日本リーダーパワー史(907)昭和戦後の高度経済成長の立役者・中山素平の経営哲学10ヵ条「大事は軽く、小事は重く」★『八幡、富士製鉄の合併を推進』『進むときは人任せ、退く時は自ら決せ』★『人を挙ぐるには、すべからく退を好む者を挙ぐるべし』
2018/05/16
日本リーダーパワー史(907)
日本興業銀行特別顧問 中山 素平(1906-2005、99歳)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%B4%A0%E5%B9%B3
〝財界の鞍馬天狗〟といわれた中山は、政財界の重大事件には必ずといっていいほど登場した。影武者に徹しながら、見事に決断し、用意周到に根回しして、実現していく力は中山の右に出るものはない、といわれた。
経営哲学➀「大事は軽く、小事は重く」
その中山の心構えが「大事は軽く、小事は重く」である。「私はこの言葉を若いころから守り、判断を間違えることはなかった。
経営ばかりでなく、政治の世界でも、上下のへだてなく通用する言葉だと思う。大事を決断する時は、重大な覚悟が必要です。職を賭してやらなければならない。
ただ、それだけでは大事は成就しない。小事を丹念に一つひとつ調査研究し、情報を収集、分析して解決しなければダメ」と。
経営哲学②一九六八年の八幡・富士製鉄の合併を実現。
反対の大合唱の中で、中山はガンとして動じなかった。「小事をおろそかにしてはいけませんヨ」と口をすっぱくして、周りを説き、障害を一つひとつ除き、根回しをして、ついに実現させた。
小事を軽視していると、大事は成し遂げられないのだ。
経営哲学③「問題は解決されるために提出されている」
中山は頭取時代には、興業銀行がメインバンクの役割をしている会社からは、更生会社はつくらないという方針でのぞんだ。そして、事実つくらなかった。
というのは、更生会社にしてもよいと言うと、何とか難しい問題を解決して、更生会社にしないでどうしても再建しよう、という取り組み方をしなくなるからだ。会社更生法に頼って安易に流れてしまうからである。
どんな難しい問題でも、それは自分一人では片づかないかも知れないが、いずれは解決しなければならないものだ。よく、難しい問題を提出されると、これにはこういう困難なところがあって無理である、というふうな答えを出す者がいる。
どんなに難しい問題でも、これを何とか解決しようという、非常に強い意欲を持って取り組むことが何より大事であり、その姿勢いかんが、その人間の評価を定めていく。その対応の仕方に、その人間独自の人柄が浮かび上がってくる。
経営哲学④「進むときは人任せ、退く時は自ら決せ」
石橋湛山は(1884−1973)は戦前期に東洋経済の記者、編集長、社長を務めた後、1945年の戦後からは政治家に転じ、1956(昭和31)年12月には首相にのぼりつめた。
ところが病に倒れ、わずか65日で首相を退いた。中山はこの石橋の決断を高く評価した。「責任者は出処進退に特に厳しさを要する。というよりも出処進退に厳しさを存すほどの人が、責任者になるべきだ」と。
一九六八年(昭和四十三)、中山は頭取から会長に退いた。「年齢も六十歳を超え、頭取業も七年。幸い二年越しに渋っていた正宗猪早大がOKしてくれたので、これを機会に引退することにしました」とすっきりした表情で記者会見で述べた。
中山の出処進退の哲学4か条-
➀進む時は人まかせ、退く時は自ら決せ。
②責任を持って第一線でバリバリやれるのは六十歳が限度。それまでに後継者を養成して後事を託しておくこと。
③社長業は六年で退くということ。激職を三期六年も務めたら体力の限度である。
④中国の古典に「人を挙ぐるには、すべからく退を好む者を挙ぐるべし」とある。
関連記事
-
-
百歳学入門②ー知的巨人たちの往生術から学ぶ②
≪知的巨人たちの往生術から学ぶ②≫ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(259 )/「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬
2015/03/08 /百歳学入門(104 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(324)★『日露300年戦争史』(7回連載)-『鎖国・平和一国主義の徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端から侵略へ』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した』★『露寇(ろこう)事件とは何か』★『露寇事件」はロシアの大植民地主義者のレザノフの対米、対日植民地化戦略の一環として生まれた』
日露300年戦争(1)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真 …
-
-
日本メルトダウン(1001)<チャイナリスク高まる>ー『宮古沖で日本を挑発する中国の狙いは「日中開戦」なのか?』★『トランプ「一つの中国政策、堅持する必要ない」』●『日本、中国に厳重抗議 「空自機が妨害」との中国国防省発表に』●『インターポールも陥落、国際機関を囲い込む中国の思惑』●『カメラの前で泣けと――中国の人権派弁護士ら拘束から1年 安否気遣う家族』●『中国・李克強氏の「内通者非難」発言がネット流出した背景』●『「文明」外交術でエジプトに接近する中国 “対等な立場”で近づきアラブ世界への影響力を拡大』
日本メルトダウン(1001)-チャイナリスク高まる 宮古沖で日本を挑発する …
-
-
日本リーダーパワー非史(969)「厚労省の不正統計問題」は「不正天国日本」を象徴する事件』★『大本営発表ではウソの勝利を発表し、戦果は米戦艦、巡洋艦では一〇・三倍、空母六・五倍、飛行機約七倍も水増した』★『昭和の軍人官僚が国をつぶしたように、現在の政治家、官僚、国民全体が「国家衰退、経済敗戦」へ転落中であることを自覚していない』
「厚労省などの統計不正問題」 前坂俊之(ジャーナリスト) 一九四一(昭和十六)年 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(104)/★『記事再録/<まとめ>日本最強の外交官・金子堅太郎ーハーバード大同窓生ルーズベルト米大統領を説得して、 いかに日露戦争を有利に進めたか、その驚異のディベート・テクニック』★『『ルーズベルト大統領は「旅順陥落」に大喜びー黙っていると”Silence is Consent”。 どしどし反論せよ』⑤』
2015/01/22の連載記事 …
-
-
日本のメルトダウン(527)「安倍首相を望んだことを悔む米政府(英FT紙) 「歴史問題は日本の国際的地位を低下させかねぬ」
日本のメルトダウン(527) ●「安倍首相 …
-
-
速報(316)◎『6月21日もんじゅ7月中に復旧へ、理論上破綻している小出裕章(MBS)』『「大飯原発再稼動は許されない」
◎『6月21日もんじゅ7月中に復旧へ理論上破綻してるのに存続する理 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(225)』<日馬富士暴行傷害事件の問題点>『急速な少子化、サッカー、野球などの他スポーツへの若者の傾斜、過酷な肉体労働の忌避など、乾坤一擲の策を講じても「日本人中心の相撲界」の将来性は相当厳しいのではと感じられます』
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(225)』 <F国際ビジ …
-
-
『知的巨人の百歳学(159)記事再録/ 「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬」
百歳学入門(104) ー天才老人になる方法— 『会社』には定年があって人生に「定 …
