池田龍夫のマスコミ時評(84)◎『原発輸出などもってのほか(6/12)』●『無人爆撃機の脅威、市民巻き添え(6/10)』
◎『原発輸出などもってのほか(6/12)』
●『無人爆撃機の脅威、市民巻き添え(6/10)』
ジャーナリスト 池田龍夫
★原発輸出などもってのほか(6/12)
6月7日の日仏首脳会談で、「原発をさらに推進するため、協力を強化する」方針で一致した。フランスと日本は、米国に次ぐ世界第2位、第3位の原発保有国である。2年前の福島第一原発事故の後始末が遅々として進まないのに、〝積極推進〟の声に驚かされた。
安倍晋三首相は記者会見で「世界の安全水準を一層高める観点から、日本の原子力技術への期待に応えていく。日仏は世界最高のパートナーだ」と誇らしげに述べた。
日仏、核燃料サイクル推進でも一致
朝日新聞8日付朝刊によると、「日仏の技術を合わせて、安全で廃棄物の少ない炉を共同開発することが世界への貢献につながる」との認識で一致したという。
安倍政権は民主党の脱原発政策を白紙に戻し、原発再稼働に積極的だ。日仏覚書には「使用済み核燃料を再び燃料として使えるようにする核燃料サイクル関連施設の技術協力を深める」とも明記されている。日本では核燃料サイクル実施に懸命だが、未だにトラブル続きで実現の見通しはまったくない、これに対しても首相は「我が国には高い技術がある」となお未練を持っている。
安倍内閣の成長戦略の一環
さらに、日仏両国が原発輸出に積極姿勢を見せていることが心配だ。原発を成長戦略の一環に掲げた安部政権は、原発輸出にも積極的で、中東諸国と原子力協定を結び、インドとも協定交渉を加速させている。
毎日新聞9日付社説は、「廃炉や除染の日仏協力は歓迎だ。しかし原発輸出や核燃料サイクルはどうだろう。原発事故はまだ収束しておらず、原因究明も終わっていない。そんな状況で首相は、原発などインフラ輸出を成長戦略の柱に据えた。今月中には「東欧を訪れてトップセールスを行う予定だ」と述べている。
米国では三菱重工製の機器に欠陥、2基を廃炉
一方、米カリフォルニア州のサンオノフレ原発を運営する電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン( SCE)は6月7日、2、3号機の廃炉を決めた。(1号機は既に廃炉)
東京新聞8日付朝刊が報じたもので、異常のあった蒸気発生器を製造した三菱重工側と、保険の適用を含め損害賠償について協議する方針を明らかにした。蒸気発生器は2009~10年に交換されたばかりだったが、配管に多数の磨耗が見つかり、1年半も運転停止していたという。
再稼働のメドが立たない上、住民の反対運動が強まってきたため、廃炉に踏み切ったという。米国では最大104基の原発が稼働していたが、「シェールガス革命」の影響もあって、原発依存からの脱却の動きが高まっている。
いずれにせよ、安全性が万全でない原発を、開発途上国に輸出していいのか危惧される。
★無人爆撃機の脅威、市民巻き添え(6/10)
無人機による攻撃が拡大して問題化している。米オバマ大統領は5月24日、テロ対策について国防大学で演説「テロ容疑者を暗殺する目的の運用規定を厳格化することを明らかにした。
オバマ大統領、厳格使用を命令
毎日新聞5月24日付夕刊の報道によると、「一般市民を巻き添えにしないことが確実な場合に限り、無人機による暗殺行為を実行する考え」を表明した。同時に暗殺作戦を承認する独立監視委員会を設置するなどして監視体制を強化するという。
米シンクタンク・新アメリカ財団によると、ブッシュ前政権下の2004~08年に計49件だったパキスタンでの米無人機の攻撃は、オバマ政権下の09年から現在までの4年で計308件に激増し、巻き添えの民間人死者は推定で307人に及ぶ。国連が今年1月から実態調査を開始するなど国際的な批判が高まっており、オバマ政権は対応を迫られていた。
ステルス性の秘密兵器
この前日の毎日新聞23日付朝刊3面コラムに、恐るべき米中の「無人機合戦」を報じていた。「戦争の形を変えると言われるほど重要な兵器が登場した。米軍の無人爆撃機X47Bだ。5月14日、米空母G・W・ブッシュから発信するテスト飛行に成功した。
X47Bは全長11㍍。西洋凧のような三角形でレーダーが見つけにくいステルス性能が高い。戦術核を搭載できるだろう。Xバンドレーダーとイージス艦を組み合わせたミサイル防衛(MD)が北朝鮮や中国の核ミサイルを無力化する楯だとすると、無人爆撃機は発射基地をたたくための矛だ。いずれ横須賀を母港とする米軍第7艦隊の空母に配備されると、中国のミサイルが届かない西太平洋から中国に向けて発進される。…無人機母艦となる空母を攻撃するのは潜水艦だ。最近、中国の潜水艦が沖縄近海で、活発に行動するようになったのは、」そのための航路を開発しているのだ。…日中間では尖閣問題は歴史問題だ。米中には、近未来の軍事問題という別の意味がでてきた。歴史の筋に軍事という別の筋がからみあうと、ますます複雑な方程式になる」――恐るべき無人機の脅威である。
