前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の研究講座⑫』『1894(明治27)年12月9日 『ニューヨーク・タイムズ』の仰天ニュース/日清戦争の未来図―「日本に世界を征服してもらえば中国もヨーロッパも悪政下に苦しむ一般民衆には福音となるだろう」.

      2025/11/11

  『「申報」や外紙からみた「日中韓150年戦争史」日中韓のパーセプションギャップの研究』(71)

1894(明治27)年129 ニューヨーク・タイムズ

94116日に日本軍は金州城を占領する。1121日に、難攻不落といわれた旅順要塞をわずか1日で陥落させ、世界をあっと言わせた。

ロシア紙は「世界的大強国の出現」と日本の勝利に危機感をみなぎらせ、以下の「ニューヨーク・タイムズ』では第2のモンゴルのユーラシア大陸征服にたとえているのにはさらに驚く。

①  文明化した聡明な日本が世界征服すれば、中国は野蛮なタタール人に征服され続けているよりは、より早く近代化するだろうし、ヨーロッパもそうであろう。

②  現在ヨーロッパ各国政府の悪政という重荷と各国間の憎悪と不信感という重荷を背負わされている一般民衆は.しばらく時がたてば日本人を解放者と思うようになり,天皇の臣民の中でも最も忠実な臣民となるだろう。

  日清戦争の未来図「日本に世界を征服してもらえば悪政下に苦しむ一般民衆には福音となるだろう」

ペリー提督が日本人の泥土のとりでに一撃を加えて彼らの眠りを覚ましたとき,提督が考えていたのはただ西洋の産物のために新しい市場を開くことだけだった。‘最近のできごとに照らして見ると,ペリーの大砲は実は東半球全体の運命を決するものだったかのごとき観がある。

 日本がヨーロッパ文明を取り入れた結果は,強大な中国が日本の陸海軍の前に手も足も出ないという事実に明らかだ。

日本はやすやすと中国を征服し.北京を首都とする広大な新しい日本帝国を打ち建てることができるということをもはやだれも疑わない。中国人は何年も前ひと握りの野蛮なタタール人に征服され,以来ずっとタタール人の支配に従ってきた。文明化した聡明な日本人の支配に従うのははるかに簡単なことだろう。

 日本が中国を領有し.開かれた強力な政府を作ったと仮定しよう。新しい日本帝国は4億の人口を抱えることになる。国民皆兵役制を導入すれば.日本には4000万の兵から成る軍隊が誕生する。中国人が俊一秀な兵隊になり得ることはゴードンが証明している

よく訓練され,装備も整った4000万の中国兵を日本人将校が指揮する軍隊は.世界が1つになって武器を取って立ち向かっても歯が立たないだろう。

 日本の統治下で中国には鉄道網が敷かれ,中国の物質的繁栄は大幅に増大するだろう。合理的な税制により,政府の税収は信じられないほどの額になることだろう。

この税収をもとに日本は世界史上類を見ない艦隊を築くことができよう。数の上でも力からいっても他を寄せつけない艦隊で,外国の船舶は日本の許可を得ずに太平洋やインド洋を航行することはできなくなる。

その陸海軍をもってすれば,日本がインドを侵略してこれを占領するのは朝飯前のことだろう。北には敵はいない。

というのも.ロシアは好戦的態度を引っ込め,防衛に主眼を置かざるを得なくなるだけでなく.その防衛も軍隊ではなく雪と荒地に頼るはかなくなるからだ。インドと中国の支配者となった日本がさらに領土を拡大しようとする時がやってくるだろう。

トルコの遊放民がその昔ヨーロッパに侵入した道をたどって日本はトルキスタン,ベルシヤ.シリアを征服し,地中海は日本の湖と化すだろう。侵略者は次いでヨーロッパに入る。ヨーロッパは日本のおびただしい軍勢と大艦隊を前にしてなす術もないだろう。

中世ヨーロッパを驚愕させたトルコ人の侵略も.訓練された中国兵,日本兵から成る何百万の軍勢の侵略に比べれば児戯に等しい。たちまちヨーロッパ艦隊は撃破され,ヨーロッパ連合軍は四散させられるだろう。ウィーン.ベルリン,ローマ,パリ,マドリード,ロンドンに日本の国旗が翻る。

やがてロシアもそれ以上,寒冷な気候と国土の広大さを盾に身を守ることができなくなり.アジア・ヨーロッパ全土が日本と化すだろう。

 わずか1年ほど前,日本と中国の間に戦争が起きると思わせる理由もなく,中国は今後も隣国の小さな島国のかなう相手ではないだろうとされていたとき.ウルズリー卿はいっの日か中国が西洋式の軍隊編制を採用し,全ヨーロッパを侵略し得る国になる時が乗ると予言した。

