前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『フランス革命、米南北戦争と比べて最も少ない死亡者の明治維新の立役者は西郷隆盛と敗軍の将・勝海舟である』★「国難突破力NO1の勝海舟(75)の健康・長寿・修行・鍛錬10ヵ条」から学ぶ』

   

百歳学入門(92)「国難突破力NO1―勝海舟(75)の健康・長寿・修行・鍛錬10ヵ条」から学ぶ

  2014/06/21     2015/01/01

  百歳学入門(92

 

「国難突破力NO1―勝海舟(75)の健康・長寿・

修行・鍛錬10ヵ条

①人間、長寿の法などというものはない。

②余裕、綽綽(しゃくしゃく)として、物事に執着せず、拘泥せず、円転・豁達(かったつ)の妙境に入りさえすれば、運動も食物もあったものではないのさ。

③人間は、身体が壮健でなくてはいけない。

④精神の勇ましさ、根気の強さは、天下の仕事をする上になくてはならないものだ。

⑤身体が弱ければ、この精神と根気とを有することが出来ない。

⑥五十になると、もうじきに隠居だ何だとか言って、世の中を逃げる考へなど起すな。

⑦島国の日本人は、その日暮らしで、五年、十年の先きはまるで考えていない。

⑧昔の武士は、弓馬槍剣などの武芸を修業して鍛えたので、年は取っても身体が衰へず、精神も根気も盛んだった。

⑨昔の武士は、身体を鍛えたが学問はその割にはしなかった。今の人のように、小理屈(こりくつ)を言うものは居なかった。一旦、国家に緩急の場合は決然と行動した。

⑩学問に凝り固まっている今の人は、声ばかりは無暗に大きくて、胆玉(きもったま)の小さい。まさかの場合に役に立つものは殆んど稀だ。

 

 

前坂俊之(ジャーナリスト)

「海舟先生氷川清話」(吉本襄 撰著 大文館書店 1933)より

勝海舟

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%9D%E6%B5%B7%E8%88%9F

 

 人間長寿の法

 

 人間、長寿の法というものはない。俗物には、飲食を摂して、適度の運動を務めなさいと言へば、それでよいが、しかし大人物にはさうはいかない。

 

見なさい、おれなどは何程寒くっても、こんな薄っぺらな着物を着て、こんなせんべいのような蒲団の上に座って居るばかりで、別段運動といふことをするわけででないが、それでも気血はちゃんと規則正しく循環して、若い者も及ばないほど達者ではないか。

 

さあこれがいわゆる思慮の転換法といふもので、すなはち養生の第一義である。つまり綽綽(しゃくしゃく)たる余裕を存して、物事に執着せず拘泥せず、円転豁達(かったつ)の妙境に入りさへすれば、運動も食物もあったものではないのさ。

 

 

  勇猛の精神と根気を持続せよ

 

なにしろ人間は、身体が壮健でなくてはいけない。精神の勇ましいのと、根気の強いのとは、天下の仕事をする上にどうしてなくてはならないものだ。

 

そして身体が弱ければ、この精神とこの根気とを有することが出来ない。

つまりこの二つのものは大丈夫の身体でなければ宿らないのだ。

ところが日本人は、五十になると、もうじきに隠居だ何だとか言って、世の中を逃げ去る考へを起すが、どうもあれでは仕方がないではないか。

 

しかし島国の人間は、どこも同じことで、とにかくその日のことよりほかは、目が付かなくつて、五年十年の先きはまるで黒暗(くらやみ)同様だ。

 

それも畢寛、局量が狭くって、思量に余裕がないからのことだよ。もしこの余裕といふものさへあったなら、たとへ五十になっても、六十になっても、まだなかなか血気の若武者であるから、この面白い世の中を逃げるなどというやうな、途方もない考へなどは決して出ないものだ。

 

 

 それであるから、昔の武士は、身体を鍛へることには、よほど骨を折ったものだよ。弓馬槍剣、さては柔術などといって、いろいろ

の武芸を修業して鍛へたものだから、そこでおれのやうに年は取っ

ても身体が衰へず、精神も根気もなかなか、今の人たちの及ぶところでないのだ。

 

