『オンライン講座/日米戦争開戦の真珠湾攻撃から80年⑫』★『 国難突破法の研究⑫』★『東日本大震災/福島原発事故発生の3日前の記事を再録(2011/03/08)』★『ガラパゴス/ゾンビ国家になってはいけない』★『ロジスティックで敗れた太平洋戦争との類似性』★『1千兆円の債務を抱いて10年後の2020年以降の展望はあるのか?」
2021/12/18
『リーダーシップの日本近現代史』(263 )記事再録
(2011/03/08)記事再録―日本リーダーパワー史(130) 『自滅国家日本の悲劇』ー迫り来る国家破産と太平洋戦争敗戦(2011/03/08)
以下の記事を書いたのは2011年3月8日で、東日本大震災/福島原発事故発生の3日前のことです。9年経過した現在の日本はどうなっているのか、昭和史の興亡の中で比較、考察した論考なので、再録した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ジャック・アタリ『国家債務危機』(作品社、2011年)によるとー
世界史の法則とは―覇権国家は必ず財政破綻に陥る
『900兆円の債務を抱だいて日本は10年後の展望ができるのかー
3つの選択肢は(A)極端な緊縮財政(B)国家破産(C)最悪の場合は戦争
結論は(B)か(C)。リーダーシップのない日本は(A)をやり切るパワーはない。
前坂 俊之(ジャーナリスト)
ミッドウエーの惨敗、ガダルカナルをめぐる攻防が続いた1942年(昭和17)は太平洋戦争の潮目となった。
日米の資源、経済力、軍事物資、戦力、兵員動員力などの総合的な国力差がここで一挙に顕在化してきた。
個々の戦闘、小戦争での勝敗を決するものはその戦術、作戦以上にそれを背後で支える輸送力、補給戦、ロジスティックな軍事経済力、いわゆる国力である。第2次世界大戦は文字通り、国民総動員の国家総力戦、国家科学工業戦になっていた。
その基本的な事実を日本軍はもちろん承知はしていたものの、緒戦の大勝利に酔って忘れてしまったのである。
米国の圧倒的な資源、経済力、戦力には日本は逆立ちをしてもかなわない。日本は資源少国で、主に米国などから資源を輸入して、それを加工して輸出する軽工業貿易国家であった。その輸入を止められたらひとたまりもない。
この地政学的な条件、月とスッポン、巨人と小人―この圧倒的な差を見れば、最初から勝負にならないことは誰の目にも明らかであった。このため、軍も日米戦争には最後の最後まで二の足を踏んでいた。
昭和12年(1937)年7月、日中戦争が始まった段階での、日米の主要な軍需資源物資の差は、鉄は7分の1、石油は何と600分の1、電力は4分の1、石炭は9分1などで、これらを総合して、国力差は約10分の1と見られていた。
これが、昭和14年には20分の1と倍にも広がり、開戦時の昭和16年になると40分の1と目もくらむほどの差となった。
森本忠夫『魔性の歴史―マクロ経営学からみた太平洋戦争』(光人社NF文庫、1998年刊)によると、昭和15年の米国のGNPはほぼ1千億ドル、日本は92億ドルで約11倍だったが、翌16年は12・7倍に開いた。このGNPの上に総戦力は規定される。
昭和16年当時の日米の重要物資生産の比較を見ても、日本を1として米国はアルミの6倍、銑鉄、鋼鉄は12倍、石油は500倍、自動車生産450倍、平均して78倍もの格差があった。
この圧倒的な格差が米国の石油の全面輸入禁止などの経済制裁で、ストップするのだから日本は崖っぷちに追い込まれた。
冷静にソロバンをはじく前に、思考停止状態となって『戦争によるほかに打開の途なし』と本末転倒の結論に達する。まだ戦争遂行のための石油ストックがあるうちに、『座して死を待つよりも、清水寺から飛び降りる気持ちで・・』(東条英機首相の言葉)で、窮鼠猫をかむで、開戦に踏み切ったのである。
その意味で日本側も戦争準備は十分できていなかったし、それ以上に米国側も全く準備していなかったので、緒戦の不意打ちで、いったんはダウンした。しかし、それは逆に『だまし討ち』『リメンバー・パールハーバー』で米国民を一挙に目覚めさせて、怒って立ち上がった超大国の『日本をたたきつぶせ!?』の猛ダッシュが始まった。
マクロな軍事力、米・英・ソ連・日本・ドイツ・枢軸国・国力の比較
マクロの数字で日米、各国の国力を年度別変遷でみてみると、超大国アメリカのその戦争遂行力の量的、スピードのすさまじさがよくわかる。
まず、軍事力のとてつもない格差は以下の①の表をみていただきたい。
米国の軍事生産額は太平洋戦争開戦の41年が47億6千万ドル、米を除いた連合国(英・仏・ソ連などの合計)は165億ドル、枢軸国(日独伊の合計)は155億ドルである。米国の数字が低いのはまだ第2次大戦に参加していなかっため。(太平洋戦争は41年12月に開始)
大西洋、太平洋の両面で日独伊の枢軸国との戦争にはいった米国は42年は一挙に5倍の205億ドルにはね上がり枢軸国合計の
8割近くに接近し、43年には395億ドルではるかに抜き去る。44年には435億ドルで、1・5倍に達して早々と勝負をつけた。
その軍事力はイギリス、フランス、ソ連の連合国の合計をはるかに凌駕し、枢軸国など束になってもかなわないことがわかるし、日本単独では太刀打ちできないことが子の厳然たる数字で示されている。
表②は各国のピークに達した1944(昭和19)年の軍事費を100としての年度別数字を比較したもので、その国の戦争遂行のスピード、成長力を示している。これをみると、41年の開戦前には米国は準備をほとんどしいないことがわかる。
