知的巨人の百歳学(123)-初代ベンチャービジネスの真珠王・御木本幸吉(96歳)➂ー<エジソンは「自分は『人工真珠』だけは発明できなかった」と御木本を絶賛した>★『異文化コミュニケーションの天才で、外国人とのコミュニケーションに抜群の才能を発揮システム』
2018/12/14
2016年5月26日/記事再録日本リーダーパワー史(713)
初代ベンチャービジネスの真珠王・御木本幸吉【96歳)
<エジソンは「自分は『人工真珠』だけは発明できなかった」と御木本を絶賛した>
2016年5月、伊勢志摩サミットで勢ぞろいした世界のリーダーたち。胸元におそろいの美しく輝く『真珠のアクセサリー』をつけていた。世界に先駆けて発明された≪ミキモト真珠≫である。今からやく120年前の1893年(明治26年)に独力で『人工真珠』の養殖に世界で初めて成功した御木本こそ「日本発展の基礎」『貿易立国』日本の先駆者である。
Wiki御木本幸吉
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E6%9C%A8%E6%9C%AC%E5%B9%B8%E5%90%89
首脳の胸元に輝く真珠“世界中に届く場所に” http://www.realplay.com/channels/tbsnewsi/synopses/359742
志摩国鳥羽(三重県)の神明湾の養殖場で、 御木本幸吉(36歳)、うめ(29歳)夫婦は人工真珠の種を埋め込んだアコヤ貝を開けていた。莫大な借金をつぎ込み「狂っている?」「大法螺吹きや!」と 周囲から疎んじられながら、徒手空拳で真珠の人工養殖に取組んできて、早や5年がたつ。
来る日も来る日も何百というアコヤ貝を開くが、一向に変化はない。明治26年(1893)7月11日、妻うめが相島(現在の真珠島)の養殖場でいつものように開けた貝の中にピンクに輝くものがあった。驚いたうめは大声で幸吉を呼んで確認すると、紛れもない半円形の5ミリほどの真珠ができていた。人工真珠を世界で初めてできた瞬間である。
「その時歴史が動いた」風に言えば、105年前のこの明治26年(1893)7月11日こそ、わが国ではじめて世界的なベンチャービジネスが誕生した歴史的な日なのである。
御木本幸吉は安政5年(1858)年1月に 志摩国鳥羽(三重県)でうどん屋の長男でまれた。明治11年、21歳の時、当時、東海道はまだ鉄道が開通していないため、江戸時代と同じく徒歩で11日か けて上京し、文明開化の風が吹く東京、横浜の異人街など、2ヵ月間も商売の勉強と新知識の吸収に出かけた。
ここで、外国人たちがアワビや干魚、海産物 などを高額で買いあさり、中でも天然真珠が世界の王侯貴族、金持ちに愛される女性の最高の装飾品であり、最高級の輸出品であることを知った。商才に長けた 幸吉は世界のビジネスに目を開くとともに、やり方次第で地元の海産物を世界的ブランドにできるとピンとひらめいた。
30歳で東大・箕作佳吉博士の指導を受けながら、全財産をつぎ込み、英虞湾の孤島に一家で移住して、真珠の養殖に取り組んだ。半円真珠の養殖成功に力を得て、さらに天然の真珠に近い真円真珠の開発に悪戦苦闘する。赤潮、冷水の発生によって養殖貝が全滅するなどの大被害に何度も襲われながら、そのたびにさらに大借金と血のにjむような研究開発の努力によって、最終的に真珠養殖の技術が完成したのは明治38年(1905)、幸吉48歳の時であった。
「資源もない」「金もない」「情報もない」「技術もない」ないないづくしの当時の日本で御木本はモノづくりによって外貨を稼ぐ「貿易、技術立国」しかないことを見抜いて、独力で真珠養殖にチャレンジして、成功したのである。
明治38年、 明治天皇が伊勢神宮に行幸した際に、御木本は「世界中の女の首を真珠でしめてご覧にいれます」と大見得を切ったが、その通りミキモト・パールの大部分は海 外に輸出され、外貨を大いに稼いだ。その意味では豊田佐吉と並ぶ独創的な発明王であり、日本人初の国際ビジネスマンであったといえよう。
御木本の独創性は
