前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史㊼ 「日本か朝鮮を取ろうとするのは,ロシア人の術中に陥っていることを論ず」

      2015/01/01

  

『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』

日中韓のパーセプションギャップの研究』


 1894(明治27)年12光緒20年申年6日 『申報』

 

 


日本か朝鮮を取ろうとするのは,ロシア人の術中に

陥っていることを論ず

 

 

日本は島国でその広さは朝鮮とほぼ等しく長さでは日本の方が長く,幅では朝鮮の方が広い。長短相揃う関係で実際は互いに優劣はなく,日本が朝鮮を併合しようとするならば,朝鮮が日本を併合することもできる。

さてその朝鮮は中国の属国であり,数百年間侵犯せず反抗しない相互関係が続き.朝貢を通じ暦書を頒布し,東三省の門戸に当たり中国を守る障壁となっている。

 

中国が朝鮮を安んじ慈しむのは,父親が子供を愛するのと同じなのだ。日本は東海の片隅に位置し,以前は他国との交通はなかったが,維新の後,西洋文明を慕って西洋諸国と通商し,一意専心に西洋のまねをし,すべての製造は巧みで,軍事・政治・言語はすべて西洋に倣っただけでなく.暦法を改め中国の礼制を変え書物を燃やすに至った。

しかしその器量才能は狭く浅いもので規模が小さく,いわゆる内容は大体備わっているが規模が小さいという代物だ。かっ日本はその長所を頼んで他国を蔑視し,先に台湾で小手調べをし,次に琉球を滅ぼして沖縄県とし,その後次第に朝鮮を狙うようになった。

 

思うにこれは琉球のことがうまくいったので,中国はまた度量が広いから.今

度も絶対問罪の師を起こさないだろうと思い盗み取っても恥と思わずにかえって名誉と思っているのだろう。日本が朝鮮に対して異心を持ったことは,1度や2度のことではない。

 

苦心惨澹してなんとか中国にその属国を失わせ.日本に対しその保護権を譲らせようと思っている。これはフランスがヴェトナムを取ったことに倣って,さ

らに無礼を働いているのだ。したがって中国人は,今回日本軍が朝鮮に赴いたといううわさを聞き,憤慨して顔色を変え腕まくりをして立ち上がらぬ者はいない。大衆の、意志と世論のこの様子を見れば,日本なすぐに平定できるだろう。

 

さて日本がこの大きな過ちを犯したのは.実はロシアの術中にはまったためなのだ。なぜかと言えばロシアは長い間朝鮮を虎視耽々と狙ってきた。

 

黒海で望みをとげられないため.東方国境で事が起これば必ず朝鮮を通って太平洋に通じようとすることが,ロシア人の宿願だろう。数年前小手調べをしたことがあるが,イギリス軍が巨文島に駐屯してのど元を制したので.ロシア人は困難なことがわかって退却した。

 

そこでイギリスは巨文島を朝鮮に返還して,同所に中英両国以外の他国軍が駐屯することを許さないと,中国と共に言明した。このことはロシア人の深く恨むところとなった。

 

しかしすでに陰謀が破られ自由に行動ができず,望みをかなえることができないため.ひそかに朝鮮をうかがい,それとなくほのめかすことで,陰で日本人を助けて朝鮮を狙わせることとした。

 

ひそかにロシアと結び,それを頼みとしているので日本はますます中国を軽んじて,まるで朝鮮は手につばして得ることができるかのようで,無茶を行いかつ道理に合わないことを言って,中国を脅迫しているが,それはきっと頼みとするものがあるからだ。

 

 

中国はロシア公使に調停を依頼したところ.ロシアは「もし両国が各自撤兵すれば調停するが,そうでなければ調停できない」と回答してきた。これは俗語のいわゆる「灯心の灰を食べる」ような愚か者の言葉だ。そもそも両国がすでに撤兵していれば.調停の必要などない。調停によって両国を撤兵させようと思ったときに.まず撤兵し終えてから調侍しようとするわけはない。

 

日本は逆に「中日の交渉はロシアと関係ない」と大言を吐いているが,これは外人の耳目を欺くためのものであって,その頼りとするものがロシアであることがますますはっきりしてきた。

 

もし中国がロシアのこの言葉を信じて即時撤兵すれば,必ずやこちらが撤退するに従ってあちらが進軍し,日本人の計略にはまって,朝鮮は2度と中国の領有するところとならないだろう。したがって中国は.ただ怠りなく準備して日本と決戦し,一心に共同の敵に憤り立ち向かえば.日本など簡単に平定できるのだ。

 

私は,中国が勝てばもとより中国の幸いだが,中国が少しばかり敗れてもま

た中国の幸いだと思う。中国は海軍を創設してから1度も実戦を戦ったことがない。

 

一戦を経験した後にその方式はますます精鋭になるのであって.以前の例を探せば,前に馬江の敗北があって後に鎮海の勝利があり,前に太原を失って後に諒山の勝利があったのがそのしるしだ。中国の兵は使えば使うほど強くなるもので,儒弱であるのは長い間実戦を経験しなかったからだ。

 

