日本リーダーパワー史(439)日米中韓150年戦争史②『征韓論の深淵』大院君は日本の外交関係などへとも思ってなかった②
2015/07/26
日米中韓150年戦争史をしっかり踏まえて
<日本版NSC>はどう対処すべきか②ー
<尖閣、竹島問題で歴史健忘症の日本、歴史誇大症の中国、
歴史錯覚被害妄想症の韓国、米国の失敗続きの
対朝鮮政策の4重ネジレを読み解く>
自国過大評価の韓国民族性と過少評価の日本の認識
ギャップから対立、戦争へ発展した日中韓現代史②
<『征韓論の深淵』-大院君は仏・米戦争に勝利したと
誤解し、日本の外交関係などへとも思ってなかった>
前坂 俊之(ジャーナリスト)
★<歴史家・木村毅著「続・まわり燈籠」(井上書房、1961年)の中で
第一話「尊族殺傷の法律」(1-8P)で次の内容を紹介している>
「米朝戦争」「辛未洋擾」とはWikiでは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%9B%E6%9C%AA%E6%B4%8B%E6%93%BE
ペリーが日本を開国して、建国以来はじめて、世界外交のイニシアティブとって面目を保ったアメリカは、その勢いで朝鮮をも開国させようとして、明治4年6隻の黒船が漢江(ハンガン・かんこう)をさかのぼった。
フランスの侵攻以来、朝鮮では八十門の大砲をそなえて待っていたので、その準備たるや江戸湾の品川台場の比でなかった。アメリカのアジア艦隊司令官ジョン・ロジャーズは長崎で朝鮮征伐の 艦隊5隻を編成、江華島に向かい明治4年(1871)6月11日、激しい砲撃戦の末、アメリカは久留里浜の先例にならって六百五十人の兵をあげたものの、韓軍の激しい抵抗にあい白兵戦が翌日正午まで続いた。
しかし、米軍が勝利し広城鎮を制圧した。朝鮮軍は240名以上が戦死したが、米軍の被害は少なかった。米軍は朝鮮軍の多数の武器・軍旗を戦利品にして、すぐ帰投した。江華島を占領したものの、開国条約をむすばぬのなら、よその土地を取ったって仕方がないとの判断で、さっさとひき上げたのだ。
アメリカにとって朝鮮は日本、中国ほどの経済的、地政学的な利用価値がなかったのである。「韓国は日本よりも一層、厳重なる鎖国なり」と北京在住の大使ロウが米国務長官に報告書おくっている。
一方、朝鮮の方では、もう一度アメリカが反攻してくるものと、必死で防御していたが一向にその気配がない。「これは足腰のたたぬほど、ぶちのめされ、アメリカが敗北したのだ」とフランス戦同様に手前みそに解釈し、大戦勝利の祝賀祭を大々的に行ったのである。
「米国の侵略を防いで、国土を防衛した」と大々的に宣伝した大院君の声望は国中を圧して、朝鮮は世界一と誤認してしまう。アジアでは日本も含めて西欧列強の圧力にすべての国が屈し、開国を余儀なくさせられたのに対して、唯一朝鮮のみが大院君の名采配でフランス、アメリカを追っ払たというとんでもない錯覚、誤解、過信をうんで、舞い上がってしまった。
まるで日露戦争での日本海海戦の東郷平八郎のよう国王の実父・大院君は幼い国王に代わって実権を完全に掌握し国内の名声を不動のものとした。
こうした時期に、事情を知らない日本の使節か修交条約を結びにいったのだか、余りにタイミングが悪かった。、鉄板にピンポン玉を投げつけたように、はね返されたのである。
「近事、貴国の使節の乗ってくる船、きてくる着物をみるに、在来の倭風と違って、夷狄(いてき)の物である。かくの如きは日本人とはいえない」
純粋の日本は古い修交国だが、夷狄化した国とは、修交の歴史もなく、その希望ももたぬ、寄りついたら打ち殺すぞ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%A4%B7
と、散々なあいさつだった。
