前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための百歳学入門』★『義母(90歳)の<ピンコロ人生>を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う』

      2024/05/19

2017/10/12  百歳学入門(183)記事再録

老いて学べば、死しても朽ちず(佐藤一斎)

 

今年の「敬老の日」(2017年9月15日)の発表では日本人の平均寿命は男80,98歳、女性87,14歳で過去最高をいずれも更新し、香港に次いで男女とも世界第2位。百歳以上は67843人で10年前の6倍に増えた、という。

65歳以上の高齢者は3461万人(平成28年9月現在推計)で、総人口に占める割合は27.3%。75歳以上が1,641万人の12.9%にのぼっている。

健康寿命は2015年の統計では男性が71,1歳、女性が75、5歳で、これまた世界一という。

現在、65歳以上の人はあと何年生きるかというと、「2人に一人が90歳以上まで生きる」「14人に一人が100歳まで生きる」とNHKの健康番組での司会者の解説である。まさに「人生90歳時代」に突入している。

そういえば私の義母は今年4月に90歳で永眠した。

大正15年生まれの義母と私は晩年の17年間、一緒に暮らしてきた。

彼女は「ピンコロ教」の実践者だった。昭和初期のモダンガールの面影を残した彼女は、原節子に似た美人で、年をとってもその美貌は一向に衰えなかった。

ボケ防止のため80歳を過ぎても毎日、新聞掲載の「数独パズル」に何時間も一心不乱に熱中していた。毎朝、午前6時前後に起床し、往復1キロほどの坂道をコンビニまで新聞を買いにウオーキングするのが筋トレの日課だった。

彼女の部屋の前には「6070はな垂れ小僧、はな垂れ娘、8090男盛り、女ざかり」「今やらねばいつできる、おれがやらねば誰がやる」「百歳わしも、これから、これから」なる(平櫛田中、107歳、彫刻家)の書がデーンと掲げられていた。

知的好奇心の旺盛な人で、新聞大スキ。スポーツの大の愛好家で、Jリーグ、海外リーグのサッカー、メジャーリーグ野球などのテレビ観戦を楽しみ、元気に楽しく毎日を過ごしていた。

中田英寿の大フアンで、2001年のASローマ在籍中の優勝ユニホームを購入して、それを着て買い物に出るのが楽しみにでひいきの『清水エスパルス』の応援に球場にまで出かけていた。

亡くなる10日前に、歩いて美容院に行き、帰る途中に坂道で気分が悪くなり倒れて入院、最期まで言語明瞭だったが、1週間後に亡くなった。907カ月の大往生であった。

亡くなる1カ月前、大ヒットしたアニメ映画『この世界の片隅で』を娘(わが妻)と観賞したが、生まれ育ち七〇年間過ごした『ふるさと呉』の懐かしの風景をくい入る様に見つめていた、という。

その後、義父と1945年(昭和20)3月に新婚旅行で京都を訪れて、桜見物した思い出を初めて語ったが、それが『遺言』となった。

彼女の晩年とその見事な『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」(佐藤一斎)を日々、実践したその実行力に感心する。

儒者:佐藤一斎の『言志四録』(その42)に、次の1節がある。

「少くして学べば、則ち壮にして為すことあり: 壮にして学べば、則ち老いて衰えず: 老いて学べば、則ち死して朽ちず

古稀の峠をすでに越えた筆者は、彼女の後を追いながら、七十、八十の急坂の道を息(生)を切らせながら、休み、休みしてトボトボと登っている今日この頃である。

誰もが願う長寿健康社会にとって、重要なのは平均寿命よりも健康寿命である。健康寿命とは『寝たきり状態や要介護になる年齢』。平均寿命から健康寿命を引いた期間を寝たきり期間といい、他の先進国では平均で寝たきり期間が7年程度なのに、日本では男性が9.2年、女性は12.7年という長期にわたっている。

また,厚労省の調べでは、認知症高齢者(アルツハイマー)は平成24年で約462万人にのぼり、65歳以上高齢者の約7人に1人で、認知症予備群と推計される約400万人と合わせると、65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群ともいわれる状態である。

これでは平均寿命が伸びて世界1、2位を続けている裏で、寝たきり高齢者、認知症患者が激増えている実態が見えてくる。このため、国の平成27年度の一般会計予算(約96兆円)に占める社会保障関係費は32%に達する事態となり、財政を大きく圧迫している

