池田龍夫のマスコミ時評(102)『米上下両院、14年度グアム移転予算を認可(12/16』『疑問だらけの「エネルギー基本計画」(12/13)』
2015/01/01
池田龍夫のマスコミ時評(102)
◎『米上下両院、14年度グアム移転予算を認める(12/16』
◎『 疑問だらけの「エネルギー基本計画」(12/13)』
池田龍夫(ジャーナリスト)
米上下両院、14年度グアム移転予算を認める(12/16)
沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転に関し、米政府の2014年度(13年10月~14年9月)関連予算が12月9日、米上下両院軍事委員会で合意に達した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設進展につながるかどうか、日米両政府と地元沖縄県との調整が注目を集めている。
米政府は2020年代から、グアムなどに9000人の海兵隊と家族を移転させる計画だったが、議会内に慎重な意見が強く、棚上げされていた。今回の修正合意によると、必要な経費は、前会計年度比約8倍増となる約2億㌦(約206億円)で、米側の負担は8600万㌦、日本側が1億14400万㌦という。
各紙報道によると、海兵隊4000人がグアムへ、米本土・ハワイ・豪州へ4600人が移転し、沖縄には1万9000人が残留する計画だ。上院軍事委の重鎮であるマケイン議員が8月に訪日した際、安倍晋三首相らが「海兵隊のグアム移転が普天間移設に不可欠」と説いたことが、上院の方針転換の一因と推測されている。
安倍自民党政権が圧力を掛けた結果、沖縄・自民党国会議員5人が「県外移設」の公約を転換して辺野古容認に転じた。1月19日の名護市長選にも自民党が候補者を立て一本化調整を行っている。仲井真弘多知事が辺野古沖埋め立て申請にどう返事するか、辺野古問題は風雲急を告げている。
疑問だらけの「エネルギー基本計画」(12/13)
経済産業省は12月6日、「エネルギー基本計画」の原案を発表した。原子力発電を「重要なベース電源」として、原発再稼働に向けた〝地ならし〟的印象が気がかりだ。
野田佳彦・民主党政権時代の2012年9月、「30年代に原発稼働ゼロ。稼働40年で停止、新増設は認めない」とエネルギー計画を打ち出していたが、安倍晋三政権は今回「原発維持」政策に方向転換した。
原発再稼働、原発輸出を打ち出す
「①原発は、重要なベース電源②最終処分場の候補地は国が指示③原発比率、新増設方針
は見送り④原発輸出は推進」――との方針を鮮明にした。福島第一原発事故(2011・3・11)によって〝原発安全神話〟が瓦解し、クリーンなエネルギー源確保に全力を挙げなければならない時期に、自民党政権の時代錯誤的方針には呆れ果てる。
最終処分場、核燃料サイクルなどの難題
毎日新聞12月10日付朝刊は「原発回帰は許されない」との見出しで一本社説を掲げた。
「現世代の責任として国が最終処分に積極的に取り組むのは当然のことだ。しかし、候補地選定が難しいことに変わりはない。小泉純一郎元首相の『トイレなきマンション批判』に基づく『原発ゼロ』発言をかわすための方策とも思える。再稼働を進めるために積極姿勢を見せても、根拠が乏しければ国民の理解は得られまい。
最終処分問題の解決のためにも原発を減らしていく具体的な計画を示すべきだ。『核燃料サイクル』を原発事故前と変わらず『着実に推進する』としたことも問題だ。日本は再処理済みのプルトニウムを国内外に44㌧も所有している。原爆5000発分に相当する。消費するあてもなく、プルトニウムを生み出す核燃料サイクルを続ければ国際的な疑念を招くおそれもある。
実用化のメドが立たない高速増殖型炉『もんじゅ』や再処理工場の安全性、技術的な困難さなどを考え合わせれば、核燃料サイクルにはこの段階で幕を引くべきだ」と、具体的な問題点を挙げ、厳しく批判していた。
プルトニウムは貯まる一方
東京新聞11日付社説も、「今現に50基ある原発は、すべて停止中である。汚染水さえ止められず、膨大な国費をつぎ込んでいる。この先、除染、補償、廃炉など、天文学的な費用が必要になるだろう。とてもではないが、原発は安定的とも低コストとも言い難い。
(中略)使用済み核燃料の処分方法は、棚上げにしたままだ。核燃料サイクルの実用化は可能かどうかわからない。再処理して取り出した危険なプルトニウムが蓄積されていくだけだ」と、警告を発していた。
原発推進を煽ってきた通産省が「真摯な反省」どころか、計画がズサンすぎる。原発依存度は可能な限り少なくするとは書いてあるものの、国の反省は伝わってこない。素案をまとめた審議会委員の大半は、原発維持・推進派が占めている。
