前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑩』★『世論調査はハリス氏42%、トランプ氏37%で、5%差が拡大』★『民主党副大統領候補にはミネソタ州知事・ティム・ウォルズ氏(60)に決定』★『「ラストベルトでの世論調査でもハリス氏がトランプ氏を僅差で上回った』

   

 

8月5日、バイデン大統領の後継候補について、民主党の代議員によるオンライン投票の結果、ハリス副大統領が正式に指名され、副大統領候補には中西部ミネソタ州知事・ティム・ウォルズ氏(60)にきまった。

ウォルズ氏は中西部ネブラスカ州出身の60歳。州兵を24年間務め、高校教師をした後、2007年から中西部ミネソタ州選出の下院議員を6期12年にわたり務めた。2019年に州知事に就任して現在2期目。6日朝、両氏は初めてそろってペンシルバニア州フィラデルフィアで選挙集会に出席、有権者に支持を訴えた。

ハリス氏は「この選挙戦はトランプとの戦いというだけではない。未来に向けた戦いだ。ウォルズ氏と私は中間層が強ければ米国は強くなるなど、多くのことで考えが共通している。生殖に関する自由を基本的権利として明記した全米初の知事だ」と賞賛した。

ハリス氏からマイクを引き継いだウォルズ氏は「ハリス副大統領を米国の次期大統領にする手助けできることを、これ以上ないほど誇りに思う」と述べた。農夫然として、「飾り気のない中部アメリカ」の雰囲気を漂わした同氏は微笑(ほほえみ)ながら「トランプ政権下において凶悪犯罪率が上昇した。彼が犯した犯罪を含めなくてもだ」とジョークを飛ばした。

共和党の正副大統領候補を「とんでもなく奇妙」と評して、会場から大喝采を浴びた。「人工妊娠中絶をめぐっては、「人のことに口出しするな」という中西部の黄金律に、政府は従うべきだ。(トランプ氏)と自分たちとは「世界の見方が違う」、「彼は奉仕というものを何もわかっていない。なぜなら、自分自身に奉仕することであまりに忙しいからだ」ユーモアとジャブを織り交ぜながら会場を沸かした。

BBC(8月8日配信)によると①ウォルズ氏の素朴な愛想の良さ、親しみやすく飾らない人柄が彼の地元ミネソタ州ばかりでなく、ウィスコンシン州やミシガン州などの重要州でも共和党員にも幅広く支持されている②彼は進歩的な法案を成立させてきたが、それを穏健派や無党派層にも理解できるようにうまく説明する技能にも長けている③2006年の下院選でウォルズ氏が勝ったことで、民主党は12年ぶりに多数派となり、ペロシ氏は下院議長になったーと評価している。

一方、トランプ陣営はすでに、ウォルズ氏を「危険なほどリベラルな過激派」、「極左の狂人」と呼び「2人が抱く夢は米国民にとって悪夢」だとの批判を集中している。

トランプ氏は、ウォルズ氏を

「地上に地獄を解き放ち、想像しうる最悪の犯罪者らに私たちの国境を開放する」とまでコメントした(太字は原文で大文字表記)。

残り3カ月に迫ってきた選挙戦についてウォルズ氏は、「何ということはない」と述べた。「寝るのは死んでからにすればいい」と最後にもジョークで答え、大笑いした。

  • トランプ氏 認知機能衰えや老齢批判をブーラメンとなってわが身に

ロイター(8月9日配信)によると、トランプ氏は8日の記者会見でハリス副大統領と一時期交際していたとされるサンフランシスコ元市長ウィリー・ブラウン氏と、カリフォルニア州元知事のジェリー・ブラウン氏を混同する発言を行った。トランプ氏はウィリー・ブラウン氏について「一緒に乗ったヘリコプターが墜落しかけて緊急着陸したことがある」と回顧。また同氏がハリス氏について「ひどい」発言をしたと主張した。

ウィリー・ブラウン氏は、米地元紙に、「トランプ氏とヘリコプターに乗ったことは一度もなく、ハリス氏を非難する発言をしたこともない」と否定した。トランプ氏は2018年、当時カリフォルニア州知事を務めていたジェリー・ブラウン氏とヘリコプターで同州の火災被害地域を視察しているが、これと混同し名前記憶間違いとみられる。

トランプ氏(78)は民主党バイデン大統領(81)を「ボケバイデン」「老いぼれバイデン」と認知機能の衰えや老齢批判を口汚く罵倒し、嘲笑してきたが、ブーラメンとなってわが身にふり返ってきたといえる。

