『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㊻「(開戦3週間前)甲午戦争(日清戦争) が始まることを論ず」
2015/01/01
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年
日中韓のパーセプションギャップの研究』㊻
1894(明治27)年7月⒑日光緒20年申年6月8日 『申報』
(開戦3週間前)-甲午戦争(日清戦争)
が始まることを論ず
東方の海上にあって,その大きさはわずかに中国の2,3省にしか当たらない,もともとちっぽけな一小国だ。しかし.その身勝手な振舞いや意気盛んなさまは止めようがなく,いっもわが中国を軽んずる心がある。わが中国が寛容にこれを許したのは1度のことでなかったとすれば,どうすべきなのか。
恩義や恵みを思って後に,信頼で結ばれ仲良くますます親密になり.偽りも心配もなく,互いに侵したり欺いたりし年いようになってこそ両国は共に平和を享受し,アジアの興隆を将来に期待できるのだ。しかし日本は徳でなくかえって恨みを,礼譲でなくかえって威嚇を用いている。
最近,朝鮮の騒ぎに乗じて,救助という名目で,にわかに軍艦を集め、大いに軍団を起こした。軍艦を購い武器を磨き石炭を蓄え,あらかじめ戦争に使用するのに蓄えておかねばならないものはすべて行き渡っている。中国と戦うつもりがなければ,どうしてこうした事態に至ろうか。
昨日、日本から上海に来た電報は,上海にいる日本人に対し貿易をやめるように告げていた。これはまさに戦争の前兆だ。中国はロシアに調停を請い.ロシアは中日両国はまず撤兵して,その後議論すべきであると答えた。
これもまた必ず戦争があるということを示している。論者は次のように言う
「こと今日に至っては,中日両国の間に戦争がまさに始まると考える。朝鮮は中国の属国になって300余年,他の属国に比べて最も恭順だった。今その国に内乱が起こったので,出兵して救援に行くのは道理として当然なことだ。しかもその上朝鮮国王からの援助の要請を受け入れながら.反乱がまだ鎮圧されないのを傍観し.にわかに撤兵するのは道理に背くことだ。
ロシァ人は中日両国を共に引き立て同等に論じ,その説は公正的な立場に立っているようだが,本意としてはやはり日本に肩入れをしている。日本人は朝鮮を独立国にしようとしているが,本当にそうならばわが中国はどうして戦わないでおれようか。
まして中国は兵隊を鍛錬し武事を講習することは.1日にとどまらず.軍艦を増やし海軍を設け最新式の船を整え威光は海外にも及んでいる。
これらを経営し戦いの準備を進めてきてからすでに30余年が過ぎているのだから,ひとたび戦争が起これば.稲妻のごとく敵を一掃し迅速に勝利を収めることは容易なのだ。
かえって深謀遠慮する者は.なお戦争は災禍であり,勝敗の結果を請け合うことはもとより難しいし,両国の和を傷つけ万人の命を損なってもよいのかなどと思っている。
動揺することなく,使者を派遣して各国に布告し公法を基準として公正を論断させ,いわゆる,先に国境で戦闘を行うのではなく,まず穏やかな外交折衝を行う。
さもなければまず文書でもって告知し.後に軍事的な功績をあげると、いわゆる.力をもって戦わず,弁舌で戦い.兵をもって戦わず,文筆で戦うのである」と。
しかしすべてこうしたやり方では日本人を屈服させられないことを知るべきだ。日本人のうぬぼれた気持を増長させ,おごる心を拡大させるだけになる。もし今日、うまく取り繕って扱えば,しばらくの無事を願うこともできよう。
けれども後日、日本は必ずまず中国と共に事に当たると言いがかりをつけ.機会に乗じて争いを起こそうとするだろう。常に日本はこれまで一刻も利己的でなかったことはない。日本人はずる賢く中国との交際もしばしば変わり.血をすすって誓いを立てながらそれが乾かないうちにすぐ破棄してしまう。
どうして
