高杉晋吾レポート①『関東最後の巨大ダム 八ッ場ダム、ヒ素・25億人致死量が水源に』
2008年12月
関東最後の巨大ダム 八ッ場ダム、ヒ素・25億人致死量が水源に
高杉晋吾(フリージャーナリスト)
八ッ場ダムは首都圏の飲料水確保、洪水防止の目的で建設計画が進んでいる首都圏最後の多目的ダムです。50数年前までは吾妻川は、白根山系の強い酸性水が流れ、魚の棲めない、鉄を熔かしてしまう<死の川>でした。建設省はダム建設を断念していた川でした。
ところが、建設省(現国交省)は、上流に石灰による中和システムを造り、酸性水を中和すれば吾妻川は酸性ではなくなり、死の川は甦ると言って品木ダムを作り、一旦中断していた八ッ場ダム計画を再浮上させました。多くの反対を押し除け、急ピッチで周辺工事を強行しているダムにはこのような過去があったのです。

ところが、私たちの調査でこの中和システムはとんでもない危険なシステムであることが判明しました。
①中和システムは、吾妻川水系の一部中和しているだけで、全体を中和してはいません。
②中和システムには、万代鉱という硫黄鉱山跡地から流出する大量の湯に混じるヒ素(毎年50トン)が溜まっており、致死量に換算すると25億人分にも相当する大変な量となっています。
③中和システムには膨大な量の中和生成物が溜まったまま行き場を失っており堆積する一方です。この堆積物は、やがて崩れて品木ダムに流れ込みダムを崩して土石流となり、完成した八ッ場ダム崩壊の危機を招きかねません。
④ダム崩壊の時には、ヒ素を含む酸性水は吾妻川を奔流し、利根川、江戸川、中川、見沼代用水、武蔵水路、荒川に流れて吾妻川周辺町村、首都圏市町村1500万人に洪水災害と慢性ヒ素中毒の蔓延をもたらすことになります。
中和システムとは、「酸性の強い孫支流河川の湯川に石灰で中和する工場を造り、湯川の酸性水を引き込んで中和した生成物を下流に流し、品木ダム湖を下流に作って中和生成物を溜める。ダム湖に堆積した中和生成物を浚渫して水を絞り、セメントにまぶして品木ダム湖の周辺に三つ作った処分場に埋めるという計画です。中和工場―品木ダム―三つの処分場、これが中和システムです。
*ご質問は下記、高杉にご連絡くだされれば、説明および資料提供をいたします
代表、高杉晋吾 連絡先:℡04-2962-1238 FAX04-2965-1402
関連記事
-
-
速報(444)『日本のメルトダウン』『参議院選挙後のアベノミクスはどうなるか』●『日中韓150年戦争のルーツはエスノセントリズム』
速報(444)『日本のメルトダウン』 ●『参議院選挙後の …
-
-
『Z世代のための世界現代史入門講座』(23年4月20日まで)ー『混迷する世界と「チャットGPT」●『トランプ前米大統領の裁判』●『プ―チン氏の戦争犯罪』●『習近平氏と台湾有事』●『日本の話題はWBCと大谷選手に集中』★「チャットGPT」が日本の救うのか』
混迷する世界と「チャットGPT」 『米国+NATO+ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(230)/「厚労省の不正統計問題」は「不正天国日本」を象徴する事件』★『大本営発表ではウソの勝利を発表し、戦果は米戦艦、巡洋艦では一〇・三倍、空母六・五倍、飛行機約七倍も水増した』★『昭和の軍人官僚が国をつぶしたように、現在の政治家、官僚、国民全体が「国家衰退、経済敗戦」へ転落中であることを自覚していない』
2019/02/18 日本リーダーパワー非史(969) 「 …
-
-
日本メルトダウン(903)『 チャイナリスク・お笑い「中国劇場」の一席!』 だから、中国は嫌われる「前近代・共産党独裁 人権低国・習近平皇帝・封建国家」のお粗末!
日本メルトダウン(903) チャイナリスク・お笑い「中国劇場」の …
-
-
『オンライン現代史講座/2・26事件とは何だったのか①』-「日本最大のクーデター」2・26事件でトドメを刺された新聞』作家・広津和郎の新聞批判「八百長的な笑い」★『2・26事件の3か月後に起きた阿部定事件、お定は<世直し大明神>と旋風を起こす』
『2・26事件とは何だったのか』(戦時下の愛のコリーダ」 前坂俊之×「2・26事 …
-
-
『オンライン/米日豪印対中国の軍事衝突は日清戦争の二の舞となるのか』★『日中韓の誤解、対立はなぜ戦争までエスカレートしたか」ー中国・李鴻章の対日強硬戦略が日清戦争の原因に。簡単に勝てると思っていた日清戦争で完敗し、負けると「侵略」されたと歴史を偽造する」
『 日本リーダーパワー史(614)』記事再録/日本国難史にみる『戦略思 …
-
-
★日本の最先端「見える化』チャンネル(1/30)『省エネ大賞を受賞した三菱電機の家庭用エアコン『霧ケ峰FZシリーズ」の高い技術力がよくわかるプレゼン動画(15分間)』
「ENEX2019 第 43回地球環境とエネルギーの調和展」(1/ …
-
-
日本リーダーパワー史(608)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』④『明治維新後、世界に初船出した日本丸はどこを目ざすべきか』―明治のトップリーダーの『インテリジェンス』長期国家戦略「富国強兵」政策はビスマルクの忠告から決まった。
日本リーダーパワー史(608) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』④ 『明 …