日本の場合、6575歳は前期高齢者、7585歳は後期高齢者、85歳以上は末期高齢者と公的には呼んでいるが、米国ではそうではない。

6574歳まではベビーオールド(赤ちゃん老人)、7584歳までがリトルオールド(小さい老人)、8494歳まではヤングオールド(若い年寄り)、そして95歳以上がリアルオールド(真の高齢者)と呼ばれており、日米間では老人観、人生観がまるで違うし、年齢差別も、定年制度も年功序列も日本のようなものはない。

実際、米国では若々しい気持ちで時間を過ごしている高齢者がたくさんおり、年齢に左右されることなくアグレッシブ(積極的)に生活しており、最期は自然死に近いPPK(ピンピンコロリ)という人が多い、という。

今後、わが国での100歳以上の「センテナリアン」は、2020年に128000人、40年に42万人、50年には683000人と、倍々ゲームの勢いで増えていき「100歳時代」の到来も近い。

逆に少子高齢化も急ピッチに進んでおり、2030年には高齢化率が実に32%。人類史上初めての『子供、若者のいない超々高齢社会』となる。高齢者1人を2012年では24人で支えたが、25年には18人、60年には12人で支えるので社会保障関係費もパンクするのは目に見えている。

ではどうすればよいのか。義母のように医者にも介護にも頼らず、自足自立して健康寿命を延ばし「ピンコロ人生」を全うすべく、日々努力していくしかないが、日暮れて道遠しである。                  

 –

 - 人物研究, 健康長寿, 湘南海山ぶらぶら日記

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
「正木ひろし弁護士をしのんで」 その生涯、追憶、著作目録。及び参考文献

「正木ひろし弁護士をしのんで」 その生涯、追憶、著作目録。及び参考文献 前坂俊之 …

人気リクエスト記事再録『百歳学入門(195)』-『『超高齢社会日本』のシンボル・『クリエイティブ長寿思想家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ➀』★『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の長寿・執筆、散歩術』

2010/09/29の記事再録 『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(109)/ 記事再録☆『伊藤博文②暗殺された時のヨーロッパ、中国各紙の追悼記事は・・・』★『<英タイムズなど追悼文で歴史に残る政治家と絶賛>』

    2010/11/27 / 日本リ …

no image
◎『台風20号(9/25,26日)接近で鎌倉材木座、逗子大崎、 逗子マリーナ沖は<サーファーズ・パラダイス>』

   『Surfers Paradise …

『オンライン入門講座/シルバーYou tuber(前坂俊之チャンネル)になる方法』★『ネット動画の時代に乗り遅れる既存メディアー 情報をあまねく広げる「個人」の出現で社会が変わる』(2012年でのインタビュー)記事全文再録)

取材場所:日本記者クラブ (インタビューの聞き手:沖中幸太郎氏)   …

no image
日本リーダーパワー史(678)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(57) 『福島安正大佐のインテリジェンスが10年後に『日英同盟』(核心は軍事協定)締結へつながった。

日本リーダーパワー史(678) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(57) 『福 …

『オンライン百歳学入門講座』★『一怒一老、一笑一若、少肉多菜 少塩多酢 少糖多果 少食「多岨(たそ)この字が正確 、少衣多浴 、少車多歩 少煩多眠 少念多笑、少言多行 少欲多施(渋沢秀雄)』★『世界最長寿の122歳を全うしたフランス人女性/カルマンさんの健康長寿法とは』

  2010/01/21 百歳学入門(3)記事再録 前坂 俊之 &nb …

no image
再録(まとめ)—『近代日中関係の創始者・孫文と『支援した熱血の日本人たち』—辛亥革命百年秘話

(まとめ)—近代日中関係の創始者・孫文と『支援した熱血の日本人たち』—辛亥革命百 …

no image
『鎌倉サーフィンチャンネル』◎『鎌倉・寒中・鍛錬サーフィンこそ最高だよ、材木座、七里ヶ浜ベストショット!(1月6日)』

『鎌倉サーフィンチャンネル』 ★2013年正月・サーファーズパラダイス・Kama …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(330 ) <日本議会政治の父・尾崎咢堂が政治家を叱る②>『売り家と唐模様で書く三代目』の日本病②<初代が裸一貫、貧乏から苦労して築き上げて残した財産も三代目となると没落 して、ついに家を売りだすようになるという、国家、企業、個人にも通用する 栄枯盛衰の歴史的名言>ーリーダーシップとは何かー

    2012/02/24 &nbsp …