『オンライン/新型コロナパンデミックの世界』(2020年12月―21年1月15日)★『 コロナ第3波に襲われた世界、バイデン新大統領の就任式(1/20日)、東京五輪はどうなるか!(上』)
2021/02/22
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前坂俊之(ジャーナリスト)
2021年はコロナデジタル5G時代に大きくシフトチェンジする文明の転換点となる。後世の歴史家は「トランプ狂乱時代を「白人中心主義の近代西欧社会の終焉」「多民族国家アメリカの再出発の年」ととらえるだろうう。トランプ氏は4年後には「米国史上最低の大統領として」忘れられた存在と化すだろう。
1月20日に船出するバイデン新大統領はトランプが破壊した米国の分断社会と世界秩序の修復に苦しみ、世界も、日本も新型コロナウイルスとの戦いの「暗黒のトンネル」から脱出できるのだろうか?。(これは1月15日までの情報です)
「それではまず世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)から入りましょうか。1月16日現在の数字は米ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると以下の通りとなっています。
世界全体での感染者は約9386万(死者数は約201万)―
米国 2353万(39万2干)
インド 1054万(15万2千)
ブラジル 839万(20万8千)
ロシア 348万(6万4千)
英国 332万(8万7千)
フランス293万(7万)
トルコ 237万(2万3千)
イタリア235万(8万1千)
スペイン225万(8万1千)
-相変わらず、米国が突出していますね。米国感染者は世界全体の25%、死者は20%とダントツです、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)はマスクの着用をしなければ21年4月までに累計死者数53万人超えると警告している。」
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日本の遅すぎた緊急事態法の発令
「政府は世論とマスコミに押されてやっと1月7日、新型コロナの感染拡大を防止するため「緊急事態宣言」を再発令した。東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県が対象で、期間は1カ月間の2月7日まで。飲食店などの営業時間を午後8時までに短縮するよう要請、応じた飲食店への「協力金」は上限を1日4万円から6万円に拡充、応じない場合は店名公表や時短「指示」をできるように検討している。
協力金はこれまで月額最大120万円だったが、宣言下の1都3県では最大180万円に引き上げた。飲食店への納入業者も支援する方針。このほか①イベントの人数制限を「収容率50%」か「5000人」の少ない方に再強化する②テレワークの活用などで出勤者数の7割程度の削減をめざす。➂学校一斉休校は求めず、大学入学共通テストや高校入試などは感染対策を行う、などを決めた。
「菅首相は記者会見で「1カ月での事態改善に全力を尽くす。ワクチンも2月下旬には開始する」と言明。さらに、またも1週間遅れて,要請のあった大阪、京都、兵庫の関西3府県と愛知、岐阜、福岡、栃木県の計7県にも拡大して緊急事態宣言を追加発令したのです。
ところが、感染者、重症者、死亡者とも増え続けて過去最高を連日更新し、9日は7790人、累計死亡者も4000人を突破した。病床使用率(6日時点)は緊急事態宣言の対象となる最悪ステージ4(病床使用率が50%以上)は群馬、埼玉、東京、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、熊本など11都府県で50%を超えた。「医療崩壊」「看護崩壊」が全国化してきたので、慌てて発令した始末。
菅首相の横で不満顔で座っていた新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は5日、「1カ月未満でステージ3に近づくのは至難の業だが、人々が自分のことと思って行動すれば、感染を下火にすることは可能だ」と言葉少なに語っていた。
おなじく西浦博京都大教授(感染症疫学)も「人との接触を削減、移動制限などのより強い対策が必要」と異論を唱えており、今回のこの1ヵ月間の措置では2月末の感染者数は約1300人と横ばいになる。移動禁止をすれば「ステージ2」の目安の100人まで下るとのデーターを公表し、批判した。結局、その後も勢いは止まらず、13日には、累計感染者が30万人を超えた。過去3週間余りで一挙に約10万人も増加した勘定です。