日本は累卵のごとく危険な状態にあるが.その自覚がないのは全くかわいそうだ。カマキリが蝉を捕まえたとき,すでにヒワが後ろにいても.カマキリは気づかず,蝉は知っていてもまた言わないのだ。朝鮮は蝉であり,日本はカマキリであり,ロシアはビワである。

 

が,当局者がこれを知らず.かつこのことを論じる者がいると聞くまいとすることは.直ちに国の滅亡に至ることであり後悔しても遅いのだ。愚人は哀れむべきだが惜しむに足りないことは,往々このようなものだ。今日本人はロシア人のひそかな援助を頼みとして中国の属国を侮蔑している。

 

もし中国が日本と戦わず,または戦って負ければ.朝鮮は朝に日本のものとなり,日本は夕にはロシアのものとなるだろう。

 

ロシア人は黒海で望みをかなえられなかったため,東方国境から進出しようとしているのだから,朝鮮を取るより日本を取った方がよいだろう。

朝鮮を得てもなお中国が口を出すおそれがあるが,日本を得れば安心して領有しほかに障害はなく.進出の望みはこうしてとげられるのだ。

 

このようになれば日本は苦心惨澹してただ他人のためにただ働きをしただけとなり,さらには朝鮮を領有できないだけでなく琉球も領有することができなくなり.国家は滅亡するだろう。日本には見識が深い者が多いのに,なぜ考えがここまで及ばないのだろうか。

 

 

 - 戦争報道 , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

  関連記事

no image
片野勧の衝撃レポート(28) 太平洋戦争とフクシマ① 悲劇はなぜ繰り返されるか「ヒロシマからフクシマへ」❶

  片野勧の衝撃レポート(28)   太平洋戦争と …

no image
日本リーダーパワー史(802)ー『明治裏面史』★ 『「日清、日露戦争に勝利』した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑱『10年以上続く北朝鮮核開発疑惑の無軌道行動に、国連安保理は手を焼いているが、100年前のロシアの極東への侵攻経緯,日露戦争の原因となった満州撤兵の約束無視と朝鮮への侵攻とダブって見える』★『『ロシアの恫喝外交』対『日本の交渉下手、我慢我慢外交』のすれ違いから、ついに堪忍袋を緒をきって、先制攻撃するパターンが日本の戦争のやり方』

 日本リーダーパワー史(802)ー『明治裏面史』★ 『「日清、日露戦争に勝利』し …

no image
『日中韓対立のルーツを知るために」ー『日清戦争始末』(明治30年刊)、徳富蘇峰の「風雲漫録」(日清戦争従軍記)を読もう

     ①  私は日中韓の対立のルーツ …

no image
 日本リーダーパワー史(753)–『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争を英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」は どう報道したか」を検証する①(20回連載)」★『6ヵ月間のロシアの異常な脅迫、挑発に、世界も驚く模範的な礼儀と忍耐で我慢し続けてきた 日本がついに起った。英米両国は日本を支持する」』

 日本リーダーパワー史(753)– 『日本戦争外交史の研究』 世界史の中の『日露 …

no image
『明治裏面史』 ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー, リスク管理 ,インテリジェンス㊷『児玉源太郎、福島安正の防衛戦略』★『日露戦争の本質はロシアの清国、朝鮮、韓国、日本への侵略戦争に対する 日本の自衛戦争であり、全世界の被植民地の民族に希望を与えた』

『明治裏面史』   ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,  リ …

no image
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑫「森正蔵日記と毎日の竹ヤリ事件⑤まきぞえをくった二百五十名は硫黄島 で全員玉砕した

   長期連載中『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑫ &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(952)ー『政府はこれまでの方針を大転換し、外国人労働者を受け入れの入管難民法案を提出、来年4月からは14業種で計約4万人を受け入れる方針』★『日米戦争の引き金になった「排日移民法」、大正時代に米国カルフォルニア州の日本人移民と現地の白人住民の間で生活、宗教、経済観念などで摩擦、対立がおこり「米国に同化できない民族だ」として1913年に「排日移民法」が成立した』

日本リーダーパワー史(952)   人口減少、深刻な人手不足対策として …

no image
日本の「戦略思想不在の歴史」⑶日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか③『現在の北朝鮮問題と同じケース、一国平和主義に閉じこもっていた鎌倉日本に対して世界大帝国『元』から朝貢(属国化)に来なければ武力攻撃して、日本を滅ぼすと恫喝してきた!、国難迫る!』

日本の「戦略思想不在の歴史」⑶ 日本で最初の対外戦争「元寇の役」の内幕 第4回目 …

no image
<イラク戦争とメディア> 『グローバルメディアとしてのアラブ衛星放送の影響』―アルジャジーラを中心に(下)ー

静岡県立大学国際関係学部紀要「国際関係・比較文化研究第2巻第2号」〈2004年3 …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < チャイナ・メルトダウン(1057)>『劉暁波弾圧/獄死事件と、約120年前に日清戦争の原因となった「上海に連れ出して殺害した国事犯・金玉均暗殺事件」を比較する』★『中国・北朝鮮には<古代中華思想>による罪九等に及ぶ族誅(ぞくちゅう)刑罰観が未だに続いている』

★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < チャイナ・メルトダウン(1057) …