前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(540)「FOREIGN AFFAIRS REPORT」(2015年1月号)の警告➂「TPP交渉、農業改革は今年前半がラストチャンス」

      2015/01/18

 

日本リーダーパワー史(540)

 

「FOREIGN AFFAIRS REPORT」(2015年1月号)の警告➂「TPP交渉、農業改革は今年前半がラストチャンス。「日本沈没か」、「日本再浮上か」は安倍首相のリーダーシップにかかっている」

 

「FOREIGN AFFAIRS REPORT」(2015年1月号)に2つの注目すべき論考がのっている。「嵐の前の静けさー 次にブラックスワン化する国は」(ナシーム・ニコラス・タレブ、グレゴリー・F・トレバートン)と「<アベノミクスー第3の矢はどこへいった>ゾンビ化したアベノミクス」(リチャード・カッツ)である。

日本リーダーパワー史(539)同(538)では「嵐の前の静けさー 次にブラックスワン化する国は」について言及したので、今回は「<アベノミクスー第3の矢はどこへいった>ゾンビ化したアベノミクス」(リチャード・カッツ)を取り上げる。リチャード・カッツ氏はオリエンタル・エコノミッウ・リポート・エディターである。

その論文の概要はーー

① 安倍政権は、輸出促進策の一環とし円安を誘導し、円の価値は30%低下した。
② 競争力を強化するための構造改革を先送りしているために、円安効果はほとんどなく、国内経済の成長は停滞し、勤労者世帯の実質可処分所得はl年前と比べて6%低下した。
③ 安倍政権が3本の矢の2つの景気刺激策と金融緩和を、構造改革という困難で時間のかかる手術をするための麻酔薬として利用せず手術(構造改革)をしなかった。
④ TPP交渉が進展しない大きな理由は、日本政府が、牛肉、豚肉、乳酸品、小麦など、農産品の輸入障壁撤廃を拒絶していること。市場を開放すれば大きな利益を手にするのは日本の消費者であるのに、それを拒んでいる。
⑤ 日本の消費者は、家計所得の14%を食品の購入に充てている(アメリカは6%)。外国の食品に市場を開放し、食品産業の改革を実施すれば消費者は節約できた分を他の消費に充てることができる。
⑥ 安倍政権は少数の農産品や食品の生産に関わる10万の家計の利益を守るために、4600万家計の生活レベルを犠牲にしている。多くの農家は高齢化し、兼業農家が多く、政府の補助金や年金などに依存している。

安倍首相は農協改革に強い意欲を示しており、「第3の矢」を強くいることが期待される。

●『農協改革の本丸「全中解体」へ 、地域農協の自由度を高める
http://diamond.jp/articles/-/65117

安倍首相:JA全中に「脇役に徹していただきたい」
http://mainichi.jp/select/news/20150117k0000m010107000c.html

●『2015年度政府予算案を緊急レビュー 「美しい予算」に隠されたカラクリを暴く

――明治大学公共政策大学院教授 田中秀明
http://diamond.jp/articles/-/65204

TPP妥結 安倍首相の本気度米国の政治スケジュールなどを考え合わせると、

15年は TPP 妥結のラストチャンスの年になりそうだ。

https://books.google.co.jp/books?id=v7cZBgAAQBAJ&pg=PA96&lpg=PA96&dq=TPP%E5%A6%A5%E7%B5%90%E3%80%80%E5%AE%89%E5%80%8D%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%AE%E6%9C%AC%E6%B0%97%E5%BA%A6&source=bl&ots=698Zi3QvDa&sig=SqCkr3YXq01vupgaI2HWIggc4eY&hl=ja&sa=X&ei=GQ65VIDaEee3mAXN_YHYAw&ved=0CDkQ6AEwBQ

 

[amazonjs asin=”4480067612″ locale=”JP” title=”農業問題: TPP後、農政はこう変わる (ちくま新書)”]

 - 現代史研究 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破の交渉力」➃『『軍事、外交は、嘘(ウソ)と法螺(ほら)との吐きくらべで、吐き負けた方が大損をする。国家の命脈は1にかかって嘘と法螺にある。『 今こそ杉山の再来 が必要な時」』

  2014/08/09 /日本リーダーパワー史(520)「ほら丸を自 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(54)記事再録/「世界が尊敬した日本人―「司法の正義と人権擁護、冤罪と誤判事件の弁護に 生涯をかけた<史上最高の>正木ひろし弁護士をしのんで』★『「日本は戦前も、戦後もー貫して暗黒なんだね。国民は一度もルネッサンス(人間解放)を経験していない。僕はこの暗黒の社会を照らす〝残置灯″を自負しているのだ。将来の日本人の一つのモデルになればと思っている。いわば僕自身の人生が実験だね」』

2013-11-11 <月刊「公評」(2013年11月号)に掲載> 前 …

no image
★5記事再録『ガラパゴス・日本マスメディア(新聞/テレビ)のブラックボックスとしての記者クラブ制度―その歴史と弊害

日本マスメディアの特殊性―記者クラブの歴史と問題点       <現代ジャーナリ …

no image
『リーダーシップの日本世界近現代史』(299)★『国家危機管理としての新型コロナウイルス対策、東京オリンピック開催中止問題を考える➂」★『歴史的教訓①ー約100年前の関東大震災直撃の際には「総理大臣」はいなかった』★『昭和史の教訓②国大といえども戦いを好む時は必ず滅び、(令和)天下安しといえども戦を忘るる時は必ず危うし(水野広徳)』』

 2011/04/06 / 日本リーダーパワー史(137)記 …

『Z世代への遺言」(玉音放送の現代訳音声付)「日本を救った奇跡の男ー鈴木貫太郎首相③』★『鈴木首相の「玄黙」「治大国若烹小鮮」「汐待ち」』★『鈴木首相と昭和天皇の「阿吽の呼吸」で、戦争に終止符を打った<日本の最も長い日>』

  2024/08/20  記事再録再編集 &nb …

「Z世代のための台湾有事の歴史研究」★『2023年台湾有事はあるのか、台湾海峡をめぐる中国対米日の緊張はますます高まってきた』★『過去千年にのぼる中国・台湾・日本・琉球の戦争と歴史のねじれを研究する』①

  前坂 俊之(ジャーナリスト)    ヨーロッパでは、多く …

日本メルトダウン脱出法(613)◎「FT執筆陣が占う2015年の世界」ほか

    日本メルトダウン脱出法(613)     …

no image
日本リーダーパワー史(621) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑮ 『川上操六参謀本部次長がドイツ参謀本部・モルトケ参謀総長に弟子入り、 ドイツを統一し、フランスに勝利したモルトケ戦略を学ぶ①

 日本リーダーパワー史(621)  日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑮ 『川 …

no image
速報(75)『日本のメルトダウン』 『世界経済のメルトダウン?(英エコノミスト誌)』『今は戦争状態だと認識すべき/小出裕章』

速報(75)『日本のメルトダウン』 『世界経済のメルトダウン?(英エコノミスト誌 …

no image
片野勧の衝撃レポート(35)太平洋戦争とフクシマ⑧悲劇はなぜ繰り返されるのかー原発難民<中>「白河以北一山三文」⑧

  片野勧の衝撃レポート(35)   太平洋戦争と …