小倉志郎の原発レポート(3)★『政府や電力会社が「安全を確認した上で」という枕言葉にだまされないようにしましょう』
小倉志郎の原発レポート(3)
★『政府や電力会社が「安全を確認した上で」とい
う実質的な意味がない枕言葉にくれぐれも、
だまされないようにしましょう』
小倉志郎(元・原発技術者)
東電と原子力規制庁の「原発の安全」に関する本音を、図らずも、
2日間続けて聞くことができました。
1.6月11日(火)@新橋東新ビル
東電原子力センターと「東電と共に脱原発をめざす会」との対話の会:
「原発の安全を東電は具体的にどう考えているか?」というこちらの
事前に渡した質問に答えるために、普段は顔を見せたことのない
◎松本純一原子力改革特別タスクフォース事務局長代理
という人物が、選ばれて出席しました。この人の回答のポイントは次の通りです。
1)原発の安全性の判断として、原発の周辺(敷地境界)での被ばく線量値は
現在検討中で今は言えない。
2)原発が100%安全とは言えない。
3)安全のための目標は決めず、さらにより安全をめざすのが今の東電のスタンス。
2.6月12日(水)@参議院議員会館
原子力規制庁と「原子力規制を監視する市民の会」(市民の会)の交渉:
原子力規制庁・技術基盤課 田口氏は、市民側からの「電力会社の重大事故対策の
説明を審査する場合の『安全』とは具体的にどういう内容か?」という質問に対して
次のように回答しました。
1)第一義的に原発の安全の説明責任は電力会社にある。
2)規制庁としては、電力会社の対策が規制基準の条文を満足しているかを評価する。
3)規制基準を満足していれば原発が安全とは言えない。
会場の市民の間に驚きと怒りの声が沸きあがりましたが、司会者が「この問題は重大で、
この答えは受け入れられないが、時間が無いので」と、他の質問へ移ることになりました。
以上のように、東電も原子力規制庁も「原発の安全」とは何か?という問いに、具体的に
答えることができない状態にあることがはっきりと確認できました。
したがって、原発推進側の政府や電力会社が「安全を確認した上で」という枕言葉を
並べても、それは実質的な意味がないということです。
くれぐれも、この枕言葉にだまされないようにしましょう。
●「小倉志郎の原発レポート(2)★『地震に対する原発の安全確保
のための規制は無きに等しい現状』 (6/6 )
http://maesaka-toshiyuki.com/top/detail/1991
小倉志郎(おぐら・しろう)氏の略歴
1941年東京生。慶大工学部卒、同大学院機械工学修士。
日本原子力事業(後に東芝が吸収合併)に入社。35年間、原発の開発・建設・運転の全過程に従う。退職後、論文「原発を並べて自衛戦争はできない」http://chikyuza.net/n/archives/8887執筆を機に、平和・反原発運動へのコミットを深める。「3.11」以後は、講演会などに多忙な日々を送る。「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」世話人。
●「『シビアアクシデントは許さない』という記述を入れるべき」小倉志郎氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2887.html
●「小倉志郎(元・原発技術者)のレポート『「原発の安全」とは?-
普通の市民の感覚で』考えよう
http://maesaka-toshiyuki.com/detail?id=1844
関連記事
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座⑬』★『昭和戦後の日本が敗戦(1945)のどん底から立ち上がり復活を遂げたのは松永安左エ門(95歳)が産業基盤の電力増産(水力発電ダム)を建設し、9電力体制を実現して高度経済成長の大波にのったことだ①』
2024/05/21 「電力の鬼」 …
-
-
日本リーダーパワー史(498)『アジア太平洋戦争から69年を前に「憲政の父」・尾崎咢堂の『敗戦の反省』(1946年)を読む
日本リーダーパワー史(498) 来年(1 …
-
-
片野勧の衝撃レポート(58)戦後70年-原発と国家「封印された核の真実③隠されたヒロシマ・ナガサキ①」
片野勧の衝撃レポート(58) 戦後70年-原発と国家<1945 ~52> 封印 …
-
-
知的巨人の百歳学(123)-初代ベンチャービジネスの真珠王・御木本幸吉(96歳)➂ー<エジソンは「自分は『人工真珠』だけは発明できなかった」と御木本を絶賛した>★『異文化コミュニケーションの天才で、外国人とのコミュニケーションに抜群の才能を発揮システム』
2016年5月26日/記事再録日本リーダーパワー史(713) 初代ベンチャービジ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(66)記事再録/ 日本の「戦略思想不在の歴史⑴」(記事再録)-日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか①
2017年11月13日 日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起こったか 今から …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(965)ー2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか』④『2021年の米大統領選でトランプ再選の目はない。』★『今年は日本は外交決戦の年になる,安倍首相の地球儀外交の真価が問われる。』
2021年の米大統領選でトランプ再選の目はない。 中間選挙の結果、米議会は下院は …
-
-
日本メルトダウン脱出法(724)「焦点:難民危機が問うEUの真価、再び深まる「東西の亀裂」●「落第」習近平を待つアメリカの評価
日本メルトダウン脱出法(724) 分岐点迎えた「安倍トレード」、海外勢の円売り …
-
-
速報(477)『放射能汚染水阻止の総合対策本部と特攻隊を結成せよ』「汚染水処理問題、放出準備に着手すべき=米専門家」
速報「日本のメルトダウン」(477) ●今からでも遅くな …
-
-
日本リーダーパワー史(304)『日韓外交衝突のルーツ』李氏朝鮮の攘夷思想で日本大使の拒絶、親書拒否で敵意を募らせ、征韓論が噴出
日本リーダーパワー史(304) 『日韓外交衝突の歴史を検証する』 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(578)「香港デモ:中国共産党と国民の争い」(英エコ誌)●『日中間に衝突回避、紛争拡大防止システムがない」
日本メルトダウン脱出法(578) <チャイナリスク再び!> &nbs …
