『日中韓150戦争史』(57)維新直後に外交関係を求めた時、朝鮮側が拒絶したパーセプション(認識)ギャップはこうして起きた。
2015/01/01
『中国紙『申報』などからの『日中韓150戦争史』
日中韓のパーセプションギャップの研究』(番外編)(57)
★「明治維新直後に新政府が朝鮮に外交関係を求めた時に、
朝鮮側が頑強に拒絶した理由――パーセプション(認識)/
コミュニケーション・ギャップはこうして起きた。
<名草杜夫『右翼浪人登場―岡本柳之助の光と影』(草風社刊 昭和1980年刊)
の186-188Pによると次の通りである。
それを政府も悟って、明治二年十二月、外務省出仕・佐田白茅、
森山茂
らを対馬藩士の名を仮りて釜山に派遣して、日韓外交の実際を調査せしめている。
翌三年十月外務省権少丞・吉岡弘毅、外務権大録・森山茂・外務省出仕・広津弘信をその代表と定め、翌四年三月、吉岡らは釜山倭学訓導・安東唆と会見しているが、安東唆は一向に誠意を示そうともしない。
倭学訓導というのは日本語教授の意だが、官職名で日本との交渉の現地担当者であって、日本政府の代表らは釜山から一歩も外に出ることは許されず、東莱府使に会見することすら許されない。
吉岡らはこの様に朝鮮からまともに相手にされないのは、従来よりの対馬藩宗氏の姿勢に問題があるとして、本国に対し、草梁倭館より宗氏家役罷免の断行と、日韓外交に伴う弊習の一掃すべきを-上申している。
外務省では沢宣嘉外務卿宛の佐田白茅からの建議書(明治三年三月)が届いており、佐田の大院君政権の不誠意に対する怒りは、「守を知りて攻を守らず、我を知りて彼を知らず、其の人となり深沈狡猾にして固随傲頑であり、これを覚えて覚えず、これを激して激せざる」へ『朝鮮交際始末』)が故に、断然兵力で膺懲すべしと主張している。
これに呼応する者が外務省の内部にも居て、大いにこの佐田の檄文的な建議書が後の征韓論の台頭に影響している。 佐田は素一郎と通称.久留米の人であり、武人上りである。
たまたま外務省出仕となり釜山に派通されたが、元々は外交官ではない。佐田の激する如く、李王朝には時代を透視する能力もなく、その出先き官吏においては腐敗惰落した者が多く、誠意を以て事に当ろうとする者もなかった。
わけてもその民族風習の相違から来る誤解は、佐田をして更に征韓の決意を固めさせている。
この佐田の朝鮮出兵論に共鳴したのが、外務権大丞丸山作楽であった。
丸山は明治二年十二月,樺太に出張し、ロシアとの紛争問題で談判しているが、強引なロシアの南下政策の前に、国力の伴なわない外交官の哀れさというものをしみじみと味わっている。樺太問題の交渉失敗は丸山個人の責任ではないが、彼は深くそれを遺憾に思っていた。
丸山は釜山から報告される日韓外交の停頓をみて、沢外務卿に佐田案の実行を迫ったが用いられず、遂に在職中、腹心の笹山藩士畑経世を通じ、高知藩士岡崎恭輔、久留米藩士古松簡二ら数十人と結託し、明治三年十二月、軍艦、兵器を購入し、死士を募り朝鮮に上陸する計画を企てている。
翌四年初、事発覚して丸山らは逮捕された。現職の外務省高官が、その職務を利用して・外国に対する政治的暴動を計画した空前の大事件であった。
丸山作楽の犯罪は現官の国事犯として・当時の法律ではその規定なく、之を審理すべき裁判所も設置されていない。一応、司法省に臨時裁判所を設け、玉乃世履判事がその審問に当っている。しかし丸山らは逆に反論し、その裁判闘争を通じて世論喚起に利用したが、丸山は遂に終身禁錮の刑に処せられている。
日本の国内にあっては、朝鮮の開国をめぐって沸騰したが、現地釜山では一行は草梁の倭館で一年余りの月を費したが、交渉は進展せず・朝鮮側は元通り宗氏をつうじてでなければ交渉に応じないと主張して譲らなかった。
明治四年の廃藩置県で、対馬藩もなくなった。外務省は改めて朝鮮外交の行き語り打開のため宗重正を外務大丞に任じ、宗氏の旧臣相良正樹を外務省出仕に命じた。
十二月に相良、森山、広津を朝鮮に派通し、宗重正の任官や廃藩置県で国政が一新されたことを告げ、宗重正の信書を持って交渉に当ったが、朝鮮の態度は相も変らずで、交渉にすら入ることができなかった。
つづく
関連記事
-
-
片野勧の衝撃レポート『太平洋戦争<戦災>と<3・11震災⑦『なぜ、日本人は同じ過ちを繰り返すのか』郡山空襲と原発<下>
片野勧の衝撃レポート 太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災⑦ 『な …
-
-
近現代史の復習問題/記事再録/日本リーダーパワー史(498)-『 2018年は明治維新から約150年、大東亜戦争(アジア太平洋戦争)から73年目を前に― <日中韓の対立激化を戦争へ発展させるな!>
2014年5月13日/ 日本リーダーパワー史(498) & …
-
-
『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーターである』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス>『ハーバード大同窓生・ルーズベルト米大統領の私邸に招かれ、親友づきあいし、トイレを案内してもらった日本人!』★『卓越した英語力とスピーチで広報外交に成功した』
2011/12/24 &nbs …
-
-
記事再録/日本リーダーパワー史(335)『リーダーをどうやって子供の時から育てるかー福沢諭吉の教えー『英才教育は必要なし』★『勉強、勉強といって、子供が静かにして読書すればこれをほめる者が多いが、私は子供の読書、勉強は反対でこれをとめている。年齢以上に歩いたとか、柔道、体操がよくできたといえば、ホウビを与えてほめる』
2012/10/22   …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(178)記事再録/★ 「国難日本史の歴史復習問題」★「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑧』 ★『元勲伊藤博文と巨人頭山満の日露開戦の禅問答』「伊藤さん、あんたは今日本でだれが一番偉いと思いますか」と意外極まる一問を放った。
2017/04/01 /日本リーダーパワー …
-
-
日本メルトダウンの脱出法(544)『人口激減/自衛隊員も警察官も女性が半分の時代』前田康博国際ジャーナリストが語る』
日本メルトダウンの脱出法(544) 人口激 …
-
-
人気リクエスト記事再録『百歳学入門(198)』100歳現役学入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿の秘訣はこれじゃ>『「少くして学べば、則ち壮にして為す有り。壮にして学べば、則ち老ゆとも衰へず。老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」(佐藤一斎)』
100歳現役学入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿の秘訣はこれじ …
-
-
<衝撃深層レポート①>地名学が教える尖閣・竹島の真相はこうだ(上)楠原佑介(地名情報資料室主宰)
<衝撃深層レポート①> 『この地名が危ない!』で注目の地名学者が、 …
-
-
梁山泊座談会★『若者よ、田舎へ帰ろう!「3・11」1周年―日本はいかなる道を進むべきか③』『日本主義』2012年春号
《日比谷梁山泊座談会第1弾》 超元気雑誌『日本主義』2012年春号(3月15日発 …