放置できない残虐さ
米国は、広島・長崎原爆、ベトナム戦での枯葉剤作戦、イラク、アフガン戦争でクラスター爆弾など残虐な戦争を繰り返し使用してきた。今度は遠隔操作による無人機攻撃で、多くの市民に犠牲者が出ている実態を放置するわけには行くまい。オバマ大統領の厳命はその一歩に過ぎず、全世界的に〝無人機廃絶〟運動を進めなければならない。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
関連記事
-
-
日本メルトダウン( 972)『トランプ大統領ショックの行方!?』―『安倍首相とトランプ氏、17日初会談=日米関係強化で一致』●『米、TPP承認見送りへ「年内審議ない」』●『トランプ氏勝利で日本の通商戦略は崖っぷち TPP漂流視野 (1/2)』●『トランプ氏勝利 日本政府「誰がキーマン?」 パイプ細く関係構築急ぐ』●『 トランプ経済は、実は「大化け」の可能性を秘めている!』●『【トランプ勝利の7つの波紋】』
日本メルトダウン( 972) トランプ大統領ショックの行方! …
-
-
『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(10)』「フィレンチェぶらり、ふらり散歩(4/19-4/28) 「ウフィッツィ美術館」の「ヴィーナスの誕生」 などに圧倒される④
2015/06/27「フィレンチェぶらり、ふらり散歩(4/19-4/ …
-
-
マルズキ・ダルスマン氏が『北朝鮮の人権状況』について日本記者クラブで会見発表
マルズキ・ダルスマン 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)人権状況に …
-
-
『オンライン/日本史戦争500年講座』★『太平洋戦争と新聞報道』<日本はなぜ無謀な戦争を選んだのか、500年の世界戦争史の中で考える
再録『世田谷市民大学2015』(7/24)- 『太平 …
-
-
『オンライン/昭和史の外交大失敗から学ぶ講座』★『山本五十六のリーダーシップー日独伊三国同盟(今から80年前の1940年の大外交失敗)とどう戦ったか』★『ヒトラーはバカにした日本人をうまく利用するためだけの三国同盟だったが、陸軍は見事にだまされ、国内は軍国主義を背景にしたナチドイツブーム、ヒトラー賛美の空気が満ち溢れていた』
2012/07/29 記事再録・日本リーダーパワー史(288) <山本五十六海軍 …
-
-
『オンライン講座/日本をチェンジする方法論の研究』★『3・11直後に書いた日本復活は可能か?の論考を再掲載』★『明治維新の志士はいずれも20歳の若者たちで、そのリーダーシップに学ぶ』』★『今こそ、「ゲームチェンジャー」(時代を変える若者) こそ出でよ、日本老害社会をぶち壊せ』
2011、6,14に書いた< 日本リーダーパワー史(160)記事再録 『3・11 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(692)「悲願の憲法改正の可能性を消した安倍政権3つの誤り」「日本は、中国ガス田開発に対抗できないー残念ながら日本の反論は間違っている」
日本メルトダウン脱出法(692) 悲願の憲法改正の可能性を …
-
-
★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか/日本興亡150年史』⑥『安倍政権はヨーロッパの中道政権とかわりない』
★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか ー―日本興亡150年史』⑥― 『 …
-
-
『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーターである』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス>『ハーバード大同窓生・ルーズベルト米大統領の私邸に招かれ、親友づきあいし、トイレを案内してもらった日本人!』★『卓越した英語力とスピーチで広報外交に成功した』
2011/12/24 &nbs …
-
-
村田久芳の文芸評論『安岡章太郎論」①「海辺の光景へ、海辺の光景から』
2009,10,10 文芸評論 『 …
