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『日本敗戦史』㊲『徳富蘇峰が語る『なぜ日本は敗れたのか』➂ 大正から昭和の日本政治は乱脈、無能、無責任であった。

      2015/01/01

  

 


『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㊲

 


『来年は太平洋戦争敗戦から70年目―『日本近代

最大の知識人・徳富蘇峰「百敗院泡沫頑蘇居士」

が語る『なぜ日本は敗れたのか・その原因』➂

―現在直面の『第二の経済敗戦』も同じ失敗パターン』

 

 

   大正から昭和の日本の政治は乱脈、無能であった。政党内閣と官僚内閣のタライ廻し、チャンボン内閣、政党横暴の時代であり、政党に国家の経綸はなく、党利党益のみ。

   満洲事変では中堅将校が勝手に振舞い、下剋上、統帥権を無視したが、軍上部はそれを罰せず逆に賞を与えた。その結果、軍が政治を引摺(ひきずり)り、軍事政権になっていくが、誰れ一人それを怪しむ者は無かった。

   満洲事変以来、仕事は出先きの者共が勝手に行い、中央は自分達の無為無能無力によってそのまま承認した。満洲事変から大東亜戦争までは下剋上の連続である。

  反対に明治政府では下剋上の政治はなかった。一例を挙げれば、台湾総督児玉源太郎は、後藤新平民政長官と計って、厦門(アモイ)を占領すべく、統帥権を無視して勝手に出兵を計画した。しかし、明治天皇、伊藤博文らは越権行為であると反対し、既に船に乗込ませた兵を、引戻して中止させた。

   

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%AF%8C%E8%98%87%E5%B3%B0

 

以下はWikiによる『軍部との提携と大日本言論報国会』から、

 

徳富 蘇峰はいうまでもなく日本近代、最大のジャーナリストである。日清戦争に従軍し、日露戦争では開戦を支持、山県有朋、桂太郎ら明治のトップリーダーの伝記編纂、著者となり、太平洋戦争中は「大日本言論報国会会長」として、日本の新聞、出版のトップに君臨して、戦争の旗振り役に徹した。昭和16128日の海戦では東条英機の依頼で、開戦の詔書を添削した。昭和19年)2月には『必勝国民読本』を刊行した。終戦後の昭和209月、敗戦責任を取り、自らの戒名を「百敗院泡沫頑蘇居士」とする。GHQによって戦争責任を追及されて、A級戦犯に指定されたが、後に不起訴処分となった。徳富の死後半世紀たった2006、蘇峰が終戦直後から綴った日記「終戦日記」が初めて公開された。

以下の「敗戦の原因①」については、八月一五日の終戦のわずか二週間後に書いたものである点が注目される。

 

 

敗戦の原因➂-1(昭和二十年九月二日午後、双宜荘にて)

 

 

敗戦の原因➂

 

 詰は少し前に遡るが、満洲事変は、竹やぶから出た筍(タケノコ)ではなくして、縁の下から畳を持上げて、座敷の真ん中に飛び出したる筍のようなものだ。物事が筋道が通って、当り前に運べば、陸軍の数名の佐官級の将校が、これ程の大事を仕出かす筈はない。しかるに無理に無理を加え、圧迫に圧迫を重ねた結果、勢の激する所、ここに到ったのである。

 

それは大正から昭和の初期に至る迄の日本の政治が、余りにも乱脈であった為めである。

乱脈ばかりでなく、同時に余りにも無能であった為めである。大正の初期から昭和の初期まで二十余年間、政党内閣と官僚内閣の、盟廻しといわんよりも、チャンボン内閣であって、殊にその間、政党横暴の時代であり、これを矯(た)むる為めに、また官僚横暴の時代を来し、国家の経綸などは、全く棚の上にあげて、ただ党利党益をこれ事とした。

 

政党ばかりが党であるばかりでなく、官僚もまた一種の党である。その為めに、あるいはそれに対する一大抗議として、満洲事件は出で来たったということも出来よう。今更その職域に在らざる者が、上司を凌いで、勝手の振舞をしたとて、それを咎(とが)め立てする訳にも行くまい。

 

しかしその以来、軍が政治を引摺(ひきずり)り、また軍のある部分の人達が、軍を引摺り、政権は在る可き所に在らずして、在る可からざる所に在ったような傾向であって、誰れ一人それを怪しむ者は無かった。

 

ところが、その惰力が転々して、大東亜戦争となり、ここで聖詔換発して、明治の御代に還元すべき筈であったが、不幸にして、それが行われず、遂にかかる驚天動地の大事件、振古来曽有の大難題を、殆ど充分の仕度もなく、準備もなく、用意もなく、引き負うてしまったのである。

 

軽率といえば軽率であるが、実をいえば、この戦争は日本が始めたのでなく、全く米英、殊にその七、八分迄は米国が主力となって、日本に喧嘩を仕掛けて来たのである。日本も売られた喧嘩、致し方はない。このまま泣き寝入りとなれば、立つ瀬は無い。そこで乾坤一擲(けんこんいってき)の場面に乗り出したのである。いわば乗り出さざるを得なかったのである。

 

満洲事変以来、概ね仕事は出先きの者共が勝手に行い、中央では受け身となって、後とからそれを承認し、自分達の無為無能無力を飾る為めに、それをそのまま承認していたのである。

中央政府がその通りであれば、恐れながら主上に於かせられても、またその中央政府の承認したる所を、承認する外はなかったのである。

 

いわば満洲事変から大東亜戦争まで、下剋上で持ち切ったのである。従ってその仕事が成功すれば、仕事に直接関係の無い人までが、初めから関係したような顔をして、その恩典に与かり、若くは恩典を我が物とし、万一それが間違えば、誰れ一人その責を負う者はないという事になる。

 

それでその結果は、賞有って罰無き、即ち濫賞無罰という政治が行わるるようになって来たが、それも亦た大袈裟に、大東亜戦争まで持込んで来たのである。

 

 仮りに明治天皇の御代であったとしたならば、満洲事変の如きは、断じて起らず。また起る必要もなかったであろう。明治天皇の時代でも、内閣首班者として、相当の「へま」をやった者もいる。取返しの付かぬ失策を仕出かした者もある。しかし下剋上の政治は、何処を見ても行われなかった。

 

いま一例を挙ぐれば、台湾総督児玉源太郎伯は、後藤新平民政長官と計って、厦門(アモイ)を占領すべく、既にその準備に着手した。しかるにそれは越権の処置であるということで、既に船に乗込ませた兵を、また引戻して中止せしめた。

 

そこで児玉伯は納まらず、辞職の上位記爵位を返上し、一平民となるべく決心した。ところが主上より、米田侍従を勅使として、有難き御沙汰を窟らして、台湾まで御差遣になり、そこで剛情の児玉伯も、恩命の浸きに感激して、思い止まった。陸軍の児玉、台湾の児玉といえば、飛ぶ鳥落とす有力者である。

 

しかるに中央政府の手は、かくの如く厳しく彼れの運動を制し、同時にまた彼をしてその面目を失わざらしむる様の手配を主上は執らせ給うた。これがいわゆる恩威並び到るという事であろう。かかる事は、残念ながら、明治の御代にのみ見る事であって、以後の御代には、それに比較すべきものさえも見られない。

                        つづく

 

 - 現代史研究 , , , , , , , , , , , , , , ,

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