前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(979)ー『トランプ米大統領は5月25日夕、令和初の国賓として来日した』★『140年前、日本初の国賓として来日したグラント将軍(前米大統領)が明治天皇にアドバイスした内容は・(上)』

   

トランプ米大統領は5月25日夕、令和初の国賓として来日した。

26日には千葉で安倍首相とゴルフをプレーし、そのあと大相撲を観戦、27には首脳会談、天皇、皇后両陛下との会見、宮中晩さん会、拉致家族との会見など3泊4日間にわたって滞在した。米大統領の4日間滞在は1992年のブッシュ大統領の訪日以来。米大統領が4日間も滞在するのはめずらしく、トランプ、安倍両氏の蜜月関係、日米同盟の強固な絆を世界にアピールするイベントとなった。

政治は夜開かれる、日本の政治は「宴会政治」ともいわれた。クラウゼヴィッツは「戦争論」の中で「戦争とは外交の手段である」と定義し、軍事力による戦が「戦争」であり、言葉による戦が「外交」であるという。日本はもっぱら「おもてなし外交」によって信頼関係を築いていくやり方である。

1853(嘉永6年)6月の米ペリー提督が黒船4隻で日本開国を求めて来航した際も宴会で接待し、巨体の力士を集めて米俵を担がせて力自慢を見せつけて威圧したというから「宴会接待、相撲外交」のこれが始まりであろう。

翌年3月の日米和親条約締結までの間は日米両国の「宴会外交」が続いた。「幕府は昼食に三百人前の献立を用意、酒と料理は盛りだくさんで、本膳では百種類をゆうに超えた。酔っぱらった日本側代表は[日本とアメリカの心はひとつ]と大声で叫んだ」という。(ペリー艦隊日本遠征記)

 

現在も日本外交はこの「接待、宴会、スポーツ外交」を繰り返している、1983年レーガン・中曽根ロンヤス蜜月は中曽根氏の「日の出山荘」でのいろり、茶道接待に演出された。2002年のブッシュ(小)、小泉外交は「流鏑馬外交」「居酒屋会談」となり、オバマ安倍外交はオバマ氏の希望で銀座の高級すし店「数寄屋橋治郎」での寿司接待に。トランプ安倍ゴルフ外交は今回で計5回目、相撲外交ではトランプ大統領が優勝力士の朝乃山に大統領杯を(高さ137㎝、重さ30キロ)を授与するシーンを大観衆がスマホ、SNSで世界中に拡散させ、「炉端焼きや会談」では親密さを強調するというメディア向けの派手なパフォーマンスが続いた。

 

では、実質上の外交はすでに両首脳のディールで密談の上決められているといわれる。トランプは「牛肉と農業で、デカイもの手に入れた。参院選後まで待て」とツイートして、安倍首相は「参院選に影響あるから、その後にしてくれ」と懇願したのを、そのまま暴露した。トランプ大統領は来年8月の秋に大統領選を控え、貿易赤字削減と農業問題で点数を上げたい、安倍首相は7月に参院選を控え、通商問題をその後に先送りすることで、両者とも意見が一致した。どのようなディールかは参議院選挙後の8月にはわかるというわけだ。

 

ところで、話は変わるが、日本で最初に国賓として来日したのは1879年(明治12)のグラント将軍(前米大統領、)で28歳の若き明治天皇と会見し、日本に実に2ゕ月間滞在し大の日本びいきになった。何やらトランプ大統領に似ている感じである。

 

このグラント将軍(58歳)の国際社会にデビューした若き明治天皇(28歳)へのアドバイスがその後の日本の運命を変えた。今の日米中の三国対立関係のルーツ、琉球帰属問題、日本の政治体制、憲法問題も含めてグラントは率直にアドバイスした。

グラント将軍(1822―1885)と言えば、奴隷解放をめぐって米国が真つ二つとなって戦った南北戦争で、「奴隷制を守る」南軍に負けそうになっていた北軍(奴隷制廃止)に逆転勝利をもたらした偉大な司令官。大統領選挙で敗北寸前のリンカーン大統領を救った英雄でこの勝利によってリンカーンの後継者となり、1868年(明治元年)に第18代大統領(共和党候補)に当選し2期8年の任期を全うした。その後、1877年(明治11)グラント氏は2年間世界一周旅行の船旅に出た。まず、英国を訪問、ヨーロッパ各地、エジプト、インド、中国など回り最後の訪問地に日本に7月3日に到着し、9月3日まで約2か月間も滞在した。日本は前米大統領という超大物だけに初の国賓として、天皇以下官民挙げての「おもてなし」で大歓迎した。

