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知的巨人の百歳学(150)人気記事再録/百歳学入門(59)三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』益田 孝(90歳)『「鈍翁」となって、鋭く生きて早死により,鈍根で長生き』★『人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬいちばんの健康法』★『 一日に一里半(6キロ)ぐらいは必ず歩く』★『長生きするには、御馳走を敵と思わなければならぬ』★『物事にアクセクせず、常に平静を保ち、何事にもニブイぐらいに心がけよ、つまりは「鈍」で行け。』

      2020/01/01

 

   百歳学入門(59)

 
三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』鈍翁 益田 孝(90歳)
 
① 人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬいちばんの健康法。
② 一日に一里半(6キロ)ぐらいは必ず歩く。
③ 長生きするには、御馳走を敵と思わなければならぬ。
④ 私の粗食は、地産地消のものを、なるべく手をかけないで食べる。
⑤ 俗にいう粗衣、粗食は、いつの世にも健康の基。
⑥ 人間、鋭くなろうと気ばると、長生きなんぞできるものではない。
⑦ 「鈍翁」になりきって、鋭く生きて早死にするより、鈍根で長生きせよ
⑧ 天海僧正は百二十五歳、その養生訓は「正直、粗食、日頃だらり、たまには放屁なさるべくそうろう」
⑨ 物事にアクセクせず、常に平静を保ち、何事にもニブイぐらいに心がけよ、
⑩ つまりは「鈍」で行け。
 
 
 
       前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
 
三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』鈍翁 益田 (90歳)
 
益田孝(ますだ たかし)嘉永元年10月1848年11月―昭和13年(1938)、草創期の日本経済を動かし、明治維新後、世界初の総合商社・三井物産を設立、初代社長。
 
 人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬいちばんの健康法で、体が適当に運動している間、頭の方は適当に休ませることができる。それに歩けば必ず腹がへる。腹がへれば、そのあとの食事がきっとうまい。
粗食でも、どんどんこなれて栄養になるわけだ。粗食には金もかからず、台所でも大いに助かる。四方八方よろしいのである。
 それに歩くといっても、ただボンヤリ歩くのではなく、途中で何か新しいことも勉強してかえる。知人にでもあえば、おついでにと無沙汰の義理も果たせるというものだ。
私は用さえなければ、一日に一里半(6キロ)ぐらいは必ず歩く。雨が降って外へ出られなけ
れば、いろいろ仕事をさがして、一里半ぐらいの散歩代りになる軽い労働をやる。ふき掃除でもまき割りでも、家の中に仕事がないということはない。
朝などは早く起きて寝床の取片付けをするが、家人が手伝いにくると、わしの職務を奪うのか、と叱りつける。
 
 
うまく食べる
 
 人間長生きをしようと思ったら、御馳走を敵と思わなければならぬ。俗にいう粗衣、粗食は、いつの世にも健康の基で、これをいとわなければ、何人も無病、息災うたがいなしである。といっても、私の粗食というのは、栄養にならぬオソマツな物を指すのではなく、ごくありふれた、その季節々々の物、その土地々々の物を、なるべく手をかけないで食う
ことで、つまりそれがいちばんに安く、いちばんにうまく、いちばんの食養になるというのである。
 
 お茶の方の料理もそれがねらいで、シュンでないもの、土地でできないもの、変った料理法をしたものなど一切を排する。御馳走というのは季節的にめずらしいもの、遠くから取り寄せたもの、殊更に手をかけて本来の味を殺したものをいうが、そんなものは栄養的にみても下の下で、これを毎日あさりつづけていては、だれしも健康の保てようはずはない。食物は本人の方の腹工合でうまく食うことこそいちばんの大切。
 
 鈍翁の由来
 
私は名工鈍九郎という人の作った茶碗を手に入れたのを機縁に、「鈍翁」の茶号を名のることにした。
人間、鋭い生まれつきでなくとも、鋭くなろうなどと気張りつづけていては、とても長生きなんぞできるものではない。
 
そこで「鈍翁」になりきって、鋭く生きて早死にをする代りに、鈍根ながらの長生きで、はるかそうした人にもまして、大いに働き、大いに世を楽しもうと考えたのである。
 
有名な天海僧正は百二十五歳までも生きたといわれるが、その養生訓を将軍家光に問われたところ、
 「正直、粗食、日頃だらり、たまには放屁なさるべくそうろう」と答えた。
だらりというのは畢丸がだらりと下がっていることで、物事にアクセクせず、常に平静を保ち、どちらかと申せば、何事にもニブイぐらいに心がけよ、つまりは「鈍」で行けという教えであるように私は解釈する。
 
 
益田はドイツの医者が書いた『不老長生の秘訣』なる本を翻訳してまだ雲水時代の若い円覚寺管長・朝比奈宗源に贈ったことがある。これを書いたドイツ人医者は40歳ころまで、体のどこかがいつも悪くて弱っていた。
 ところが、ある時、ハッと悟った。電気が普及するもではどこでも火を焚いたが、火をうまく燃やすには決して釜の中にいっぱい薪を入れてはだめ。ちゃんと適当な空間を作って、薪を少し入れてうまく空気が通るようにしなければ燃えない。
 
 たいがいの人がカマドいっぱいに薪を入れるように、食べ物を胃の中に入れる。胃袋は明けても暮れても忙しくて、それだけで疲れる。それをこなすために、人間のエネルギーをほとんど使ってしまう。入れるエネルギーよりも、使うエネルギーが多くなる。カマドの薪を減らして、十本入れていたものを五本、三本にしてうまく焚けば薪は少量で火はよく燃える。これにヒントをえて、食べ物を減らすと丈夫になった。減食健康法を説いた本であり、摂取カロリーを3分の1減らせば長生きすると説いていた。ご飯の食い過ぎがいけない。               

益田がこの本をだしたのが五十歳の頃だが、これを実践して九十歳まで長い生きしたのである。
 
 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

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