日本が中国を完全に征服するようなことがあれば,ウルズリー卿の予言はたちどころに現実のものとなるかもしれない。日本のような小国が中国のように広大で人口の多い国を領有することは絶対にできない,などと言ってみてもむだだ。

人口4000万のイギリスが,何千マイルのかなたにある人ロ2億のインドを領有し統治し得ている以上,日本が.ほとんど目と鼻の距離にある中国を領有し統治することは確実に可能だ。

 世界の版図が日本とアメリカの間で2分されるという予測は一見.歓迎すべからざるものに見えるだろうが,ヨーロッパが日本の支配下に置かれるようなことになっても悪いことばかりとは限らない。

その場合.ヨーロッパの戦争は終りを告げることになる。ローマの平和が地中海諸国にとって大きな祝福だったように,日本の平和もヨーロッパにとって大きな祝福となるだろう。ドイツとフランスとイタリアは,完全武装で互いに相手ののどに飛びかかる槻会をうかがいあうことがなくなるだろう。

3国は共通の主人を持っことになり.その主人は,倒すべき敵がもういないから.平和を守るだろう。

日本軍が治安維持にあたり,ヨーロッパの民衆は兵役から解放された上,敵が攻めてくる心配もないので,安んじて日々の労働にいそしむことができるだろう。彼らを治める政府は,少なくともフランスの議会やイギリスの貴族院やロシアの皇帝による政府と同じくらい聡明なはずだ。ローマ法王はおそらくその地位を仏教の僧侶に奪われることに異議を唱え.カンタペリー大司教は儒教の賢人に席を譲るのを嫌がるだろう。

だが,現在ヨーロッパ各国政府の悪政という重荷と各国間の憎悪と不信感という重荷を背負わされている一般民衆は.しばらく時がたてば日本人を解放者と思うようになり,天皇の臣民の中でも最も忠実な臣民となるだろう。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(325)「尖閣問題の歴史基礎知識」日中、台湾、沖縄(琉球)の領土紛争の底にある『中華思想』と台湾出兵

日本リーダーパワー史(325)   よくわかる「尖閣問題の歴史基礎知識 …

no image
日本リーダーパワー史(367) 日本占領から日本独立へ ,マッカーサーと戦った日本人・吉田茂と白洲次郎(1)

    日本リーダーパワー史(367) &nbsp …

no image
日本メルトダウン脱出法(602)「日本とアベノミクス:審判の時」(英エコノミスト誌)「アベノミクス反対論が瓦解した理由(英F・T紙)

 日本メルトダウンを脱出できるか(602)     …

no image
最高に面白い人物史⑩人気記事再録★『全米の少女からラブレターが殺到したイケメン・ファースト・サムライ』-『大切なのは英語力よりも、ネアカ、快活さ、社交的、フレンドリー、オープンマインドだよ』

2004、11,1 前坂俊之(ジャーナリスト) 1860年(万延元年)6月16日 …

no image
『リーダーシップの日本世界近現代史』(300)★『明治トップリーダーのインテリジェンス』★『英仏独、ロシアのアジア侵略で「日中韓」は「風前の灯火」の危機に!』★『国家危機管理能力が「日本の興隆」と「中韓の亡国」を分けた②』

 2015/07/11終戦70年・日本敗戦史(107)記事再録 <歴史 …

『リーダーシップの日本近現代興亡史』(223)/★「世界天才老人NO1・<エジソン(84)の秘密>とはー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功10ヵ条」★『 生涯の発明特許数1000以上。死の前日まで勉強、研究、努力 を続けた生涯現役研究者ナンバー1』

 2014/07/16  百歳学入門(93) &n …

no image
日本リーダーパワー史(485)幕末・明治(約60年)は「西郷隆盛・従道兄弟政権 時代」が、日本大躍進をもたらした。

  日本リーダーパワー史(485)   明治人物ビックリ仰天の新しい視点― 徳川 …

「オンライン回想動画/鎌倉カヤック釣りバカ日記(2015/07/30 )★『海上散歩×釣り×筋トレ×リラックス×釣った魚の刺身×地産地消=最後にきたよ「33センチの大アジが」かわいいね

    2015/07/30 &nbsp …

no image
片野勧の衝撃レポート(32)太平洋戦争とフクシマ⑤悲劇はなぜ繰り返されるのか▶ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ」❺

   片野勧の衝撃レポート(32)   …

葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をまねして『江の島沖の富嶽』★『逗子なぎさ橋珈琲テラスから富士山を眺めながらのスマホで撮影」(25 /12/06/am700)』

「逗子なぎさ橋珈琲テラスから富士山を眺めながらの講座」(25 /12/06/am …