『日本リーダーパワー史』(1235)『トランプ次期大統領、石破首相の内憂外患』★『トランプ政権始動ー閣僚人事で報復、復讐か!』(11月15日までの情報分析です)
2024/12/25
トランプ次期大統領、石破首相の内憂外患
前坂俊之(ジャーナリスト)
米大統領選挙は大接戦の予想に反し、トランプ氏が7激戦州も制し、圧勝した。同時に行われた議員選挙でも上院を制し『トリプルレッド』(上下院共和党)となった。民主党バイデン大統領は政権移行を平和裏に行うことを約束したが、トランプ氏は捧腹、復讐人事を行ない、混乱・紛糾が続いている。(この情報分析は11月15日までのものです)
(A)「11月5日に投票が行われた米大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78歳)が勝利したね。前回2020年の大統領選での敗北の後、4年ぶりにホワイトハウスに返り咲いたわけです。トランプ氏は2回の弾劾訴追を受けた唯一の大統領で、米国史上最高齢で大統領に就任する。また連続しない2回目の任期を務めるのは、19世紀末のグロバー・クリーブランド以来2人目となります」
(B)「選挙前は大接戦が予想されたが、いざふたを開けてみると、郊外や地方に加えて、歴史的に民主党が強い一部の大都市やペンシルべニア州、ノースカロライナ州など激戦7州も全部制して予想以上に大勝になった。米メディアは、「史上最大の復活劇だ」とたたえる一方で、第2次トランプ政権の誕生によって「不透明な新時代を迎える」と予測不能な4年間を不安視する内容も伝えている」
(C)「早々とFOXTVが当確のニュースをながすと、トランプ氏はフロリダ州パームビーチで、家族や副大統領候補のJD・バンス上院議員、共和党指導者らと共に登壇し、勝利宣言、「米国はわれわれに前例のない強力な権限を与えた」と語った。
一方、ハリス氏は6日午後、ワシントンの母校の大学で「米国の民主主義の原則は、選挙に敗れた場合にその結果を受け入れることだ。多くの人が暗黒の時代に突入したと感じているが、もしそうだったとしても「暗闇が深いほど星は輝く」(キング牧師の言葉)諦めずに努力をしましょう」と訴えたね」
(A)「また、米大統領選と同時に実施されている連邦議会選は5日、上院(定数100、改選34)を巡って共和党が少なくとも52対48で民主から多数派を奪還し『トリプルレッド』に4年ぶりになった。トランプ氏は大統領として万能の権限を握ったことになり、。これからはやりたい放題で公約実現に爆走する可能性が高い。恐怖だね」
(C)「今回、有権者の投票行動について民主主義と経済の二つが大きな争点になっていた。FOXTVやCNNなどの出口調査では、有権者の約35%は民主主義が最重要問題だとし、31%は経済。女性の人工妊娠中絶を挙げたのは14%、移民問題は11%です。いざフタを開けると、経済問題、インフレ、物価高、個人の収入の減少、つまりフトコロ具合、生活苦がパワーを持ったトランプ氏の方が、現状を変えてくれると感じて、投票したのではないか、見られる」
(B)「また、有権者の半数(多くは低学歴の白人男性)が、インド系黒人の女性がホワイトハウスの主人公になることに「レッドカード」を出したわけです。トランプ支持派の白人女性もカレー臭くなるのはイヤだ」(など露骨な人種差別を示していた。激戦7州に住む黒人、ヒスパニック、アジア人の有色人種中でも、収入格差によって人種差別、男女差別感が複雑に入り混じって対立し、最終的にトランプ氏への投票行動につながったのではないか」
●トランプ大統領の二期目はどうなるか?
