトダウン脱出法(822) 米投資家ソロス氏「中国のハードランディング …

no image
『巣ごもり京都観光動画』★『世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)参拝の全記録』☆『石川五右衛門が「絶景かな・」とうたった大山門へ』☆『京都三大山門の1つを拝観、高さ22メートルかから、京都市内を見渡す、まさに絶景だったよ』

  世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)に参拝すー石川五右衛門が「絶景 …

『Z世代のための日中韓外交史講座⑪』★『『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉖ 長崎事件を語る」(日本は国力、軍事力で中国には全く比較できないほど劣位である)

『中国紙『申報』からみた』㉖『日中韓150年戦争史 長崎事件を語る」(日本は国力 …

no image
尖閣問題・(資料)『日清戦争にみる日中誤解(パーセプション・ギャップ)の衝突③中国は機に乗じ勝利を収める

  尖閣問題・日中対立の先駆報道の研究 (資料)『日清戦争にみる<日中 …

『Z世代への昭和史・国難突破力講座㉑』★『昭和経済大国』を築いた男・松下幸之助(94歳)の「健康長寿経営法」★『病弱だったことが成功の最大の要因。健康だったら、 仕事も自分でやろうとして、そこそこの成功で終わっていたかもしれない』

2015/11/12/知的巨人たちの百歳学(140)記事再録・再編集  松下電器 …

no image
日本メルトダウン脱出は不可能か(695)ガラパゴス日本株式会社の終焉、「東芝は明らかに粉飾」と専門家 過去の粉飾事件に匹敵する巨額さ」

    日本メルトダウン脱出は不可能か(695)   上場廃止回避も… …

『オンライン/2022年はどうなるのか講座②』★『異常気象とコロナ共生、経済再生の2022年(下)』★『TPPでの中国、米国の態度  』★『第2次岸田内閣スタート―前途多難が続く』★『内向き日本と将来を見据える米欧、中国』★『スピード、決断力、逆転突破力が勝負を分ける』

(以下は2021年11月15日までの情報分析で、3人による放談です) ★『異常気 …

no image
日本リーダーパワー史(593)『安倍外交への提言(2)「 明治以来、最高の戦略家・児玉源太郎と後藤新平の黄金コンビの台湾統治の成功―そのしたたかな英国流の「植民地統治外交術」に学べ

日本リーダーパワー史(593)  『安倍外交への提言(2)  明治以来、最高の戦 …

no image
日本リーダーパワー史(592)『安倍首相への提言(1)ー明治以来、最高の戦略家・児玉源太郎と後藤新平の黄金コンビの 台湾統治のリーダーパワーに学べ

日本リーダーパワー史(592)  『安倍首相への提言(1) 明治以来、最高の戦略 …