前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(123)「生保の父」第一生命創業者・矢野恒太(84歳)「年を忘れることは年をとらない一番の法である」

   

知的巨人たちの百歳学(123)

「生保の父」第一生命創業者・矢野恒太(84歳)

「年を忘れることは年をとらない一番の法である」

「事業から退いたあとは「国民数表」の作成に熱中して

老衰を忘れ去っている」

 

矢野恒太(岡山県・医者)、慶応元年1866-昭和26年1951(84歳)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E9%87%8E%E6%81%92%E5%A4%AA

http://www.yanotsuneta-kinenkai.jp/

矢野恒太は今日の相互保険の創始者であり、その企業史的業績はさん然としている。

彼は岡山県上道郡の医家に生まれ、医師をめざし、上京し東大医学部にも入ったが、結局24歳で岡山の医学校を卒業し、すぐ大阪に出て日本生命の保険医となった。

ここで保険業のあまりの不備を知った彼は、強い使命感と野心を抱いて保険の研究に身を投じた。トラブルで日本生命を辞めた彼は、さらに専門的研究を深め、一生の事業となる相互保険の導入を志した。

1894(明治27)招かれて安田善次郎の共済生命の改革にあたり、日本最初の死亡表(矢野氏第一表)を作成、翌年欧米へ留学し、完全に生命保険をマスターして帰国した。

明治31年、農商務省に入り、保険業法の起草に従事、初代の保険課長となって業界の整備にあたった。そして同35年、年来の理想たる相互保険会社、第一生命を創立した。会社は保険契約者を主人公に、最良の会社を目標とし、専ら堅実経営で発展、五年目で払込契約者に配当の支払いを開始した。

1915年(大正4)に社長に就任、相互主義の第一相互貯蓄銀行(第一生命保険の前身)も設立した。昭和初期には文字通り最良の大会社となり、同十三年に社長を石坂泰三に譲り、85歳で死去するまで「論語」を片手に、理想主義の生涯を貫いた。

その矢野の功績をたたえて設置された「公益財団法人矢野恒太記念会」は統計の普及、公衆衛生や社会教育の向上、農業の振興など各方面での矢野恒太の事績を顕彰し、その思想の普及に努めるため各種の記念事業を行っています。
具体的な事業としては、統計データブックの編集・刊行を中心とした『統計の普及・啓発事業』、青年農業者に対する『表彰事業』、及び大学院生や高校生を対象とした『奨学金事業』等を実施している。

『忘れ去る』

人間は何かに凝ると年を忘れるものである。そうして、年を忘れることは年をとらない一番の法である。ところが、人は仕事や研究に打ちこんでいて、気がついてみたら知らぬ間に年取っていたとよくこぼすが、そこでガックリしてはいけない。

知らぬ間に年をとったら、そいつをまた忘れるように何か新しい仕事や研究なりにとりかかることだ。それでおしまいにしたら、体も頭の方もおしまいになってしまう。

仕事・仕事の連続、研究、研究の追っかけで、人間は健康も長寿も知らぬ間に自分のものとなっているのである。意識をしない知らぬ間に、というのではつまらぬというかも知れぬが、健康も長寿も意識し始めたら、値打ちが半減する。またそれからすぐ崩れかける。

ほんとうの健康長寿は、つまり、すっかりそれを忘れて何かにうちこめるところにある。この意味において私は事業から退いたあとは、「国民数表」の作成に凝りかたまって老衰を忘れ去っている。

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★「ストップ・ザ温暖化で地球を救え、人類を救え!」ー国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPPC)は「温室効果ガス増加による人類の未来は今後数年の対応によって決まる」と声明』★『海が想定の1.6倍も熱を吸収していたことが判明、地球温暖化への取り組みの見直し』

  国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPPC)は「温室効果ガスの …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑲『開戦3ゕ月前の『英タイムズ』の報道-『満州撤退の最終期限10月8日が過ぎたが,ロシアは過去3年間と 変わらず満州に居座り続けた』●『ロシアは満州全体をおさえ、その前進運動をさらに朝鮮に拡大、竜岩浦に軍事基地をつくった。』●『日本は平和的な措置をとり.難局において,また紛争の長期化を通じ,日本は自制を保ち続けてきたが,これは日本が大国になって以来の最も称賛すべき特徴だ。』

 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑲   1903(明治36) …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(267)★『6年前のSTAP細胞問題の小保方晴子氏会見をみて感じた 「死に至る日本病」の正体とは・』★『説明責任を果たさない公人側と厳しく追及しない日本の記者会見の無責任体制はいつまで続くのか』

  2014/04/10  日本のメルト …

新著刊行しました !★『人生、晩節に輝く(長寿逆転突破力)』(日経新聞出版社 2022年6月刊 1700円+税)★『渋沢栄一は「人の生涯を重くするか、軽くするかは、一にその晩年にある。人は晩年が立派でありさえすれば、世間はこれを許してくれる』  

   前坂俊之著『人生、晩節に輝く(長寿逆転突破力)』(日経 …

no image
★記事動画リバイバル『鎌倉カヤック釣りバカ/筋トレ/海上禅/日記」で百歳チャレンジ!』★『鎌倉ロハス・地産地消・釣ったカワハギを和食の絶品「カマクラ・健康カワハギ茶づけ」にして、100歳めざせ

2014/11/18  百歳学入門(102)記事再録 「鎌倉 …

no image
日本メルダウン脱出法(636)「長生きのための方法論3つ」「中国の話題3つ」など8本

日本メルダウン脱出法(636) 再始動した中国のアンフェアな対日宣伝中東イスラム …

『Z世代のための百歳学入門』★『玄米食提唱の東大教授・二木謙三(93歳)の健康長寿10訓』★『1日玄米、菜食、1食のみ。食はねば、人間長生きする』★『身体と精神の健康は第一に欲を制するにあり、食べなければ頭がより働く』

2012/11/05 百歳学入門(54)記事再録再編集 玄米食提唱の東大教授・二 …

★5日本リーダーパワー史(782)『明治政治史の謎を解く』★『秋山定輔が仕掛けた日露戦争の引き金となった前代未聞の奉答文事件の真相」

★5日本リーダーパワー史(782)― 『明治政治史の謎を解く』 ★『秋山定輔が仕 …

no image
 日本メルトダウン(1025)『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』ー『l  ウエスチングハウス破産申請か 東芝に問われる保証責任』◎『福島原発事故から6年 「アンダーコントロール」からほど遠い現状、海外メディア伝える』★『3・11とメディア 福島 もう一つの真実』●『原発事故から6年。食品の汚染度は低下するも「食の安全」は本当に取り戻せたか?』◎『国の東芝支援はあり得ない…「ゾンビ企業」を保護する日本に海外メディアが苦言』★『廃炉措置機関の創設で国が責任を持つ体制に変えよ 福島事故6年目、ガバナンスの根本改革にとりかかるときだ』

 日本メルトダウン(1025) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』 …

『オンライン講座/60,70歳から先人に学ぶ百歳実践学①』★『高齢化率は日本 26.6%で世界一、百寿者は6万7824人、90歳以上は約200万人』★『「六十、七十 はなたれ小僧、八十,九十男盛り、女ざかり、百歳わしもこれから、これから』<彫刻家・平櫛田中(107歳)>の烈語!

    2018/04/18 /記事再録 『60, …