 

明治天皇はグラント将軍を宮中に招いての謁見の式で、師として礼をとって国政の批判その他の話をききたいと申し出た。グラントは自分で親しく日本を見てから後に言上すると答えた。

そして、8月10日に浜離宮の中島茶屋で明治天皇へのグランド将軍から地球を半周した世界的な知識をもとに2時間にわたって帝王学を教わった。

 

まず天皇から、「日本にも民選議院を設立し、人民も政治に参加させるとの議論と運動が起りかかっている。この対策は如何」と質問があった。

 

「なるほど、これが日本刻下の一番重大な問題でしょう。元来、政府は、それが人民の代表であれば一番強固で、その国は繁栄いたします。君主国も同じことで、議会を基礎とする国が最も強大です。日本も立憲制とするのが一番よいでしょうが、参政権、代議権は一度付与した以上、もう取上げることはできません。最初からすぐ立法権をもたせるのは考えもの。段々になれてくるにしたがい、教育の進歩とともによくなってくる。私の見たところ、日本の教育状態は立派なものだと敬服しました。」とグラントは回答した。

1888年(明治21)、枢密院での帝国憲法の審議始まった際、天皇は「それについてはグラントがこう教えてくれた」と、いろいろ思い出しては意見を述べた。(木村毅「明治天皇」(1974年 新人物往来社)

このあと、対中外交、琉球の帰属問題についてアドバイスした。

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

  関連記事

no image
片野勧の衝撃レポート②『太平洋戦争とフクシマ原発事故』-悲劇はなぜ繰り返されるのか

 片野勧の衝撃レポート   太平洋戦争とフクシマ原発事故 『 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(8)記事再録/日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑨『日中韓の誤解、対立はなぜ戦争までエスカレートしたか」ー中国・李鴻章の対日強硬戦略が日清戦争の原因に。簡単に勝てると思っていた日清戦争で完敗し、負けると「侵略」されたと歴史を偽造

    2015/11/28 &nbsp …

no image
速報(356)『日本のメルトダウン』日中ディープ動画座談会『元中国特派員,研究者が尖閣問題と日中関係を語る①

速報(356)『日本のメルトダウン』   日中ディープニュース動画座談 …

no image
「2014NEW環境展」「地球温暖化防止展」 5月27日/30日(東京ビッグサイト)ー破砕、選別関係とバイオマスが目立った。

     ◎<日本の最先端技術「見える化」チャンネ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史]』(20)人気記事再録/日本海軍のゼロ戦(戦闘機)のエースパイロット,で200回以上を出撃し、敵機64機を撃墜した日本の『撃墜王』世界最高のパイロットであった。『 生死をこえる究極の心得とは・・撃墜王・坂井三郎の話

    2010/07/18 / 日本リ …

no image
日本メルトダウン脱出法(738)「まれに見る「不仲」に終わった米中首脳会談】●「将来の海面上昇、90センチ以上に、NASA」●『グーグル検索で大統領選の結果も「操作可能」米研究」

   日本メルトダウン脱出法(738)   まれに見る「不仲」に終わった米中首脳 …

images
日本リーダーパワー史(668)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(50)●「明治4年の岩倉使節団の『政府首脳の大半が国外にでる壮挙』この知的探求心、国家改造力、ベンチャー精神こそが『明治の奇跡』を生んだ。

  日本リーダーパワー史(668) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(50)  …

no image
日本メルダウン脱出法(660)「中国の習近平氏「独裁」阻む3つの壁」「もうどの国にも止められない中国の人工島建設」など8本

    日本メルダウン脱出法(660) 「中国の習近平氏「独裁」阻む3つの壁」 …

no image
速報(298)『大飯原発再稼動、検証委もグラツク?(池田龍夫)』『5月10日チェルノブイリ周辺の永久立ち入り制限 小出裕章』

速報(298)『日本のメルトダウン』   ●『大飯原発再稼動、検証委も …

no image
日本経営巨人伝④・麻生太吉–明治期の石炭王『九州財界の重鎮』の麻生太吉翁

日本経営巨人伝④・麻生太吉 明治期の石炭王『九州財界の重鎮』の麻生太吉』 <麻生 …