 もっとも昔の武士は、こんなに身体を鍛へることには、ずいぶん骨を折ったが、しかし学問はその割にはしなかったよ。それだから、今の人のように、小理屈(を言ふものは居なかったけれども、その代り、一旦、国家に緩急(かんきゅう)がある時は、命を君の御馬前に捧げることなどは平生ちゃんと承知して居たよ。

 

いはゆる、君辱(はずかしめ)らるれば、臣死すといふ教へが、深く頭の中に染み込んで居たから、いざといふ場合になると、雪のやうなる双肌を押しぬいで、腹一文字に掻き切ることを何とも思わなかったのだ。

 

しかるに、学問に凝り塊まってい居る今の人は、声ばかりは無暗に大きくて、胆玉(きもったま)の小さきことは実に、豆のごとしで、空威張りには威張るけれども、まさかの場合に役に立つものは殆んど稀だ。みんな縮み込んでしまう先生ばかりだよ。

 - 人物研究, 健康長寿, 戦争報道

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『美しい自然と文化の鎌倉歴史都市』スペシャル!<大仏切通>は800年前の<古道巡礼>をすれば心も体も癒される。

<『美しい自然と文化の鎌倉歴史都市』スペシャル!>   世界文化遺産指 …

no image
現代史の復習問題/記事再録★『山本五十六海軍次官のリーダーシップー日独伊三国同盟とどう戦ったか』★『ヒトラーはバカにした日本人をうまく利用するためだけの三国同盟だったが、陸軍は見事にだまされ、国内は軍国主義を背景にしたナチドイツブーム、ヒトラー賛美の空気が満ち溢れていた。』

  2012/07/29 記事再録・日本リーダーパワー史(2 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(101)』「パリぶらぶら散歩(2015 /4/30-5/3)★『パリ・オペラ地区の大衆レストラン、シャルティエは 百年以上パリ市民から愛されてきた名店,銀座にこんな居心地のいい親しみやすい店はない』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/11/am700)  &n …

no image
『オンライン講座/日本ベンチャービジネス巨人伝』★『 鈴木商店を日本一の商社にのし上げた<財界のナポレオン>金子直吉』★『「もし、金子が米国で生まれていたならば、カーネギー、ロックフェラーと並んで偉大な事業家として成功しただろう。金子は科学的な頭脳を持っており、無から有を作る事業家であったから』

  2009/02/10 記事再録  日本の〝怪物″実業家・ …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑮ 「甲申事変をめぐる英、米、仏,ロシアの外交駆け引き」(英タイムズ)

  『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプションギャ …

no image
日本メルダウン脱出法(653)「政治とメディアの生み出す「老人翼賛体制」—膨張する「行政国家」と無力化する国会」●「日本劣化は避けられるか?—「人口減少社会」の誤解と真のリスク」ほか6本

 日本メルダウン脱出法(653) ◎◎◎「政治とメディアの生み出す「老人翼賛体制 …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座㊳』★『 児玉源太郎の無線・有線インテリジェンス戦争』★『日露戦争最大の勝因は日英同盟の中の極秘日英軍事協商(諜報(スパイ情報)交換)である』★『諜報同盟(ファイブ・アイズ「UKUSA」(ユークーサ)にはインテリジェンス欠如の日本は入れない』

 日露戦争最大の勝因は日英軍事協商(諜報交換) 日露戦争でこれまで余り …

『Z世代のための独ベルツによる「日中韓」500年史講座①』★「ヨーロッパ第一のアジア研究者ベルツによる500年の三国志と<日清・日露戦争はなぜ起こったのか>の理由について』

 「逗子なぎさ橋通信、24/06/13/am720] 2011/02/ …

no image
日本リーダーパワー史(96)名将・川上操六⑭日露戦争勝利の忘れられた最大の功労者

日本リーダーパワー史(96) 名将・川上操六⑭日露戦争勝利の忘れられた最大の功労 …

no image
世界リーダーパワー史(938)-『「トランプ氏解任提案か=司法副長官が昨年春」』★『『もう外食は無理? トランプ政権幹部、相次ぎ退店や罵倒の憂き目に』(AFP)』

世界リーダーパワー史(938) 「トランプ氏解任提案か=司法副長官が昨年春」<時 …