前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース]④」『開戦32日前の「英タイムズ」―『日英同盟から英国は日本が抹殺されるのを座視しない』●『極東の支配がロシアに奪われるなら、日英同盟から英国は 日本が抹殺されたり,永久に二流国の地位に下げられる のを座視しない』

   

 

   『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉛

「英タイムズ」『開戦必至の情勢』<日露戦争開戦32日前>1904(明治37)年17

 

ロシアからの回答は昨日も東京に届かなかった。ベルリンの半官紙は,すべての兆候は平和を指向していると相変わらず穏やかに確言し続けているが,本紙東京通信員は,そんなヨーロッパ大陸の予想に日本は不信感を抱いていると伝えている。

日本側は,ロシアの12月11日の覚書の前にも似たような予想が出たことを忘れておらず,こうした消息通の楽観が当時間違っていたのだから,今度も間違うだろうと主張する。日本側がロシアに丁重に再考を求め,ロシアがまことにのんびりした様子で再考中のその文書については,われわれはきわめて限られた知識しか持たなかったところへ,本紙東京通信員が若干付け加えてくれた。

 

その報ずるところによれば,その中には和解めいたものが皆無であるばかりか,ロシア公使フォン・ローゼン男爵が行った譲歩をも実際に取り下げているという。こうした事実に照らせば,ペテルプルグから機械仕掛のように定期的に流され,ヨーロッパの新聞の中のロシアの手先が異例の熱心さでくり返してきたところの,ロシアの平和的・友好的意図のたび重なる保証も,日本から見ればたいした価値はない。

 

ドイツの新聞は無残にもまだ言葉の芝居を懸命に演じさせられてはいるが,もうそんなことをしても得にならないときが来たということは,ロシアの首都ですら思われているようだ。ネヴァ河畔の「消息筋」の連中は,この間までは,すべてが近くうまく納まるだろうと自信たっぷりだったのに,今や調子を一変させ,ロシア政府は日本に「新たな譲歩は何もしない」と重々しく断言している。

 

本紙東京通信員は,ロシアは今まで何も譲歩らしいものはしてきていないから,これは今後とも譲歩は一切しないと宣言し

たに等しいと言う。つまりロシアは,日本側が再考を求めて返してよこした覚書を実質的に改変しないだろうということだ。

それがロシアの立場を正しく推定したものだとすれば,ロシアの消息筋は,明敏な結論を下すのが常だから,今回の情勢は戦争を不可避にするまでに悪化することもあろうと,必ずや判断しているに違いない。

彼らはもちろんすべての責めを日本とその「非妥協的な態度」にかぶせているが,ロシアが日本に対し,なんらかの妥当な提案をするなり,する意志がなければ,日本が相互の譲歩が不可欠なことを認めるのを拒否していると非難しても,口先だけのことだ。

相互ということは,双方が譲歩しなければならないことだと,われわれはロシアに念を押したい。本紙東京通信員は,これまでのところ譲歩めいたものはロシアから何も来ていないと確言しており,また「友好国であり同盟国」たるロシアに友好的でないはずもないデバ紙の記事も,彼の主張を十分に裏づけている。

このフランス紙によれば.ロシアは日本と満州問題を話し合うことを一切拒否しているだけでなく,朝鮮における日本の特殊利益については,これを同国の半島部に限って承認するが,朝鮮の北部全域ないしは大陸部は中立地帯として認めるべきだと主張している。

これは,ロシアの中立諸国においての-そして満州のような「友好的な」諸国においてすら-やり口を知っている日本が受諾しそうな構想でないことは言うまでもない。

アレクセーエフ提督の機関紙も,デバ紙の情報を以下に見るように裏づけているようだ。同紙は満州は今後ロシアのものであると率直に宣言しつつ,中国の天子のこの広大な版図が国際法上のいかなる手続によって,その君主の同意もなしに,彼の友人で保護者のロシア皇帝へと移転させられたのか,説明する手間をかけもしない。

 