(「結局ね。政府は最初から「2兎(経済とコロナ対策の両立)を追って何とか2兎を得たい」という虫のいい計画で取り組んできたのです。この戦力の遂次投入が成功か、失敗かは2月7日にはわかりますが、失敗の可能性が高いと思う。感染拡大に歯止めがかからなければ、5ヵ月後に迫つてきた東京五輪パラ開催には赤信号が灯るだろう。
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米、英、EUでも爆発的な増加
「そうですね、私が特に気になるのは世界的な第3波のパンデミックで、依然として人の移動は禁止の状態。米国、英国、EUなど先進国ではワクチン接種が始まったものの、感染者、死者数ともに過去最高を連日更新している。それに英国や南アフリカで発生した毒性の強い変種ウイルスが世界中に拡大、感染者もふえており、東京五輪開催、中止の判断期限ギリギリの3月までに収まっていない可能性も高まっている。」
(「菅首相は1月12日のマイクロソフトのビルゲイツ氏との電話会談で、「オリンピックを必ずやりきる」と発言したためマスコミや世論で批判が殺到しましたね。「やりきる」ためにはまず、新感染拡大を絶対に食い止めなければならないが、今のような後手後手の対策では心配になってくるね。
五輪開催、中止の最終的な決定権はIOCにあり、バッハ会長はWHOの意見を参考にして決めると発言しているが、そのWHOは「世界的にワクチンによって感染拡大を防げるのは2022年までかかる」と言っていますね。また、WHOは15日、ワクチン接種や免疫獲得の証明を海外渡航の条件としないよう勧告している。ワクチン接種が安全のパスポートではないということですね。
「東京医師会の尾崎治夫会長も開催を実現するためには「無観客オリンピックを検討すべきだ」と提言している。「たくさん観客を入れて、従来通りの五輪開催とコロナ対策と両立させることはムリと言うわけです。医療従事者、ボランティアや大会スタッフ不足で、選手だけでなく、観客の安全も守れない。その決定の時期は3月末が限度といいます。」
(「1月に入って中止論が大きくなる中で、ついに米ニューヨーク・タイムズ(電子版)が15日、東京五輪について「第2次大戦後、初の五輪中止に追い込まれる可能性がある」と報じたね。日本、米国、EUで感染拡大が続きIOCの間でも安全な開催が不可能ではないかという声が出てきた。ワクチンの普及が予想より遅れてこの夏までにワクチン接種を受けられないことなどを理由に挙げている。開催中止のカウントダウンの始まりだね」
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米国、英国、EUのロックダウン(都市封鎖)の惨状
「米国の現状は1月2日現在で新型コロナウイルスの感染者は累計で2千万人を超えた。死亡者も3日間で合計1万人を超えるなど、過去、最悪の水準です。CDC(米疾病対策センター)によると、2日までに、約423万人が1回目の接種を受けましたが、当初の目標の2千万人を大きく下回っている。
特に問題なのは医療従事者、介護施設の職員たちの5、60%近くが、ワクチンの接種を拒否している点で、その理由としては副作用に関する懸念と、政府への信頼の欠如が挙げられています」
(C)「また、CDCが調査した2019年の米国人の平均寿命は78、8歳だが、コロナの死亡者激増で2020年の平均年齢は第2次世界大戦以来の最大の下げ幅が2-3歳マイナスになるといわれ、米国人に大きなショックを与えた。1918年のスペイン風邪が大流行した際は、平均寿命は11、8年も下がって米国史上最悪の記録となったが、これに続く記録で、コロナの猛威を示していますね」
「一方、英国の情況は感染力の強い変異種の拡大で1月4日発表の感染者数は5万8784人と、1日あたりでの過去最多を更新した。5万人を超える日が7日連続となり、累計の死者数も7万5千人を超えて激増状況が続いた。入院患者数も4日時点で2万6626人と、1週間前より30%増え、「病院、医療崩壊」が始まった。このため5日からイングランドは3度目のロックダウン(都市封鎖)に入り2月半ばまで続けられる見通しです。
一方、ドイツでもメルケル首相は感染拡大抑制のための全土のロックダウン期間を昨年末から1月31日末まで延長した。ところが、火葬場がいっぱいで遺の処理できず、英国の変異種で、感染者数は10倍に膨れ上がるリスクがあるとしてロックダウンを4月初旬までさらに延長する可能性を示唆したのです。」
つづく
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