前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史(16)記事再録/「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙は「日韓併合への道』をどう報道したか③<朝鮮は日本の評判を傷っけるようにプロパガンダ工作し、朝鮮人を日本の暴虐の犠牲者として印象づけている

   

 

    2015/09/02/

「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』の真実③

 「英タイムズ」<1906(明治39)年6月26日付>の論評「日本と中国』

(本社通信員記事)東京5月12日(上)

<朝鮮は日本の評判を傷っけるようにプロパガンダ工作する一方、朝鮮人を日本の暴虐で身勝手な搾取の犠牲者として印象づけるよう指示している。>

 

昨今,どうやら日本の政策の信用を傷っけ,その意図に疑念を持たせることを狙った組織的な試みと言うべきものがあるようだ。朝鮮では,日本は高飛車に事を進めているだけでなく,自国の目的を達成しようと欺瞞と暴力の手段に訴えていると指弾されている。

また中国においては,日本は「中国人のための中国」という世論喚起を扇動していると指摘されている。そして,極東の全域にわたって、日本は概して表向きは万人に対する門戸開放と機会均等を唱えながら.実はその裏で排外的な策動に手を貸していると非難されている。1つの点で,この新しい宣伝活動は決して不自然なものではない。

それは,ここ2年間に日本が成し遂げた成果に対し,あれほどにも多方面から浴びせかけられた盛んな称賛の反動なのだ。この騒然たる時代にあって,「中庸」はジャーナリストと著述家の間でさっぱり

人気がない。読者に対しては扇動すべきなのだ。読者の感情に訴えかけるものがなければならない。不偏不党の中立的なあいまいさは,読者には魅力がない。こうして物書きたちは,非難をするか称賛をするか,どうしても両極端に走りたくなるのを抑えきれない。

そしそ日本にとって,多くの文筆家がその姿を本来の実像よりもはるかに輝かしく描き出したことは.運命的なことだった。日本は事実に基づいて祝福をされているのではなく,日本がそれを喜んでいるのかどうか疑わしくなるのも,もっともなことだ。

というのも,日本国民は自分たちに当てがわれた規範に恥じない行動をするのは不可能だと気づいているように見えるだけでなく,この過大な称賛が-それは何も自分たちの責任ではないのだが-外国の一部の公衆を怒らせ,執筆者の中には反発してこれまた度の過ぎた日本攻撃に走る者もいることに,感づき始めてもいるからだ。

それとは別に.やはりもう1つの原因がある。

朝鮮は日本の評判を傷っけるようにプロパガンダ工作する一方、朝鮮人を日本の暴虐で身勝手な搾取の犠牲者として印象づけるよう指示している。

 

それは,朝鮮という存在だ。この小さな帝国には,ほかならぬ皇帝その人の率いるかなりな人数の一団があり,祖国を日本の影響下から離脱させようと,しきりに腐心している。この一団は.あからさまに手の内を見せたりはしない。そんなことをするのは,われわれの知っての通りの朝鮮人の流儀にまるで反することになる。

朝鮮人が選ぶのは内密の策略だ。そして,過去25年間の体験から.なんらかのまことしやかなプロパガンダには,いっもある種の西洋人の協力を取りつける可能性があると分かっていたので,宮廷とソウルの反日グループは,表向きは日本の保護国であることに甘んじ進んで協力すると見せかけて,実は内密に工作員を雇い入れ.何であれ日本の評判を傷っけるように工作させる一方で,特に朝鮮人を日本の暴虐で身勝手な搾取になすすべもない犠牲者として印象づけるよう,指示を与えている。

この運動の朝鮮人指導者と外国人協力者をはっきり名指しするのは容易だが,それは十部の者が不相応に重要視される結果を招きもするJ日本人自身は,自分たちに逆らおうとするこの運動に,さほど狼狙している様子もない。

実際のところ,それはきわめて重大な様相を帯びた運動というわけではない。これまでのところ,公衆の心情になんらの際立った効果も生み出していない。世界は,台湾の場合にそうしたように,朝鮮についても結果を待っ意向を示して,その進行過程に早まった詮索の目を向けたり,明らかに偏見のなせる業である日本非難をうのみにしたりはしていない。

日本人の行動を注意深く分析してみるなら.そこに西洋諸国民の行動ときわめて似かよった動機,同じような失敗と成功の数々を見てとることができる。そして,日本人が幸いに大きな成功を収めるのに役立つなにがしかの資質を持ち合わせているとしても.決して大多数の薄々に共通する欠陥と限界を免れるということにはならない。

日本は1894~5年の戦争(日露戦争)先立って中国への対処を誤ったし,台湾問題の処理と満州での軍事行動でも過ちを犯した。しかし,そのいずれのケースでも,最終的には大きな成功を収める結果となり,今ではなにがしかの故意ある批判に耐えるだけのゆとりを身につけている。

ところで,西洋諸国にとっての関心事は.中国問題に対する日本の真意を知るということだ。はたして日本は,自ら宣言したところに従って行動を定めるつもりなのか,それともひそかに策をめぐらして自分の有利地場を占め,外国に関する限りで言えば,門戸開放と機会均等の政策で人目を欺くようなことをしているのか。この間題について,ごく最近,日本の有力紙時事新報の時評柵にきわめて明快な発言が載っていた。