また,満州は決して引き渡さないとノーゲイ.クライ紙は言い,これまでロシアが引き渡す、とはっきり何度もくり返してきた約束をまたも無視している。

このアレクセーエフ提督の新聞は,ロシアが日本に提案し,それを日本が拒絶したのは恩知らずだとペテルプルグやベルリンの消息筋が譴責する「譲歩」なるものの真の範囲を知っているはずだ。

交渉は朝鮮にのみ当てはまると同紙は言い,それから,ハーグ会議の主唱者によって選ばれた代表が,すぐれて平和的かつ協調的な気持でその交渉を進めていることの証左として,ロシアが旅順に強力な艦隊を,満州内には陸軍30万人を維持すれば,交渉は最も有利に終結しようと書いている。

これは,全満州の支配は朝鮮の支配を伴うとする日本の主張に根拠があることを認めたものだ。最後に,日本がアレクセー

エフ提督の寛大なる恩沢に報いて行うべき一相互譲歩を容易ならしめるため,ノーゲイ.クライ紙は日本に対し友好的な調子

で,ロシアに勝てるなどと思っても,むだな夢を抱いているだけだと警告して,ロシアがさまざまに挑発してきた,敏感で勇ましいこの国民のいらだった感情を静めにかかるのだ。

もし極東総督が,彼の機関紙の高言を彩る繊細と細心をもって交渉を行っているなら,日本人はロシア文明に対し,いささか低い評価を下したのではあるまいか。

ノーゲォェ・グレーミャ紙も総督の新聞の表明を,それほど苛烈で不遜な形ではないにせよ,くり返しているのは注目に値するし,ウフトムスキー公爵の新聞も,ほぼノーゲイ・クライ紙並の俗悪で粗野な調子で日本を非難しつつ,日本のしつこい要

求をはねつけるには「われわれは彼らが思っているより強いことを証明してやる」以外にないと断言している。

一方,ロシアの方の有力紙が公然と活発に満州併合の叫びに反対し,同地はその合法的な所有者に還すべきだとさえ論じているのは意味深い。

 

わがオデッサ通信員は.これらの新聞地元の実業界の意見を反映していると言う。政府証券すべてと企業の株式が,ペテブルグ,モスクワおよびオデッサの取引で大幅に下落していることは,ロシアの業界が極東における冒険政策をどう見ているかを示している。商業面だけでなく,国内情勢を見ても,彼らの不安は驚くにあたらないし,特に公式統計によれば,来年は相当の地方で不作になることが必至とあっては,情勢が戦争になって好転することはあるまい。ロシア皇帝の側近が賢明なら,これはぜひとも平和の論拠とすべきことだ。

戦争の見通しが近づくにつれ,われわれはそれがわれわれ自身にもたらす重大な可能性をいよいよ考慮しなければならない。

日本が戦争に巻き込まれるなら,同国に他の諸国が敵対するのを防止するよう努力することが,直ちにわが国の義務となる。

英日協約の条文によりその責務は即時に発生するが,目下のところは厄介なことにはなるまいと予想されるのは,どの国もその戦争に参加する気にはなるまいという単純な理由のためだ。第三国がわが同盟国の敵の側に回らない限り,また回るまでは,われわれが唯一条約上で縛られていることは,厳正中立の維持だ。だが言うまでもなく,条約とは全く別に,われわれ独自の直接の利害が座視を許さなくなるという状況も,少なくとも考えられる。忘れてならないのは,この戦争が始まれば,極東の力の均衡という問題の一切が問われることだ。

それがわれわれにとりきわめて切実な問題であることについては,共通の合意かある。戦争の結果,その均衡がイギリスに実質的に不利に変わることには,われわれは決して無関心ではいられない。

極東の支配がイギリスに友好的でない1国の手中に帰することは受け入れられない。われわれの貿易,インド,オーストラリア,太平洋上および以遠のすべての属領を守る責務からして,受け入れられない。われわれは手をこまねいて日本が抹殺されたり,永久に二流国の地位に下げられるのを座視するわけにはいかない。

