前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のためのウクライナ戦争3年目講座①』★『赤い旗(共産主義国家)の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないうことだ(ユダヤの格言)』★『3年半が経過したウクライナ戦争はプーチン・ロシアの歴史的体質とトランプ氏の支持で、戦争終結はさらに伸びそうだ』

   

 /『オンライン/ウクライナ戦争講座』記事再録
ロシア社会主義「ジェノサイド」国家の運命はどうなるか?
『歴史-それは、人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない』とは英国の歴史家・エドワード・ギボン(1737~1794)の言葉だ。ロシアプーチン大統領(ツアー)によるウクライナ戦争の残虐行為、ジェノサイドを見続けているとつくづくそう思う。

英BBC(2022/4/4)によると、「ウクライナの首都キエフ周辺地域からロシア軍が撤退したことで、ロシア軍による無差別殺人の痕跡が次々と明みに出ている」という。ウクライナ民間人が手足を縛られ、後頭部を撃たれて処刑されていた遺体や、証拠隠滅のため焼かれたかのような遺体も複数見つかった。「410人の市民の遺体が運び出された」(ウクライナの検事総長), 「数百人の市民が殺害された。世界がこれまでに見たことのない悲惨な行為だ」(北東部スムイ州知事)などウクライナ側は「残忍な戦争犯罪の決定的な証拠だ」と強く非難した。

国連のアントニオ・グテーレス国連事務総長は、独自調査を呼びかけた。国連の人権当局によると、民間人1400人超が死亡、2000人以上が負傷したという。実際の数はこれよりはるかに多いとみられている。

ロシア政府は、ロシア軍がブチャで民間人を殺害した事実はないと、証拠も上げず全否定した。ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、国連の安全保障理事会で演説し「第2次世界大戦以降、最も悲惨な戦争犯罪だ」としてロシアを強く非難した。
ウクライナとEUは戦争犯罪などを捜査するため合同捜査チームを立ち上げ、国際刑事裁判所に証拠を収集して提訴する方針だ。

米国はロシア制裁をさらに強めた。ロイター(22年4月5日)によると、米国は5日、同国金融機関のロシア政府口座からドルを支払うことを停止すると発表した。これまでロシアが米国の金融機関に持つ口座から「ドル建て債務の返済」を行うことを個別には認めてきたが、それを完全ストップし、ロシアをデフォルト(国家破産)に追い込む方針だ。

ますます追い込まれていくプーチン「共産主義国家」はどう出てくるのか毎日、目が離せない。歴史的にみると共産主義国家の本質は今も全くかわらない、

「赤い旗の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないうことだ」とのユダヤの格言があるが、的を得ていると思う。

カール・マルクスが大英図書館にこもって独創的な共産主義理論の『資本論』を書いて出版したのは1867年で、明治維新の1年前のことだ。その後、資本論は社会科学と称され、社会主義のバイブルとなったが、社会科学と称する以上、実証的、実験作業によって真実を証明する必要がある。薬品などの場合は、モルモットで実験したり、化学的な実験によって、その成果を証明しなければ薬品として認証されない。

マルクス理論もまず、小さな国で小規模に行われれば犠牲、被害は少なくてすんだのに、いきなり世界一大きな国ロシアと世界一人口の多い国中国で資本論をバイブルにして壮大な、ユートピアをめざしてレーニンによるロシア革命(1917年)、毛沢東による中国革命(1949年成功)が実験されて、建国した。
その間にギボンのいう『人類の犯罪と愚行と不幸の歴史』が言論の自由を封鎖した『監獄国家』『収容所列島』の中で繰り返されてきた。
マッシュ・ホワイト著の大作「人類の犯した大罪―殺戮の世界史」(全731頁、早川書房、2013年刊)によると、両国の革命勃発、内戦、外戦の過程での失政、暴政、虐殺による犠牲者は『旧ソ連』『中国』の場合、三千五百万人から四千万人に上るという。その内訳は、中国の『大躍進運動』による犠牲者が二千二百万人、文革による犠牲者が六百万人。旧ソ連では、シベリアの収容所で死亡した者が七百万人、少数民族の強制移住による犠牲者が三百万人、農業集団化の強行による犠牲者がウクライナを中心に三百万人など人類の「大量虐殺」「ジェノサイト」の歴史であることを示している。
結局、マルクスという経済学者が発明した経済理論は、実験にほぼ一世紀を費やした結果、人命尊重、人権重視の現代政治体制では壮大なる失敗であり、最悪の政治体制であったことがすでに証明されている。

ちなみに同書による共産主義国家による大粛清、処刑、強制収容所、飢餓、民族浄化、水漏れのするボートでの必死の逃走のための死亡者数の推定値は中国、ソ連についで➂北朝鮮:300万人④エチオピア200万人➄カンボジア170万人➅ベトナム:36万5000人(1975年以後)⑦ユーゴスラヴイア:17万5000人⑧東ドイツ10万人⑨ルーマニア10万人⑩北ベトナム5万人(内部で1954-75)などと数字を挙げている。