結局、このすれ違いが征韓論の原因となったのだが、日本のこれまでの歴史には、大院君の鎖国・排外政策、西欧の軍事力についての認識不足、日本の開国への不信と蔑視について詳細に究明した書物が、私はないように思う、と木村毅は指摘している。
この指摘を読んで、確かに北朝鮮の今回の張成沢氏の残忍無比な粛清、処刑のやり方や、国際社会が長い間さんざん手を焼き、振り回されてきた核開発疑惑やミサイル発射に見る北朝鮮の一連のならず者国家の無軌道なパターンのルーツがここに端を発して、いまだに民族の行動パターンはあまり変わっていないことがわかる。
今度は日本側からも日朝修好条約の締結に向けての行動を見ていく。
明治維新とともに新政府は最初に朝鮮との修好関係を結ぼう使節を派遣したが、さんざんな目にあった。今回の拉致問題、北朝鮮交渉の困難さと同じパターンである。
明治政府が国内改革と同時にまず対馬藩を通じて隣国の朝鮮政府に、いち早く修交の使節を送った。しかし、朝鮮・李王朝は長年の中華思想の影響で中国を宗主国と仰ぐ一方、華夷序列から遠く離れたベトナム、東南アジア、日本などを夷秋(文明化しない野蛮人)禽獣(獣に等しい存在)と蔑む冊封体制(事大朝貢体制)の意識を持っていた。
朝鮮国王・高宗(李太王)の実父で実権を握っていた大院君はこうした文化的優越主義(中華思想)にこり固まり、日本を東夷と低く見て、鎖国・排外政策をとっていた。しかも、仏・米戦争に勝利したと誤解して自信満々、日本などへとも思ってなかったのである。外圧で鎖国を解いた明治新政府に対して、中華秩序への挑戦と敵視していたのだ。
明治元年(1868)11月、明治新政府は王政復古の内容を通告して朝鮮に修好を求めた。だが、文書のなかに「皇」「奉勅」などの文字が入っていたことに朝鮮側は驚き、会見を謝絶し、国書を突き返した。「皇」は中国皇帝にしか使われない漢字で、そのため天皇が朝鮮国王の上に立つことを意味することになり、日本が朝鮮支配の野心を持っているものと誤解した。
朝鮮は日本の開国の要請は内政干渉であると強く反発し、両国の異文化衝突、異文化認識のズレ、誤解がエスカレートした。
明治3年10月、外務卿の代理が交渉に行ったが、朝鮮政府は引見を拒否した。さらに、5年3月にも代表を送って返事を催促したが、これまた回答を先延ばしした。両国とも自文化優先主義思考から、相手側が無礼な態度をとったと怒りを募らせた。
とくに日本側はイギリス、ロシアなど西欧列強が砲艦外交で中国、朝鮮に門戸開放を迫っているなかで、朝鮮が列強に支配されれば日本も危ないと強い危機感を抱いていた。
おとなしい太政大臣(首相に相当)三条実美までもが征韓論を主張して、明治6年7月に閣議に諮った。木戸孝允、大久保利通らは岩倉使節団として外遊中だったが、西郷隆盛を全権大使として談判のために朝鮮に派遣することが閣議で決まった。これが「征韓論」といわれるものである。
(つづく)
◎「日本リーダーパワー史(304)『日韓外交衝突のルーツ』李氏朝鮮の攘夷思想で
日本大使の拒絶、親書拒否で敵意を募らせ、征韓論が噴出
http://maesaka-toshiyuki.com/top/detail/1478
●「張氏の処刑で未知の領域に突入する北朝鮮情勢―識者の見方
◎「張成沢氏、処刑直前に拷問か 「火炎放射器」観測も
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013121401001925.html
●「不安要因さらしてまで死刑に 張氏問題の根深さ示す
http://sankei.jp.msn.com/world/topics/world-14890-t1.htm
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