したがって戦争はイギリス自身にとっても重大事となろうし,もし不幸にして勃発するなら,われわれはその行方を警戒して見守り,必要が生じれば,その規模と重要性に見合った武力によって.自らの利益を保護する覚悟をしなければならない。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『ウクライナ戦争の終わらせ方の研究①★『独裁者・プーチンが核兵器発射で脅している戦争を終わらせるのはなお難しい』★『太平洋戦争を鈴木貫太郎首相と昭和天皇の<阿吽の呼吸>で玉音放送で終結させた国難突破力は世界史にも例がない』

日本リーダーパワー史(746)歴代宰相で最強のリーダーシップを発揮したのは第2次 …

「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑦」★「日本史最大の国難・太平洋戦争に反対し拘留された吉田茂首相の<国難逆転突破力>②』★『吉田は逮捕され40日間拘留された』★『日本人の国民性の欠点ついて「重臣たちも内心戦争に反対しながら、はっきり主張せず、後になて弁解がましいことをいう』★『吉田はジョークの達人』★『「いまの代議士はポリティシャン(政治屋)で、ステーツマン(国士、本当の政治家)ではありませんよ」』

吉田は逮捕され40日間拘留された 1945年(昭和20)に入り日本の敗北は決定的 …

no image
世界リーダーパワー史(934)ー『迷走中のトランプ大統領のエアフォースワンはついに墜落寸前か!』★『政府高官たちは大統領失格のトランプ氏に対して憲法修正25条の適用を水面下で検討したものの、同条の適用は史上初となるため「憲法上の危機」を招くため、同氏の退任まで政権を正しい方向に導くことで一致した』

世界リーダーパワー史(934) 『迷走中のトランプ大統領のエアフォースワンはつい …

『湘南海山ぶらぶら日記/海外編(2022/6/22)』★『米国で『カブトガニ産卵地の海岸』を発見!』★『砂浜にカブトガニの殻があちこちに散乱していたというから驚く』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/08/am8)   202 …

no image
辛亥革命(1911年10月10日)百周年―逆転日中関係歴史情報③―『孫文革命を日本の新聞はどう報道したか』③

辛亥革命(1911年10月10日)から百周年   ―逆転した …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(150)再録★<『英タイムズ』(1906(明治39)年12月28日付記事)が報道したよくわかる日本史『海洋民族/海洋国家日本の900年の歴史★蒙古襲来から日露戦争までの海の道>―今こそ、第3の鎖国を解き、アジア太平洋海洋国家へ飛躍しようせよー

    2011/11/28 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(637) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(30) 『川上参謀総長のリーダーシップと人事抜擢の要諦』日露戦争前、田中義一をロシアに派遣,徹底調査を命じた(1)

日本リーダーパワー史(637) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(30)   …

no image
「日中韓150年戦争史」(79)日清戦争の「三国干渉」,【腐敗した清国軍の実態】 を現在の<日中ロシア外交>の教訓とせよ

      ◎『外国の新聞、ロシア紙「ノ …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(226)/日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広徳(上)」『 松山で下級武士の子として生まれるが、一家離散に』★『海軍軍人になり、日本海海戦で活躍』★『「此一戦」の執筆を空前のベストセラーとなる』★『 日米戦争仮想記「次の一戦」で、匿名がバレて左遷』★『第一次大戦中の欧米へ視察旅行へ、』★『再び大戦終了後の欧州視察へ、思想的大転換、軍備撤廃主義へ』

 日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広徳② &nb …

『 オンライン講座/自民党を作った吉田茂研究』<国難を突破した吉田茂の宰相力とは・『吉田茂は憲兵隊に逮捕されたが、戦争を防ぐために戦ったというのが本当の政治家。佐藤栄作とか池田勇人とかは政治上の主義主張で迫害を受けても投獄された政治家じゃない。』(羽仁五郎の評価)

 2011/09/22  日本リーダーパワー史(1 …