以上は、死者の推定値だが、戦争、内乱、飢餓による難民の数値は同書の中にも示されていない。今回のウクライナ戦争では、グランディ国連難民高等弁務官の3月20日のツイッターでは避難民が1000万人を超え侵攻前のウクライナの人口は約4200万人だったのが、約4人に1人が避難を強いられた。」

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日中韓外交の教科書―1894(明治27)年11月26日 英国「タイムズ」掲載 日清戦争4ヵ月後―『日本と朝鮮―日清戦争の真実』(上)

日中韓外交の教科書―英国タイムズ報道の「日清戦争4ヵ月後―『日本と朝鮮―日清戦争 …

『Z世代のための日本敗戦史研究』★『日本敗戦の日(1945年8月15日)、惨殺された森赳(たけし)近衛師団長の遺言<なぜ日本は敗れたのかー日本降伏の原因』★『日露戦争に勝利すると、本当の実力で勝ったと錯覚し、一躍、五大強国にのし上がったと思いあがった』★『近代合理的精神の欠如、秘密隠ぺい主義など<人間を幸福にしない日本というシステム>がいまだに続いている』

  2010/02/10   日本リーダーパワー史 …

no image
日本の〝怪物″杉山茂丸(すぎやま・しげまる)(一八六四~一九三五)

1 日本の〝怪物″杉山茂丸(すぎやま・しげまる)(一八六四~一九三五 …

『Z世代のための 百歳学入門(216)』<松原泰道老師!百歳>『 生涯150冊、百歳こえてもマスコミ殺到!』★『 その百歳長寿脳の秘密は、佐藤一斎の『言志晩録』に「見える限り、聞こえる限り、学問を排してはならない、とある。私も、いまや、目も見えない、耳も聞こえませんが、読み、書く、話すことは生涯続けたいと思います』

  2018/03/17    …

no image
『リーダーシップの日本近現代史]』(26)-記事再録/トラン大統領は全く知らない/『世界の人になぜ日中韓/北朝鮮は150年前から戦争、対立の歴史を繰り返しているかの連載⑶』ー(まとめ記事再録)日中韓異文化理解の歴史学(3)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く』 (連載70回中、37-50回まで)

日中韓異文化理解の歴史学(3) 『日中韓150年戦争史の原因を読み解く』 (連載 …

no image
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』ー『2018年、米朝戦争はあるのか』⑦『「北朝鮮を容赦しない」と一般教書演説で見せたトランプ大統領の「本気度」』★『ヘーゲル元米国防長官「北朝鮮への先制攻撃は無謀。日本も大惨事を免れない」』★『米海兵隊トップ、北朝鮮との地上戦に言及「厳しい」戦闘に備え』★『中国が密かに難民キャンプ建設──北朝鮮の体制崩壊に備え』

 『2018年、米朝戦争はあるのか』⑦ トランプ米大統領は1月30日、就任後初と …

『 Z世代のためのス-ローライフの研究』★『元祖ス-ローライフの達人・仙人画家の熊谷守一(97歳)のゆっくり、ゆっくり、ゆっくり』★『小学校の時、先生はいつも「偉くなれ、偉くなれ」というので、「みんなが、偉くなったら、偉い人ばかりで困るのではないか」と内心思った』

 2023/11/12の「」百歳学入門」の記事再録 <写真は5月29日 …

『オンライン講座/財界巨人たちの長寿・晩晴学①』★『渋沢栄一、岩崎久弥、大倉喜八郎、馬越恭平、松永安左衛門―『<〝晩成〟はやすく〝晩晴″は難し>』★『晩晴は人生そのものを第一義とし、真に老いに透徹した達人でなければ達し得ぬ人生最高の境地こそ〝晩晴〟である』

  2012/12/29  百歳学入門( …

no image
★「コロナ騒ぎの外出自粛令で、自宅で閉じこもっている人のためにお勧めする<面白い人物伝>★<超高齢社会>創造力は老人となると衰えるのか<創造力は年齢に関係なし>『 ダビンチから音楽家、カントまで天才が傑作をモノにした年齢はいずれも晩年』★『 ラッセルは97歳まで活躍したぞ』

  <創造力は年齢に関係なし、世界の天才の年齢調べは> 前坂 俊之 ( …

no image
百歳学入門(236)『百歳挑戦・鎌倉バカ仙人のカヤック釣り日記』(9/15) 人気動画再録「60,70はなたれ小僧、生涯現役、カヤック人生」★『定年なし、年齢差別なし、老人観の全く違う米国では65~74歳はベビーオールド(赤ちゃん老人)、75~84歳まではリトルオールド(小さい老人)、84~94歳はヤングオールド(若い年寄り)、95歳以上がリアルオールド(真の高齢者)』

 2014/09/15 記事の再録/百歳学入門(99) 『百歳挑戦・鎌 …