前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝『開戦2週間前の「英タイムズ」の報道/★★『ロシアが極東全体を独占したいと思っており、一方、日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国人、朝鮮人,そして日本人のために望んでいるだけだ』

      2017/08/19

    『日本戦争外交史の研究』/

『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝

『開戦2週間前の「英ノース・チャイナ・ヘラルド』の報道/

 190418『英ノース・チャイナ・ヘラルド』

 『日露情勢』両国間に共通の基盤が存在しない理由は,ロシアが極東全体を独占したいと思っているのに対し,日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国における中国人のために,朝鮮における朝鮮人のために,そして日本における日本人のために望んでいるからだ。

ドイツの新聞のこの危機に対する見解は,もちろんペテルプルグの指示に従っているが,ロシアのゴリアテは日本のタヴィデにおもちゃの軍艦と小さな木剣を片づけて南朝鮮で遊び回っていなさい.そうすればだれにもじゃまされないだろう.と哀れみ深くさとしてきたというものだ。

 

これに加えて,ベルリンからの昨日付のドイツ電は,次のように言う。「日本が南朝鮮を最終的に占領することは,日本にとって大成功だと,当地では考えられている。そして,このことは,あらかじめ示されたように,ドイツの全新聞によって歓迎されるものだ」。

このようなばかげた電報は,もしそれが,ロシアが過去数か月間とり続けてきた.威嚇・挑発方針の一部でないとすれば,何を意味するだろう。

ロシアのこの方針は,われわれが以前に述べたように,ロシアは日本に挑戦されれば受けて立たざるを得ない一が,ロシア皇帝には宣戦する意志がないという理由によるのだ。

現在の難局の解決策として.ロ.シアが朝鮮の北半分を取り,日本が南半分を取るなどという提案は全くお話にならない。

ロシアは巨文島協定で朝鮮の領土を一切取れないことになっているし,日本もまた.いかなる場合も朝鮮の独立と領土保全を擁護するため最善を尽くす約束をわれわれと結んでいる。

こうしたヨーロッパ大陸から絶えず流れてくる平和的解決の保証はど無益なものはないだろう。今や露日両国とも完全に武装し艦船や石炭や軍需品の買占めに狂奔し,中立国政府はその提督たちに,戦争が勃発した際にとるべき方針を,大急ぎで訓令しているのだから。

 本紙東京通信員は,昨日の電報で情勢を次のように要約している。日本とロシアが交渉を続行し得る共通の基盤は存在せず,したがって日本は,ロシアが準備を完成するためにこれまで常に引き延ばしてきた交渉期間も終りを迎えたという感触を持った。

両国間に共通の基盤が存在しない理由は,ロシアが極東全体を独占したいと思っているのに対し,日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国における中国人のために,朝鮮における朝鮮人のために,そして日本における日本人のために望んでいるからだ。

われわれは今や戦争が不可避だとあえて断言するつもりはない。

最後の瞬間に,ロシアが自分の立場の難しさに気がついて,満州に関するその

いくつかの約束を守るという保証を与えるかもしれないからだ。

ロシアにとって日本との戦争は,歴史の中の1つの挿話に過ぎないが,日本はその存続のために戦うことになるだろう。

そしてもしロシアが中日戦争以来とってきた侵略の姿勢をやめない限り.日本は戦わざるを得ない。もしヨーロッパ列強と合衆国に先見の明があったならば,最初から日本を後援して,彼らが反対を唱えることに甘んじている戦争を防止

できただろう。

西太平洋がロシアの湖になってしまうのは,世界全体にとって,フラ

 ンスとドイツにとってすら好ましいことだろうか?

モスクワから大連まで豪華列車で旅行できる便利さが,西洋の商人や生産業者たちにとって,極東の門戸が次々に閉ざされていく埋合せになるのだろうか。

中国は何をなすべきか?中国も日本と同じくらい脅威を受けている。実際に中

 国は.満州を取り戻すために口出しすれば、蒙古と新彊を失うことになると警告されてきたのだ。

中国は軍隊の再編成に全力を尽くしており,かつて何人かの自国の政治家の裏切り行為によって失ったものを取り返すのに懸命になっている。現時点で,中国の強さは,じっとしていること,そしていかなる国に対しても全力で自分の権利を守ることにあるようだ。

その場合,少なくとも英語を話す諸国民は中国の独立と保全を確保するためにできる限りの援助を与えてくれる友人だと理解していい。

また,もし要請されたときには,満州領を回復するために,日本を援助することだ。もし中国が,不安定ではあるがこれまで通りの帝国を維持したいと願うなら,今や率直で公明正大な外交政策をとらなければならない。秘密協定や,ある外国を別の国と戦わせることを好む性癖を.できれば改めなければなら