特定秘密保護法に従えば、原発の事故対策すら、テロ防止を口実に公開されない恐れがある。基本エネルギーが原子力である必要はない。原発に代わる新技術をなぜ奨励しないのか。そこには国の未来がかかっている。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
関連記事
-
-
『オンライン/新型コロナパンデミック研究』★『新型コロナと世界の沈没②―コロナ共存社会は数十年続く』★『コロナ感染者、世界で2000万人突破(8月15日)』★『米中対決のエスカレートは加速一方』★『大国の興亡」の歴史、覇権国の行方は?』★『『3ヵ月をきった米大統領選挙の行方』』
前坂 俊之(ジャーナリスト) 米中 …
-
-
★『ある国際ビジネスマンのイスラエル旅行記④』★『エレサレムの旧市街の迷路を歩く』★『発掘されたエルサレム 各統治年代によって重層化した地盤』★『究極の聖地周辺は今も大規模な発掘が進行中』★『呼び込みの激しいバザール』
2018/03/24 『F国際ビジネスマンの …
-
-
中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑧「ルー・タン」(フランス紙)『インドシナ通信ー日本の新聞、隠者の王国(朝鮮人の性格)』
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプ …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(123)「戦後70年、「偏見のない首相談話」を期待」(5/11)
池田龍夫のマスコミ時評(123) 「戦後70年、「偏見のない首相談話」を期待」( …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ①』☆『キミマロがニューヨークタイムズに登場!スゲー!』
『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ①』 ●『With …
-
-
『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座】㉝」★『120年前の日露戦争勝利の立役者は児玉源太郎、山本権兵衛』★『日露開戦4ヵ月前、前任者が急死したため児玉源太郎は二階級(大臣→参謀次長)降下して、決然として立ち、日露戦争全軍を指揮した』★『わが戦略が失敗すれば、全責任を自己一身に帰して、内閣にも、参謀総長にも分たず、一身を国家に捧げる決意で取り組む」と決意を述べた』
児玉源太郎副総理(内大臣、台湾総督)は二階級(大臣→参謀次長)降下 …
-
-
『 F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(203)』★『2017/5月、6、7年ぶりに、懐かしのアメリカを再訪した』★『NYでは、コニーアイランドとNathansのホットドッグやシーフード、ブルックリンとイーストリバー、9.11 跡地、Staten島往復と自由の女神、 セントラルパークと5番街、有名教会見学、タイムズスクエア周辺ウオーキングとカフェ巡り。』
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/07/am8) 2017/05/10 …
-
-
<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(210)>『カタールの天然ガス輸出先は第1位が日本で全体の約21%』★『イランシンパのカタールを、テロリスト支援国家の役割から全面的に手を引かせる事が今回の国交断絶の主目』★『コラム:瀬戸際のカタール、事態収拾に元首交代も選択肢』●『国交断絶、小国カタールがここまで目の敵にされる真の理由』★『カタール、LNG契約交渉で日本側に強硬姿勢 権益排除も』●『イラン、日本への液化石油ガス輸出を停止=通信社』
<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(210)> 『カタールの天 …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(85)◎『福島原発被害者を泣かせる」政府のズサンな対応(7/6)』
池田龍夫のマスコミ時評(85) ◎『福島原 …
-
-
連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」①『A・ロドリゲス氏は「これは世界的な物語だ」と絶賛』
連載「大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」① 4月9日 …