そんな者との間に信頼がおけようか。日本がヨ一口ッパ諸国を恐れるさまは虎が媚びへつらうようなもので,怒らせてはならないとひたすら恐れている。ところが中国に対しては.手玉にとってもてあそぼうとしている。これには兵力で威圧しなければ.後日どうしてお互いのためになろうか。
そもそも前にあったことを忘れずにいれば.後のことの教訓となり,前者の軌は後者の手本とすることができる。日本人はまずわが台湾を侵略し,その後わが琉球を滅ぼした。
中国はこれをことごとく不問に付し.なだめつつも引きずられて今日に至った。このような早い時期から日本人は中国の対応をうかがっていたのだ。台湾での争いにはついに50万の金を支払うことになった。
琉球の滅亡に対しては進んで出兵しなかった。当時の論者は皆,次のように言った。「いったん戦争が始まれば,両国は死骸を野にさらすことになり,必要な戦費は何万金になるか見当もっかない。今は幸いにも交渉が保たれ兵も撤退していて.蜂火も郊外の野原を照らしていないし,死体が渓谷を埋め尽くすまでには至っていない。
両国の往来はなお以前と変わりはない。これが損失を少なくし,保全を拡大することなのだ」と。
ああ台湾を侵略した者はまず琉球を滅ぼし,琉球を滅ぼした者は将来,朝鮮を併合してやがては中国を犯すことを知らないのだ。このような言説をすでに私は16年前から言い,かって「古事紀聞」に書いたことがある。いわゆる,不幸な言葉は的中するということだ。当時,日本人は国家体制をまだ整えておらず,封建制を廃止して郡県制に移行し.華族や勢力のある家柄の者や頑迷固枢な国民と壮士たちは悪事を起こそうとうごめいていた。それなのに日本の国家財政は空っぽで紙幣の価値も日ごと低くなってきていて,軍隊を動かせば,国中は震動して.通商をしている諸外国は大いに異議を唱えた。
国外ではまさに軍隊が放れ国内では民衆が反乱を起こすという事態を見て,自力で救うこともできず,西郷隆盛という謀反人の反乱がごく近いところで起こったのを防ぐ余裕もなかっただろう。
こうした日本の実情を知らなかったのは大変悔しいことだ。このときもし戦争をすれば琉球は滅亡するはずがなかっただろう。知らぬまに何人かの日本の史官はこの一事を大げさに書き記し,わが中国に対し大いにそしりさげすむ言葉を述べている。
これは日本人が中国の抱える困難な問題を見抜いてのことだ。日本は琉球を滅ぼしている間に,わが国と文書の行き来があったが、漫然として,その言い方は定まらず,沖縄を日本内地と同一視しており,簡単に国王を捕らえ国を滅亡させられると述べた。
日本人はこのように勝手な行動をしても安閑として,決して気にせずにいたが,中国が詰問すればこれを不愉快に思った。
もし中国がこの一事でもって憤りを発して自ら戦争を行い軍隊を出して軍艦を動かし、その領土を取り戻しその国王を召還し,国内に信頼を打ち立て国外に威光を示していたならば.またどうして再び今日のような朝鮮を併合するという計略が生じただろうか。
軍隊はひたすら安閑とした状態におぼれまた兵事を忌み嫌い.あるいは軍備には多くの費用がかかると言い旧習につかって偽りの平和に安んじ.遠くから外国を操る術におごってなんの方法も講じようせず,ただその場限りの一時的な対応で一貫した計画を持っていない。すべて国外の状況には暗く,何重もの簾と幕で隔てられて
いるようなものだ。
これが在野のわれわれが痛切に嘆いて涙を流し深いため息をつく理由なのだ。要するに日本の習俗は才能を頼んで狡猾であり,武勇を好んで狂暴である。今日、西洋の法律に倣って得意になり.その意気はおごり高ぶって制御することができない。その強さは西洋諸国と張り合って譲ろうとせず,その武力を試す機会を得たいと望んでいる。
彼らは自分たちの国が,国土は小さく国民は貧しく財力も尽き実力もない.つまらぬ国であることを知らないのだ。そうでなければどうしてますます問題を起こすのか。自分たちの力量を知らないからだ。朝鮮は遼東半島と隣接していて,中国が必ず戦わなければならない場所であり,また属国を保持し小国を鎮撫するのも中国が当然行うべきことに過ぎない。
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