用意ドンとなって以降は42(昭和17)年は一挙に四倍の47と急増する。43(同18年)にはエンジン全開の91までに戦争経済を加速、ミッドウエーでの反撃、ガダルカナルからの飛び石的な猛攻撃がこの時期である。
これだけ短期間にスピーディーに反撃するだけの兵力動因、装備、軍事兵器の増産、総合的な軍事力・国力があるということだが、一方、日本は戦争開始2年後でもわずかに1・6倍、43年では1・4倍しか加速できず、日本国家の体質欠陥(決定が遅く、小出しの遂次投入、実行もスローモー)がここでも現れている。
巨人・アメリカと小人・日本の戦いは、眠っていた米国に真珠湾で1発くらわすと、目を覚ました巨人が走り出すと早いこと、早いこと・・、まるでオリンピックの陸上百メートル競技で米チームが長年独占しているように、予選落ちの日本とは格の違いを見せつけた。
日本の軍事生産力はすでに日中戦争の昭和14年にはピークを迎えており、そのうえに英米を新たに敵に回して戦う愚を犯したことを、この数字は示している。
関連記事
-
-
日本メディア(出版、新聞、映画など)への検閲実態史②『満州事変と検閲の実態を調べる。前坂俊之著「太平洋戦争と新聞」(講談社学術文庫、2007年)より。
満州事変と検閲の実態を調べる。以下は前坂俊之著「太平洋戦争と新聞」 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(65)記事再録/ 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(55)『三国干渉』後に川上操六はスパイ大作戦をどう組み立てたか『日英同盟締結に向けての情報収集にエース福島安正大佐 をアジア、中近東、アフリカに1年半に及ぶ秘密偵察旅行に派遣した』
2016/02/25   …
-
-
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』(英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」,外国紙はどう報道したかを読む 1903(明治36)年4月23日付『ノース・チヤイナ・ヘラルド』 『ロシアと日本』
『世界史の中の『日露戦争』ー露清協定の撤兵期限 (明治35年10月 …
-
-
片野勧の衝撃レポート(83) 原発と国家―封印された核の真実⑭三谷太一郎 (政治学者、文化勲章受章者)の証言②『主権国家中心の現在の「国際社会」ではなく、 主権国家以外のさまざまな社会集団も加えた 多元的な「国際社会」を再構築することが必要だ」。
片野勧の衝撃レポート(83) 原発と国家― 封印された核の真実⑭(1997~2 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(806)「視点:日本経済の「3つの命題」=マイケル・スペンス氏」●「視点:日本経済再生に移民政策は不可避=ケネス・ロゴフ氏」●「「孫正義」側近、幹部、ライバルが明かす正体 世界進出開始から3年、周囲が見た実像とは」●「なぜグーグルは「拡大力」で他を圧倒するのか 最新ニュースから読み解く「攻め」と「守り」」
日本メルトダウン脱出法(806) 「視点:日本経済の「3つの命題」=マイケル・ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(159)再録/知的巨人の百歳学(113)ー徳富蘇峰(94歳)ー『生涯現役500冊以上、日本一の思想家、歴史家、ジャーナリストの健康長寿、創作、ウオーキング!』
22018/12/01知的巨人の百歳学(1 …
-
-
日本リーダーパワー史(641) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(34) 明石元二郎のインテリジェンスー対ロシア破壊工作をどのように進めたのか 『明石工作」(落花流水)の全容ーレーニンは協力者となったのか⑤
日本リーダーパワー史(641) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(34) …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史]』(21)記事再録/『山岡鉄舟の国難突破力⑤『金も名誉も命もいらぬ人でなければ天下の偉業は達成できぬ』
2011/06/22   …
-
-
『百歳学入門(203)』-記事再録『 文化勲章のもらい方ー文化勲章は大嫌いの「超俗の画家」熊谷守一(97歳)と〝お金がもらえますからね″といって笑った永井荷風〈当時72歳〉の『人間の品性について』
記事再録/百歳学入門(155) 「超俗の画家」の熊谷守一(97歳)と永井荷風〈当 …
-
-
日本リーダーパワー史(617)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑪日中歴史インテリジェンスの復習、5年前の民主党政権下の尖閣諸島問題での外交失敗を振り返る。 リーダーなき日本の迷走と没落、明治のリーダシップとの大違い
日本リーダーパワー史(617) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑪ 『日中 …
