前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

<クイズ>-世界で最ももてたイケメンの日本人は誰でしょうか?-ファースト・サムライの立石斧次郎

      2019/12/10

<クイズ>-世界で最ももてたイケメンの日本人はだれでしょうか①
 
全米女性からラブレターが殺到したサムライ・立石斧次郎①
前坂俊之(ジャーナリスト)
 
 
いまからちょうど150年前のこと。1860年(万延元年)6月16日。ニューヨークは日本からのサムライ使節団を一目見ようと市初まって以来という約50 万人の市民たちがマンハッタンを埋め尽した。
 
日本人を乗せた馬車がくると、女性たちが一斉に「トミーはどこなの?」「トミーはどの人?」と大声で叫び興奮はピークに。  

馬車の条約箱の後ろに陣取ったトミーが現れると、「トミー!こっちを向いて!」「トミー、バンザイ!」と大歓声。トミーは笑顔で手を振って応えた。『彼があの中で一番ハンサムね」とため息や悲鳴が上がり、ジャパンフィーバー、トミー・コールが続いた。(『ニューヨーク・ヘラルド』1860 年6 月17 日付)

 
ペリーが黒船で来航し、日米和親条約(安政元年=一八五四年)が結ばれてから6年後の万延元年(一八六〇年)二月、幕府遣米使節団=新見豊前守(正興)正使ら計77 人=は日米通商条約を米ホワイトハウスで批准するため咸臨丸とともに米軍艦の蒸気船『ボーハタン号』で太平洋を渡った。
 
<一行のスケジュールー>
 
1860年2月13日 日米修好通商条約の批准書交換のため、総勢77名の遣米使節団がアメリカ海軍の蒸気ボーハタン号に乗船し、サン・フランシスコへ向けて横浜港から出航。  

1860年3月29日 、サン・フランシスコへ入港。

5月14日にワシントンへ到着。 ホワイトハウスでジェームズ・ブキャナン大統領に謁見。

5月22日には国務省で、日米修好通商条約批准書の交換を国務長官ルイス・カスとの間で行う。

 使節一行は6月16日、ニューヨークへ入り、全市を上げての大歓迎を受けます。
6月26日には、故ペリー提督の未亡人を訪問しています。
ニューヨークには2週間滞在し、6月29日、帰国の途につきます
 
 
アメリカ議会は一行を国賓待遇で迎えたが、一行は太平洋を二ヵ月間かかってサンフランシスコに到着、ワシントンへ行き、ブキャナン大統領に謁見、ホワイトハウスで正式に条約批准書に調印。ボルチモア、フィラデルフィア、ニューヨークと回った。  

使節団はいく先々で、圧倒的な歓迎を受け、各都市では盛大な歓迎祝典の行事が繰り広げられた。

 
その中で一人、人気が集中しアイドルと化したのが、トミーこと最年少の十六歳の通詞見習い立石斧次郎である。
 
イケメンの〝ファースト・サムライ〟トミー(立石斧次郎)は、全米に一大旋風を巻き起こした。女性からラブレター、ファンレターが殺到し、彼をたたえる「トミーポルカ」という歌までできた。
 
ヤンキースの松井選手やイチローの人気どころか、アメリカで最高にモテた仰天の日本人だった。
 
 
米政府は鎖国を解いたアジアの新興国・日本が米国と最初に通商条約を結び、使節団を派遣したことを歓迎し、メディアもはじめてくる日本人に興味津々で、特派員を派遣して大々的な報道合戦を繰り広げた。  

ホワイトハウスの訪問や調印式、ニューヨークのパレードなどは大特集で数ページにわたって驚くほど詳細に伝えている。中でも使節団の一行よりも、トミーにスポットライトを当てて報道した。

 
『ニューヨーク・ヘラルド』紙(1960年六月十七日付)は「トミーは、若き日本の美しい代表である。一行の主だった人々は、冷たい威厳のある態度であるが、トミーはそれと対照的で、ざっくばらんで明るい。」
 
『ハーバース・ウイークリー・ニュース』(六月二十三日付)はトミ-の写真を掲げて、ワシントン滞在中の動静を伝えているが、『婦人たちの間で大変なお気に入りとなった。
 
気立てのやさしく、人柄もかなり良く、その上新しい状景や珍しい同席者に自分を適応させる道を心得た若者である』
「トミ-は記者に対して、この国で適当な妻を見つけて、その人と永久に和やかに暮したいので、日本に帰りたいなどとは決して思わない、と打明けた。』(トリビューン)など
 
 
立石がイケメンであったことは全米の各紙が驚くほど細かく報道した。アメリカ人たちが初めて見る日本人を比較人類学的に考察していることがよくわかる。
 
 「フィラデルフィア・ザ・プレス紙」は
 
 「われわれはトミーと長い話をしたが、彼は一種天才的なところがある。彼は十八歳らいで、顔色はほとんどコーカシア人種のように白く、きれいな歯をしている。動物的な精力で、間なしに動き廻っている。  