その記事は,近ごろ中国で起こっているあれこれの不穏な事件を要約して紹介した後,さらに次のように述べている。

最近の中国に広く行き渡っている排外感情に一部の扇動分子がつけ込み,かような幾多の騒動を引き起こしているやに見受ける。この見地からすると,いっなりとも深刻な混乱を伴う事態の進展を見るやもしれぬことなしとはしない。いわゆる「権利の回復」を求める叫びに,今日の中国帝国のいたるところで相呼応する声がわき起こっていると言っても差し支えあるまい。

この事実は,注目に値する。なぜならば,これはその心情において通常の排外感情とは異なるとはいうものの.その根ざすところは,領域内に外国の事業が存在することは国の名誉を傷つけるという狭量な考え方であり,したがってこの叫びは,間違いなく拝外感情を勢いづかせることになるからだ。

いや,そればかりか,この叫びがやがて外国人の追放要求に転じないという保証はない。したがって,これは中国の外交関係の将来のためにきわめて遺憾なことと言うべき現象であり,また近隣の友邦として,瞬時たりとも無関心に見過ごすわけにはいかない事柄だ。

今全力を傾注して中国人を納得させる必要があるのは.仮にもこれまで外国人に認められてきた利権を取り消したり,将来外国人から申請されるかもしれないことをすべて拒否するようなことがあれば,中国人は西洋諸国を遠ざけて外交上の紛糾に巻き込まれる危険を冒すことになるだけでなく.中国の鉄道建設や鉱山開発をはじめとする諸事業に向けた外国の支援と投資が得られなくなるということだ。

そうなれば,中国は自国の資源の開発にかけがえのない価値を持ち,なんらの危険も不利益もない外国の援助を失ってしまう。中国当局には,とにかくこうした事実を力説して注意を促す必要があり.吾人はわが国の政府がその義務を怠ることはないと信じて疑わない。同時にまた,中国に在住するわが同胞も自らの言動に細心の注意を払い,いやしくも西洋人から中国で排外精神を鼓舞しているかのごとき疑いをかけられないようにすべきである。

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『テレワーク/日本興亡150年史集中講座①』2018年は明治維新から150年『第3の敗戦(国家破産)を避ける道はあるのか』 ★『2020年新型コロナウイルスと地球環境異変によるパラダイムシフト(文明の転換)で、世界秩序、システムも大変革に見舞われれている』★『2030年まで<超高齢化/衰退日本>サバイバルできるのか』

  2013/03/23 発表   <まとめ>『日本興亡15 …

no image
近現代史の復習問題/記事再録/日本リーダーパワー史(498)-『 2018年は明治維新から約150年、大東亜戦争(アジア太平洋戦争)から73年目を前に― <日中韓の対立激化を戦争へ発展させるな!>

2014年5月13日/ 日本リーダーパワー史(498)  & …

no image
終戦70年・日本敗戦史(109)日本兵はなぜ「バンザイ突撃」「玉砕」「餓死」など 「死んでも戦った」のか。その秘密は「戦陣訓」と「内務班」の日本兵残酷物語にある。

終戦70年・日本敗戦史(109) 日本兵はなぜ「肉弾突撃」「バンザイ突撃」「玉砕 …

no image
最後の元老・西園寺公望の坐漁荘

1 最後の元老・西園寺公望の坐漁荘 西園寺公望は七十歳とり、政治的に第一線か ら …

日中北朝鮮150年戦争史(7) 日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。日本最強の陸奥外交力で「我朝保護属邦旧例」(朝鮮は清国の属国)の矛盾を徹底して衝いた。

日中北朝鮮150年戦争史(7)  日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。 …

no image
「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』の真実㉖ 「日本は朝鮮を吸収との言」ーハルバート氏,すべて良好とのラッド教授の意見に反論

  「 英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が 報道した「 …

no image
日本メルトダウン(924)『グローバリズム(国際主義)、ポピュリズム(大衆迎合主義)を勝ち抜くリーダーシップは・MLBの上原投手、イチロー流の生き方ー①『人気よりも実力、結果で示す』 ②『ユーモアとコミュニケーション上手」 ③『独立自尊し、謙虚に分をわきまえる』<真のリーダーとは『愚者」ではつとまらない。『賢者』 (スマート人間)で、『結果勝利」がなにより重要>

  日本メルトダウン(924)   『グローバリズム(国際主義)、ポピ …

no image
速報「日本のメルトダウン」(511) 「2014年のアジアは第一次世界大戦前の欧州に類似=依存関係の高まりは戦争を回避せず―スペイン紙」

  速報「日本のメルトダウン」(511)  来年(2014年 …

no image
日本リーダーパワー史(302)今、ジャーナリストは戦時下の認識を持ち>原発報道と日中韓歴史認識を『国際連盟脱退』と比較する⑨

日本リーダーパワー史(302)   –3.11福島原発事故 …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㊱「日本の国会に関する客の問に答える」『申報』1891(明治24)年2月

     『中国紙『申報』からみた『日中韓150年 …