前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

福島清のマスコミ時評(1)『宮澤・レーン・スパイ冤罪事件」の悪夢― 秘密保護法がもたらす弾圧の具体的な警鐘

   

  

 福島清のマスコミ時評(1)

 

◎『宮澤・レーン「スパイ冤罪事件」の悪夢

秘密保護法がもたらす弾圧の具体的な警鐘

 

    福島清元毎日新聞労組書記長

 

     

 絶対多数の自公政権は昨年暮、「特定秘密保護法」を強行可決した。戦前の「治安維持法」を想起させる言論弾圧を危惧する声が高まっている。国民の知る権利、情報公開が疎外される恐れがあるからで、秘密保護法廃案に向けての粘り強い世論喚起が必要である。

 

秘密保護法を契機に、戦前の軍機保護法下での「宮澤・レーン・スパイ冤罪事件」がクローズアップされてきた。秘密保護法がもたらす弾圧の具体的な警鐘として取り上げた新聞に、北海道新聞、十勝毎日新聞、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、週刊金曜日、しんぶん赤旗などがあった。読売新聞、産経新聞には報道した形跡がない。

 

     極寒の刑務所に収監され、死去した北大生

 

【事件の概要】太平洋戦争開戦日の1941128日、スパイ嫌疑(軍機保護法等違反)で検挙され、引き続く拷問と暗黒裁判によって桁外れの重罪に科されたのが北海道帝国大学生・宮澤弘幸と同大学英語教師だったハロルド・レーンと同・妻ポーリンである。

 

宮澤弘幸は網走刑務所に収監され、酷寒と劣悪な食糧事情で衰弱し、戦後釈放されたが1947年2月2227歳で死去した。レーン夫妻も収監されたが、19439月の日米交換船で送還された。北海道大学は、自大学の教官と学生が検挙されたことに対して当時の総長以下何らの救援努力もしなかった。

 

        冤罪被害者の数は多い

 

【スパイ冤罪事件の深刻さ】1993年に制作された告発ビデオ「レーン・宮澤事件―もうひとつの128日」で、藪下彰治朗・朝日新聞記者(故人)は「当時貼られた売国奴、スパイというレッテルはいまだに人間をすくみ上がらせている。(中略)国家秘密法の法律の怖さが骨身にこたえて分かってきた。あれから半世紀も経っているのにまだ震えている。隠れている。そこで本気で取材を開始したが、そんな状況だから例証が出てこない」とスパイ冤罪事件の抱える問題点を指摘した。

 

 現に宮澤弘幸の妹・秋間美江子さん(87歳)も、国家秘密法阻止運動で立ち上がるまでは「スパイの家族」とされてきたことをずっと秘して生活していた。藪下記者が指摘するように、スパイ冤罪被害者はまだ数多く存在することは間違いない。隠れたスパイ冤罪事件の発掘報道が切に待たれる。

 

        マスコミは監視機能を怠るな

 

【マスコミの責任】今回、自公政権が衆参で絶対多数を占めていたとはいえ、政府案の強行可決を許してしまったのは、マスコミが上程に至る大事な時期に警鐘記事を書かなかったことに責任がある。昨年118日付朝日新聞、とりわけ同紙大阪本社版は、社会面の大半を使って「軍機保護法 戦前からの警鐘」と題して秘密保護法の本質を報道している。過去を教訓に未来の安心・安全を引き寄せるのが報道だった。秘密保護法を廃棄させるためには、さらなる運動とともに、マスコミの存在意義を再確認してほしい。

 

(ふくしま・きよし)毎日新聞OB。「北大生・宮澤弘幸 スパイ冤罪事件の真相を広める会」事務局長。

 - 現代史研究 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『インターネット江戸学講義①』★『諸国を遍歴漫遊・遍歴して芸術創造にまい進した“歩くノマド”たち』★『90歳まで描き続き生涯現役を貫いた“歩くノマド”だった葛飾北斎』★『全国を歩いて学問を修め、発明した大天才「平賀源内」』★『紀州藩御庭番として各地を遍歴、膨大な著作を残した「畔田翠山」』

 2012/05/30  /『インターネット江戸学 …

no image
速報(26)『日本のメルトダウン』38日目ー◎『1・3号機で高放射能、保安院「内部作業困難」半年ではムリ!』

速報(26)『日本のメルトダウン』38日目 ◎『1・3号機で高放射能、保安院「内 …

「Z世代のための、約120年前に生成AI(人工頭脳)などはるかに超えた『世界の知の極限値』ー『森こそ生命多様性の根源』エコロジーの世界の先駆者、南方熊楠の天才脳はこうして生まれた(2)』★『独学/独創力/創造力/観察力/絵画力/集中力の研究』

2009/10/02 日本リーダーパワー史 (23)記事再録 『ノーベル賞を超え …

「世界最先端技術<見える化>チャンネル」『TSMC関連最新動画ニュース』★『半導体受託生産の世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)はソニーグループの半導体製造小会社の横の熊本県菊池郡菊陽町に建設予定。熊本空港、熊本市、阿蘇山との地理的関係などを現地レポートする。

「世界最先端技術<見える化>チャンネル」   工場建設のための造成工事 …

no image
世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記(2015 /10/10-18>「ペルー・リマかクスコへ向かう」スゴイ、感動、感激!水野国男(カメラマン)①

   2015/10/28  <世 …

no image
日本のメルトダウン(271)【4号機の危機】そうなると使用済み燃料の膨大な放射能が防壁もないから噴き出す(小出裕章)」ほか

          &nbsp …

no image
 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥1902(明治35)年2月19日『ノース.チヤイナ・ヘラルド」『日英同盟の内幕』●『西太后が信頼した外国は①米国②日本➂英国で『日本は血縁関係の帝国同士で、 中国に対する友情をもって決して外れたことはない』★『袁世凱とその同僚の総督たちは日本派で日英同盟を 結ぶようイギリスに働きかけた。』

 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥   …

no image
日本リーダーパワー史(636)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(29) 『川上操六の日清戦争インテリジェンス② 『広島大本営」設置と「ワンボイス」で陸海軍を指揮したリーダーシップと決断力「山県有朋を解任」

日本リーダーパワー史(636) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(29)   …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(97)記事再録/ 『中国/朝鮮行動学のルーツ⑥』『中国紙『申報』 からみた「中国が行っている冊封の儀と 属国の国力強化について」(1884(明治17) 年2月9日付)★『中国流のダブルスタンダード、言行不一致の典型で、南沙諸島での軍事基地の建設増設と同じパターン』

    2016/03/18 &nbsp …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(154)再録/『昭和戦前の大アジア主義団体/玄洋社総帥・頭山満を研究せずして日本の近代史のナゾは解けないよ』★『辛亥革命百年⑬インド独立運動の中村屋・ボース(ラス・ビバリ・ポース)を全面支援した頭山満』★『◇世界の巨人頭山満翁について(ラス・ビバリ・ボースの話)』

 2010/07/16  日本リーダーパワー史(7 …