トミーの英語は達者で、明らかに普通の人より頭がいいようだ。彼は熱心に英語を覚えたがっている。われわれとのインタビューの問でも、種々な物を指しながら『あれは野原、それから家(ハウス)それから牝牛(カウ  )それから垣根(フェンス)』と尋ねるような口調でいっている。英語の単語を覚えたいからであろう。
 

  あるとき、接伴委員がトミーに話しかけていたとき、その委員がくしやみをした。トミーはすぐ ホワット・ドゥ・ユウ・コール・ザツー  『あれはなんといいますか』と聞いて『スニーズィング』だといわれると、トミーは手帳を出して、その字を書いてくれといい、書いてもらうとその字を何回もくり返し読んでみて、その言葉を 記憶しょうとするのだった」
 
 
「ボルチモア・アメリカン〃紙」の「ギルモア・ハウスにおける日本使節」の記事では
 
「ギルモア・ハウスにはいった日本使節の一行は、いったん休憩のため部屋に退いたが、正副使節のほかはじきに出てきて、打ちとけた態度で、人々の間を彼らにわかる程度のおしゃべりをアメリカ人との間に交換しつつ廻るのであった。
 
 トミーはいつものように大もてで、彼の活発なユーモラスな態度はアメリカ人を楽しませた。広場を埋めているたくさんの見物人にも、日本人は愛橋をふりまくのを忘れず、ときどきバルコニーに出ては扇子を振ったりして歓呼に答えるのであった。」と報道している。  

(つづく)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 - 人物研究, 現代史研究, IT・マスコミ論 ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『創造力こそが長寿となる②』★『葛飾北斎(89歳)「過去千年で最も偉大な功績の世界の100人」の1人に選ばれた』(米雑誌ライフ、1999年特集号)②』

北斎は1760(宝暦10)年9月、江戸本所割下水で石工の子に生まれた。本所はもと …

no image
野口 恒のグローバル・ビジネス・ウオッチ①『パナソニックの瀕死の重体の決算内容。事業構造を変革なくして赤字脱却は困難』

野口 恒のグローバル・ビジネス・ウオッチ①   『パナソニックの大幅赤 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑰『開戦4ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』報道ー『ロシアがもし撤退を遅らせるなら,世界の前で破廉恥な背信を断罪される』●『ロシアの日本に対する待遇は協調的とは逆のもので,現実に欲しいものはなんでも取り,外交的にも,絶大な強国のみがとってはばからぬ態度で自らの侵略行為を正当化している』★『ロシアの倣慢な態度は,人類に知られた事実に照らし,正当化されない』

『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑰ 1903(明治36)年10 …

no image
速報(143)<低線量被ばくまとめ>『低線量被ばくの人体影響:近藤誠・慶応大』『論文解題:調麻佐志・東工大准教授』ほか

  速報(143)『日本のメルトダウン』   ★<低線量被ば …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑤』★『世紀の恋の果たし状ー九州の炭鉱王の良人・伊藤傳右衛門氏に送った「筑紫の女王」柳原輝子の絶縁状の全文ー愛なき結婚と夫の無理解が生んだ妻の苦痛と悲惨の告白』★『1921年(大正10)10月23日「大阪朝日」朝刊掲載』

1921年(大正10)10月23日 「大阪朝日」朝刊掲載 朝刊新報の「筑紫の女王 …

日本リーダーパワー史(533)安倍首相は「土光臨調」で示した田中角栄の最強のリーダーシップを見習えー『言葉よりも結果』

 日本リーダーパワー史(533)   『アベノミクスの土壇場 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(262)/ 『明治陸軍の空前絶後の名将・川上操六参謀総長④『徳富蘇峰による人物評「細かいことに気のつく人は、大きいことには気がつかぬが、川上大将はよく大方針(日清戦争の勝利、日露戦争の準備)を定め、有能な人物を適材適所に用いて縦横無尽に活躍させて<坂の上の雲>を達成したリーダーパワーは傑出していた』

・ 2010/02/04 記事再録<クイズ『坂の上の雲』 明治陸軍の空 …

『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーター』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテジェンス⑧』★『ル大統領、講和に乗りだすーサハリン(樺太)を取れ』●『外交の極致―ル大統領の私邸に招かれ、親友づきあい ーオイスターベイの私邸は草ぼうぼうの山』 ★『大統領にトイレを案内してもらった初の日本人!』

 2017/06/28日本リーダーパワー史(836)人気記事再録 <日 …

no image
速報(77)『日本のメルトダウン』☆緊急提言『放射能阻止戦争に統合作戦本部と特攻隊を結成せよ」山田恭暉氏インタビュー動画

速報(77)『日本のメルトダウン』 ☆緊急提言『放射能阻止戦争統合作戦本部と特攻 …

『オンライン/2022年はどうなるのか講座②』★『異常気象とコロナ共生、経済再生の2022年(下)』★『TPPでの中国、米国の態度  』★『第2次岸田内閣スタート―前途多難が続く』★『内向き日本と将来を見据える米欧、中国』★『スピード、決断力、逆転突破力が勝負を分ける』

(以下は2021年11月15日までの情報分析で、3人による放談です) ★『異常気 …