日中北朝鮮150年戦争史(39)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実]』④中国側から見た清国軍の実態ー腐敗していたので北洋水師は 全滅したと結論。解放軍も全く同じ体質。
2016/10/03
日中北朝鮮150年戦争史(39)
<歴史復習問題>
『120年前の日清戦争の真実]』④
中国側から見た清国軍の実態ー
腐敗していたので北洋水師は 全滅したと結論。
解放軍も全く同じ体質。
『日米中アジア開戦』陳破空著、文春新書(2014)によると、中国側から見た「日清戦争」の清国軍の実態が記されている。
陳破空は天安門事件の民主化運動のリーダーとして投獄され、アメリカに亡命してコロンビア大学の客員研究員などを歴任した人物である。
『第6章 百年の腐敗 北洋水師と解放軍』では
腐敗していたから北洋水師は日清戦争で
全滅したと結論している。
『清国政府が北洋水師に支給した軍事費のうち、弾薬、整備、訓練の三項目の費用のほとんどが幹部によって横領された。北洋水師司令官(当時は提督と呼称)の丁汝昌は率先して私腹を肥やし、砲弾の備蓄などそっちのけで、しかも清朝の兵站に、「砲弾は置く場所のないほどに蓄えられ、運搬を待つのみ」という電報まで打っている。
結局、いざ開戦となる三ヵ月前になって、大急ぎで砲弾を買い集めるが、開戦時には二隻の主力艦主砲に対し三発の弾丸しかないという始末だった。
大勢の艦長(当時は管帝と呼称)は職権を濫用して、軍事訓練や船や機械の整備の経費をすべて横どりし、手入れや修理をせず放置した。当時の清朝廷直隷の総督(現在の首相に相当)李鴻章は、北洋水師を視察した際、石ころを砲弾代わりにしているのを見て愕然とした。
「定遠」艦の砲術長は出航の際、甥を連れてゆき、艦上で遊ばせた。官や兵が腐敗していたのみならず、北洋水師修理工場の修理工でさえも例外ではなかった。彼ら修理工は二股の工人よりも高い給与を得ていたが、北洋水師からも甘い汁を吸っていた。楊貴光という修理工は家族にこのように話していた。「修理工場から鉄屑を持ち出して売り飛ばすと小遣い稼ぎができる」(同書153-155P)
金と色に溺れた清国海軍トップ、解放軍も同じ腐敗
『北洋水師はかつて「軍長(当時は総兵と呼称)以下、将官はみな一年中船上で起居し、役所も邸宅も建てない」という規定があった。
だが実際には、各艦艦長は基地の近くに私宅を構え、妻や妾と暮らしていた。北洋水師の基地があった山東省劉公島にはアへン吸引所や賭場、遊郭が林立し、七百軒以上にも及んだ。
司令官・丁汝昌は、ふだん艦隊を離れて妻や妾と暮らし、軍事のことなどおかまいなしに、ただ享楽に浸っていた。丁はさらに遊女を囲い、淫にふけっていた。また劉公島に店まで出してぼろ儲けをしていた。
一八八六年、北洋水師が日本の長崎を訪問した際、清国の官兵は遊郭に繰り出して享楽を貪り、挙句に殴り合いのケンカまでする始末だった。李鴻章はこのことを聞いても処分を下さず、「軍人が放蕩なのは昔から当たり前」と軽く受け流しただけだった。
「済遠号」の艦長、方伯謙は威海、煙台、福州に五軒の邸宅を置き、艦隊がよく行く所には必ず芸者を抱えていた。威海衛の戦いの緊迫した瀬戸際に、「釆遠号」と「威遠号」の艦長、邸宝仁と林穎啓は、何と岸に上がって芸者遊びに興じ帰艦していなかった。指揮官のいないこの二隻は日本軍に撃沈された。」(157-158P)
ニセの軍事訓練
李鴻章が北洋水師を視察した際、実弾射撃を見せるよう言いつけた。「定遠号」 の艦長・劉歩せんは、標的の船にあらかじめ兵士を潜伏させ、軍艦の砲声を聞くと同時に標的の船上で爆薬に点火して爆発させ、あたかも砲弾が命中したかのように見せかけた。
このニセの軍事訓練は李鴻章を騙しおおせた。李鴻章は北洋水師は百発百中、向かうところ敵なしと思い込んだのである。後に日清戦争が起こった時、北洋水師旗艦の「定遠号」がまず第一砲を発した。
だがその砲弾は自分たちの艦橋に当たり、その場にいた司令官・丁汝昌は甲板から落ちて左腕を骨折する重傷を負い、戦いを指揮することができなくなった。実は「定遠号」が放った一発の砲弾は日本側の旗艦「松島」 に命中したのだが、弾薬不足のため爆発しなかった。その後、「定遠号」は何度か砲撃を試みたものの、日本艦船には一つも当たらず、反対に日本軍艦の砲撃を受けたのだった。(161-162P)
まさに「張り子のトラ軍」「清国ドロ船海軍」だったのである。
日中北朝鮮150年戦争史(36)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実』- 日清戦争は偶発的な豊島沖海戦から始まった①』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/20028.html
日中北朝鮮150年戦争史(37)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実』② 陸軍でも秀吉の朝鮮出兵以来の大陸へ進出する『日清戦争」が開始された。開戦の詔勅に「国際法を遵守すべし」
http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/20038.html
日中北朝鮮150年戦争史(38)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実]』③戦前、世界も日本も、圧勝を予想したものはなかった。ただl人、大本営で日清戦争を全面指揮した川上操六川上操六の インテリジェンスの勝利であった。
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/20059.html
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