  • 世論調査はハリス氏42%、トランプ氏37%で、5%差が拡大

 ロイター/イプソスが8月8日発表した米大統領選に向けた支持率調査によると、ハリス副大統領が42%、トランプ前大統領が37%で、5%に票差は広がっている。

7月22─23日に実施された調査では、ハリス氏が37%、トランプ氏が34%だった。

2020年の大統領選で接戦となったアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの7州でも、ハリス氏がトランプ氏を42%対40%で2%リードしていることが分かった。

また、8月9日、米国最大のヒスパニック(中南米系)市民団体とされるラテンアメリカ市民連合(LULAC)は9日、ハリス副大統領を支持すると発表した。ヒスパニック系が多く住む激戦州の西部アリゾナ州や同ネバダ州の選挙情勢に影響を与える可能性がある。

米紙ニューヨーク・タイムズの「ラストベルト(さびついた工業地帯)」での世論調査
8月5~9日実施)でハリス副大統領がトランプ前大統領を僅差で上回ったことが判明した。

中西部ミシガン、ウィスコンシン、東部ペンシルベニアの3州で行われた結果、ハリス氏の支持率はいずれも50%で、トランプ氏(46%)を上回った。トランプ氏の陣営は10日の声明で「調査対象には20年大統領選で(トランプ氏ではなく)バイデン氏に投票した人の方が多く含まれている。トランプ氏への支持を押し下げる意図がある」と調査手法を批判した。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(207)> 『7年ぶりに、懐かしのアメリカを再訪,ニューヨーク めぐり(5月GW)⑤』 『2階建バスツアーでマンハッタンを一周』ブルックリンブリッジを通過、 イーストリバーを右手に、国連ビルを見上げ、 トランプタワーを見て、セントラルパークに向かう➀

 <F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(207)> 『7年ぶりに、懐 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ⑱』『米NYタイムズ、162年目の大改革』 ◎『スマホは人間をばかにする?』 

  『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ⑱』   &nb …

「トランプ関税と戦う方法論」ー「石破首相は伊藤博文の国難突破力を学べ⑥』★『日本最強の外交官・金子堅太郎インテリジェンス』●『ホワイトハウスでルーズベルト大統領は大歓迎』●『大統領は「日本のために働く」と約束』●『日本は正義のために戦い、ロシアは悪虐非道の振舞をしている。』●『今度の戦争は日本に勝たせねばならぬ』

◎ロシアと違い日本は宗教は自由の国 「第二に宗教戦争であるといっておだてるとは何 …

no image
世界史の中の『日露戦争』③『戦争迫るロシアと日本』(戦争勃発3ヶ月前)『ニューヨーク・タイムズ』(明治36年12月20日付)

 『日本世界史』シリーズ   世界史の中の『日露戦争』③- 英国『タイムズ』米国 …

no image
速報(162)『日本のメルトダウン』ー『日本の温泉の魅力を脅かす中国の温泉ブーム 』『日中民間外交―知るほどに募る互いへの不安』

速報(162)『日本のメルトダウン』   ◎『日本の温泉の魅力を脅かす …

no image
記事再録/知的巨人たちの百歳学(133)ー「富岡鉄斎(87歳)ー『創造脳は長寿脳である』★『 万巻の書にかこまれて、悠々自適の晩年』★『万巻の書を読み万里の路を行くー鉄斎芸術の源泉とは』

『知的巨人の長寿学』・富岡鉄斎(87)に学ぶ   『創造脳は長寿脳であ …

「第45回 東京モーターショー2017」―『トヨタの展示ブースの「TOYOTA CONCEPT-愛i』★「TOYOTA CONCEPT-愛i RIDE」

日本最先端技術『見える化』チャンネル  「第45回 東京モーターショー2017」 …

日本のメルトダウン脱出法(614)●『クルーグマン教授・独白「日本経済は良きモデル」●『世界の問題解決に参加しない日本」

                 日本のメルトダウ …

no image
『2014世界各国/最新ミステリー、面白ニュース②』「インドの奇跡―カースト制度」★「カレーはインドには存在しない」

 『2014世界各国/最新ミステリー、サプライズ、面白ニュース②』&n …

『オンライン憲法講座/憲法第9条(戦争・戦力放棄)の発案者は一体誰か④』★「マッカーサーによって押し付けられたもの」、「GHQだ」「いや,幣原喜重郎首相だ」「昭和天皇によるもの」―と最初の発案者をめぐっても長年論争が続き、決着はいまだついていない』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)

   2006年8月15日/『憲法第9条と昭和天皇』記事再録 …