ない。弱さの故にこうしたことに逃げ込むのだが,結局は失敗するのだ。

 

     190418

ノース・チャイナ・ヘラルド

われわれは朝鮮をどうすべきか?日本人からの寄稿

 

天はわれわれに深刻な問題を突きつけ,解決を迫っている。すなわち,「朝鮮をどうすべきか?」ということだ。

これまでわれわれの合言葉は「朝鮮の独立を援助しよう」だった。これは大変すぐれたモットーだが,過去10年間の経緯が,これを無意味なものにしてしまった。

 今われわれの問題は,朝鮮の独立をいかに援助するかではなく,朝鮮をどうすべきかなのだ。この問題に対する回答は2つしかない。

朝鮮を放棄するか,または併合するかだ。われわれはこの2つのうちどちらかを選ばなければならない。

 この問題を解決するにあたって,われわれがまず第1に考慮しなければならない

のは,朝鮮の貴族や役人の利害ではなく,全人類の平和と幸福である。

 孟子は言った,「民は最も尊く,王はこれに次ぐ」と。もしわれわれが朝鮮を放棄することで,朝鮮国民にも全人類にも利益をもたらすことができないならば.朝鮮を併合しようではないか。ハワイの独立も,フィリピンや琉球の独立も達成されなかった。とすれば,なぜわれわれは,朝鮮の独立が不可能なことをすでに発見しながら,朝鮮においてのみ独立を達成する援助をしなければならないのか?

 われわれは,無思慮にわが国の領土的栄光を喜ぶ連中を嫌悪するが,今こそ人々の利益と文明の進歩のために,最終的な1歩を踏み出さねばならない。しかもこれは流血を伴わずに達成できるので,なおさらのことだ。

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
高杉晋吾レポート(8)★☆<スクープインタビュー>闇に隠された「ふげん配管ひび割れ隠蔽」のショッキング証言—森田渓吾①

 高杉晋吾レポート(8) <スクープインタビュー>『闇に隠された「ふげ …

no image
終戦70年・日本敗戦史(78)戦後70年―決して忘れてはならない敵国の温情、中華民国・蒋介石は「徳をもって怨みに報いる」と宣言①

  終戦70年・日本敗戦史(78) 戦後70年―決して忘れてはならない …

no image
『アルジャジーラの戦争』イラク戦争報道で欧米メディアを圧倒―

1 2003 年11 月5 日 『アルジャジーラの戦争』イラク戦争報道で欧米メデ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(257)/ 「2019国際ロボット展」(「協働ロボット、サービスロボットがつなぐ人に優しい社会)=1219/12/18ー21) で 日本ロボット産業の現状をみた』★『2020年は5G、AI元年だが、日本のAI(人工頭脳)産業のー未来は明るいか!』

  ロボットの未来ー2020年は5G、AI元年となる   & …

no image
日本リーダーパワー史(493)『長期化する日中韓の対立を 百年前の『アジア諸民族の解放の父』-『犬養木堂伝』を 読んで考える」

       日本リ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(244)/記事再録★『日本の「戦略思想不在の歴史⑮」ペリー来航45年前に起きたイギリス東洋艦隊の「フェートン号」の長崎港への不法入港事件」★『ヨーロッパでのナポレオンの戦争の余波が<鎖国日本>にも及んできた』

  記事再録 2017/12/10  「 …

  今から約10年前の2012/07/12/  日本リーダーパワー史(279)記事再録『日本沈没は不可避か』-鈴木大拙の一喝②感情的な行動(センチメンタリズム)を排し、合理的に行動せよ

  2012/07/12  日本リーダーパワー史(279) …

no image
再録/百歳学入門(11)<日本超々高齢社会>の過去とは・<明治から1945年(昭和20)までは、人生90歳時代の現在とは真逆で、人生わずか50年だった日本>

    2010/01/26 &nbsp …

東京国立博物館で開催の「運慶」展(9/26ー11/26)は入場者が60万人を突破する大人気』★『運慶仏像を間近に見ることが出来る鎌倉杉本寺を紹介する』★『その裂ぱくの大迫力にエネルギーをもらう』

  上野の東京国立博物館で開かれていた「運慶」展(9/26日から11/ …

『オンライン憲法講座/憲法第9条(戦争・戦力放棄)の発案者は一体誰か④』★「マッカーサーによって押し付けられたもの」、「GHQだ」「いや,幣原喜重郎首相だ」「昭和天皇によるもの」―と最初の発案者をめぐっても長年論争が続き、決着はいまだついていない』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)

   2006年8月15日/『憲法第9条と昭和天皇』記事再録 …