(A)「トランプ氏の勝利は、米国の外交安全保障問題、ウクライナ戦争、自由貿易や気候変動政策、移民問題などに大きな影響を及ぼすことは間違いない。トランプ氏は24年2月、北大西洋条約機構(NATO)を離脱する可能性を示唆し「安保ただ乗りは許さない」として、拠出額の少ないNATO加盟国に関して「金銭的義務を果たさなければ、ロシアに好き勝手を促す」と発言、加盟国に一層の負担増を求めていた。また、ウクライナ戦争については、私が大統領になれば「1日で、解決し戦争をやめさせる」と豪語していた。ウクライナへの膨大な軍事、武器援的、財政的な援助をストップするとも報じられている」
(C)「対アジア政策でも中国から圧力を受ける台湾には「米国の半導体業界の仕事を奪っている」と批判し、中国から守ってほしいなら対価を払うべきだと主張している。 日本に対しても「米国は日本を守るが、日本は米国を守る義務がない日米安保条約の片務性」に不満を募らせて、米軍駐留経費の一層の負担増を要求している。
日経(2月4日付)によると、トランプ前米大統領の下で国防長官を務めたマーク・エスパー氏は「トランプ氏が当選すれば、日本に対して防衛費の国内総生産(GDP)比率を「2%超」の水準にさらに積み増すことや、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増額を求める可能性が高い」とも伝えられています」
(B)「トランプ氏は世界各国からの輸入品に一律10%の関税を課すと宣言、さらに選挙中に20%に引き上げると発表した。 中国に対しては60%以上の関税を課し、メキシコ経由で米国に入ってくる中国車には100%を課すと訴えた。 こうした高関税は外国から輸入する原料や製品の価格上昇を招き、米国内の物価上昇、インフレにつながって消費者を直撃する。中国も米国に高関税で対抗する「米中関税貿易戦争」が一層エスカレートするか可能性が高い」
(A)「いずれにしても、2025年は第二次世界大戦終結から80年目。強権的で破壊的、非民主的なワンマン・トランプ大統領の再登場によって、国際政治経済秩序は大きく変動するだろう。米国内の分断、分裂状況は、世界大乱に発展するかどうか、世界はかたずを飲んで見守っているのです」
●トランプ政権始動ー閣僚人事で報復、復讐か!
(C)「11月7日、トランプ次期大統領(78歳)は選挙対策本部長を務め、過去2回の大統領選でもトランプ氏を支援したスーザン・ワイルズ氏(67歳)を首席補佐官に抜擢すると発表した。首席補佐官に女性が就任するのは初めて。ワイルズ氏は勝利を請け負う「選挙のプロ」で「トランプの衝動を抑えられる「猛獣使い」として有名で、トランプ氏が失言すると「もっと慎重な発言を」と厳しくアドバイス、トランプ氏も素直に従い、今回の大勝利につながった。その手腕が高く評価され、ホワイトハウスのかじ取り役を任された」
(B)「トランプ大統領の1期目は人事で何度も失敗し、政権が混乱した点を反省。2期目は「忠誠度」を第一条件として身内で固めて「トランプ・ドクトリン」を最大限実行する方針を示した。今回の選挙では、共和党候補が総得票数で民主党候補を20年ぶりに上回った。上下院でも共和党が多数を制した。大統領令による承認人事の対象には、終身制の最高裁判事も含まれる。トランプ前政権下では3人の判事を任命し、現在は9人の判事のうち6人が保守派で固めた。22年には女性の人工妊娠中絶の権利を認めた半世紀前の最高裁判決を覆した。民主主義の原則「言論の自由」と三権分立のうち「立法権」と「司法権」を握り、あと「行政権」を完全に握るため「スケジュールF」の実施を強行するのではとみられる」
(A)「この共和党の主要政策の「スケジュールF」とは何かー。現在の連邦政府の政治任用者は約4,000人だが、「スケジュールF」が導入されると、それが10倍以上の 5万人まで拡大させることができる。政策形成に関わる上位のポストほどスケジュールFへの転換可能性が高い。これが実施されれば「合衆国憲法に忠実な政府上位職員」や「民主党系やトランプ氏に反対した職員」を大幅に人員整理し、トランプ氏の意向にそう職員の大量採用が可能となる。大統領の意向がダイレクトに政策実施され、スピードをアツプできるわけです」
(C)「トランプ政権移行チーム」は早速始動し、11月末までに主要な高官人事を決めると発表した。まず、経済、貿易メンバーには前政権で米通商代表部(USTR)代表だった対中強硬派のライトハイザー氏がついた。同氏は自由貿易や貿易赤字を問題視する立場で日本を含む同盟国にとっても脅威となりそうだ。
国務長官には、マルコ・ルビオ上院議員が起用された。同氏は、日本や中国などの東アジア政策に詳しい対中国戦略のエキスパートで中国・イラン強硬派。「米国が直面した中で最大かつ最先端の敵国が中国だ」と主張していた人物です」
(A)「さらにトランプ氏は12日、イーロン・マスク氏と共和党の候補者レースに出馬していた実業家のビベック・ラマスワミ氏の2人が共同で新たに設ける「政府効率化省」を率いると発表した。 トランプ氏は「官僚機構を解体し、過剰な規制を撤廃し、無駄な支出を削減し、連邦政府機関を再編する道を切り開いてくれるだろう」と述べた。 マスク氏も連邦予算の約3割にあたる「2兆ドル(約300兆円)を削減できる。政府の無駄遣いに関与している多くの人々に衝撃を与えるだろう!」と強調した。 また、国防長官には保守系のテレビ「FOXニュース」で司会者を務める退役軍人のピート・ヘグセス氏(44)を起用すると表明した。ヘグセス氏は陸軍の兵士として、イラクやアフガニスタンに派遣された短い軍歴の持ち主です」
つづく
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