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『リーダーシップの日本世界近現代史』(301)★『日本には元々「情報戦略」という場合の「情報」(インテリジェンス)と『戦略(ストラジティ)』の概念はなかった』★『<明治の奇跡>が<昭和の亡国>に転落していく<戦略思想不在>の歴史を克服できなければ、明日の日本はない』

   

 2017/12/01「戦略思想不在の歴史⑿」記事再録

「戦略思想からみた日清・日露戦争」

「日本人と戦略思考、インテリジェンス」について考えてみたい。

日本には元々、「情報戦略」という場合の「情報」(インテリジェンス)と『戦略論』『ストラジティ』という概念はなかった。

「strategy(ストラジティ)とはギリシア語が語源で「戦いの計画を準備し、決定的な諸地点に軍をおき、勝つために最大量の兵力を運ぶ場所をさぐる技術」というのが意味で、広義には「兵站」のことです。

勝つために最大限の兵力を要所に集結させることが必要です。


そのためには相手国、相手民族の調査、研究、住民心理の観察、その慰撫、地理、地形、地図の偵察、把握、兵器、軍事的技術はもちろん、輸送の方法、経済的、技術的なシステマティックな計画を効果的な展開をするという概念です。

『戦略思想」は、古代ローマ帝国(BC753-1453)

http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/vision/history001/roman_fin.html

が戦争で領土の拡大、植民地獲得、諸民族の併合によって地中海全域を支配する世界帝国に発展する歴史の中で生まれた。

大兵力の移動、食糧、軍事物資の輸送などの『ストラジティ』(兵站)がスピーディーに円滑にできなければ大帝国が築けない。

さらに、この大帝国が千年以上も長続きできたのは 軍事力、経済、政治、行政のハードパワーと表裏一体の情報力、異文化コミュニケーション力、異文化理解力、多言語力、他民族統合力、経済力、文化力を含めてソフトパワーが「他民族異文化共生国家」の動脈としての「大ローマ帝国」を2千年もの間を形を変えながらも持続させたのです。https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11115885831

地続きのヨーロッパの大陸国家ではたえず戦争、統合、分裂、紛争の興亡の繰り返しで、相手国、隣国を知るためのインテㇼジェンス(叡智)、情報戦(スパイ)や、対外、異文化コミュニュケーション力、交渉力、語学力を備えていなければ生き延びてはいけません。

戦略のない国家、コミュニケーションスキルのない民族は周辺の大国からの犠牲になるだけです。

 こうした2千年以上のヨーロッパの民族、国家の興亡の歴史で磨かれた「戦争哲学」こそが「戦略論」で、マッキャベリーの『君主論』、クラウゼビッツの「戦略論」などがその古典であり、古代中国の春秋戦国時代(BC770-403)の孫子による兵法も同じものです。

ところが、これと正反対なのが地政学的な日本の位置と歴史です。

海にかこまれ外敵から守もられてきた島国の日本では千年間以上、蒙古来襲と秀吉の朝鮮出兵以外は、明治になるまで国内の日本人同士の戦争しか知らなかった。

大陸から遠く離れた島国国家・日本はほぼ単一の大和民族(全体の90%以上)、日本語という単一言語、漢字ひらかなカタカナの単一文字、宗教も仏教、儒教の同一宗教で、一億3千万人という人口稠密国家です。

<多民族・多宗教・多文化混在・大陸国家>が大部分の世界の中では、きわめて例外的国家というか、唯一、特殊な国家なのです。

鎖国して外敵と戦う必要のなかった日本では、対外戦争にあけくれた大陸国家とちがって、『戦略論』は必要なかったのです。

しかも、歴史的には徳川鎖国時代が230年間続いて、よりガラパゴス化が強くなってしまった。

うした地政学的、歴史的な経緯が重なって、日本では戦略思考、インテリジェンスは育たなかったといえるのではないでしょうか。

黒船のたった4隻の外圧によって「戦略思想」のなかった徳川幕府は崩壊したが、明治維新となった日本が初めて戦った対外戦争が『日清戦争』(明治27年)、『日露戦争』(同36)です。この両戦争には果たして、戦略思想はあったのでしょうか。

太平洋戦争(1941-1945)と比較してみましょう。

太平洋戦争では開戦1年前の1940年(昭和15)の米国のGNPはほぼ1千億ドル、日本は92億ドルで約11倍です。日米の重要物資生産量では、日本を1として米国はアルミでは6倍、銑鉄、鋼鉄は12倍、石油は500倍、自動車生産450倍、平均して78倍もの格差があり、このGNPの上に国家総戦力がおこなわれるので、最初から敗北は目に見えています。

しかも、米国からの輸入に全面的に頼っていた石油が経済制裁で禁止になり日本は崖っぷちに追い込まれました。

ここで日本は冷静に計算する前に思考停止をおこし『戦争によるほかに打開の途なし』と本末転倒の結論に達する。

まだ戦争遂行のため海軍の石油ストック(10ヵ月分)があるうちに、『座して死を待つよりも、清水寺から飛び降りる気持ちで・・』(東条英機首相の言葉)で、見切り発車して開戦に踏み切ったのです。

「戦略思想」どころではありません。

 これとくらべると、「日清・日露戦争」の勝利は全く奇跡といっていいものです。

そこには明治のトップリーダーたちの、とくに陸軍参謀本部(戦略立案)の山県有朋、大山厳、川上操六、児玉源太郎、福島安正のインテリジェンスが最高度に発揮されています。

日本リーダーパワー史(843)★『新刊「世界史を変えた『明治の奇跡』(インテリジェンスの父・川上操六のスパイ大作戦、海竜社 2200円+税)を出版』★『川上のインテリジェンス(知性、智慧、智謀、スパイ、諜報、謀略なども含む概念)を知ることこそ、明治の奇跡を解くキーワード』

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/26384.html

日本がいきなり巨大中国、そしてロシアを続けて破ったのですから世界も驚愕しました。

サッカーWカップに初出場して、いきなりランキングトップをやぶったのと同じ事です。

それまで、日本など歯牙にもかけなかった西欧列強は日本に一目置いて、出る杭を打てとばかり「三国干渉」で日本の戦利品を強奪したのです。

「張り子のトラ」がばれた中国は列強の餌食となって、植民地化されたのです。当時は弱肉強食が支配する帝国主義の時代です。

日露戦争2年前に結ばれた「日英同盟」は、英国が南アフリカボーア戦争で、手が取られてアジア、中国での利権をロシアから奪われることを防ぐために、日本をアジアの子分、番犬として手を結んだわけです。

 朝鮮戦争の翌年、1951年(昭和26年)9月8日の日本国との平和条約の同日に署名された「日米安保」「日米同盟」が冷戦激化の中で中国・ロシアによるアジア全体の共産主義化を防ぐための『防波堤』として結ばれたのと同じことです。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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