① 100年以上も前に地方のハンディーを乗り越えて、三重県という片田舎の海産物を世界な高級ブランド、高価な輸出品に仕上げた「地域おこし、町おこし」の典型的な成功事例
② 明治44年のロンドン支店を皮切りにパリ、ニューヨークに出店するなど海外販売網を築き、日本企業の海外進出のさきがけとなった。
③ 来日した世界のVIPがこぞって真珠島を訪れたが、御木本は大いに歓迎して、真珠と日本を大いに売り込んだ「PRの天才」だった。
④ 異文化コミュニケーションの天才でもあり、外国人とのコミュニケーションに抜群の才能を発揮した。
昭和2年(1926)2月、欧米視察旅行にでかけた御木本はニューヨークでエジソンと会見、「私はダイヤモンドと真珠だけはどうしてもできなかった。その真珠を発明されたことは世界の驚異です。おめでとう」と世界の発明王から絶賛され、当時69歳の御木本は大感激した。
もう1つ御木本の偉大さは、明治の経済人の中でも最も長寿であったことで、独自の健康法、食事法を実践して、96歳8月の長寿を保ち、昭和29年9月にその生涯を終えた。
関連記事
-
-
『リーダーシップの世界日本近現代史』(293)★『安倍・歴史外交への教訓(5)』「大東亜戦争中の沢本頼雄海軍次官の<敗戦の原因>」を読む―鳩山元首相の「従軍慰安婦」発言、国益、国民益無視、党利党略、 各省益のみ、市民、個人無視の思考、行動パターンは変わらず
2015/11/08   …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(107) ◎『気がかりな「アベノミクス」の景気動向(2 / 7)』
池田龍夫のマスコミ時評(107) &nbs …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(78)『ピンチの日本原電、電力各社が救済資金(2・27)『福島原発事故後2年、炉内の状況は深刻(2・25)
池田龍夫のマスコミ時評(78) ◎『ピ …
-
-
<クイズ>世界で最高にもてた日本人とは誰でしょうかーー「ハリウッドの王者に君臨した早川雪洲じゃよ」②
世界で最高にもてた日本人とは誰でしょうかーーー 「ハリウッドの王者に君臨した早川 …
-
-
『外国人観光客への鎌倉古寺ガイドー最もおすすめは「妙法寺」、800年前の鎌倉時代の面影残る奇跡の苔の寺「クール・ジャパン・テンプル」だよ
2014/10/25 /youtube動画再録,編集 前坂 俊之(ジャーナリスト …
-
-
『50,60,70歳のための晩年長寿学入門』★「史上最高の天才老人<エジソン(84)の秘密>③』★『天才は1%の霊感と99%が汗である」★『白熱電球のフィラメントの材料に世界中から6000種以上の植物を採集、日本の竹を使って成功した』
2024/08/27   …
-
-
梶原英之の政治一刀両断レポート(2)『原発事故が菅下ろし政局の主役だった!ー原発解散になるとみる理由』
梶原英之の政治一刀両断レポート(2) 『原発事故が菅下ろし政局の主 …
-
-
『オンライン/日本宰相論/講座』★『日本最強の宰相・原敬のリーダーシップーその見事な生き方、人・金の使い方は④<同僚・後輩には「富と名誉は諸君の取るに任せる。困難と面倒は自分に一任せよ」が口癖だった>』
2012/08/04 日本リーダーパワー史(292)記事再録 &nb …
-
-
『Z世代のためのオープン講座』★『2022年の世界情勢はどう変化したのか(上)』★『米中間選挙の結果は?下院は共和党、上院は民主党が維持へ』★『トランプ氏が機先を制して出馬表明』
前坂俊之(静岡県立大学国際関係学部名誉教授) 202 …
-
-
日本リーダーパワー史(715)★『財政破綻必死の消費増税再延期」「アベノミクス大失敗」 「安倍政権終わりの始まり」を議論する<君よ、国をつぶすことなかれ、子供たちに大借金を残すことなかれ>これを破ればレッドカードだ。
日本リーダーパワー史(715) <『財政破綻必死の消費増税再 …
