前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

民放テレビ局のイラク戦争取材体制―フリーや従軍記者、アラブメディアに依頼       両国の「情報戦」に対応 現地映像使い多面的に

   

1
民放テレビ局のイラク戦争取材体制―フリーや従軍記者、アラブメディアに依頼
両国の「情報戦」に対応 現地映像使い多面的に
<2003 年(平成15 年)4 月13 日 民間放送>
米英軍による3 月20 日(日本時間午前11 時30 分ごろ)のイラク攻撃に始まり、4 月
9 日のバグダッド制圧により、フセイン政権は事実上崩壊したが、この間、民放テレビ
各系列は、イラク周辺への取材陣の配置、米軍への従軍記者の派遣、さらにバグダ
ッド取材はフリージャーナリストの協力を得るなど、さまざまな工夫をこらしてイラク戦
争を報じた。
また、欧米の放送局や通信社だけでなく、アラブ系のメディアからの映像も入手し、多
面的、客観的な報道が心がけられた。
● 従軍取材

各系列が取材班を派遣したのは、ヨルダンの首都アンマン、カタールの首都で米中央
軍司令部のあるドーハ、米軍の出撃拠点のクウェートなど。
一方、従軍記者としては、NNN が米陸軍第3 歩兵師団に記者1 人、カメラマン1 人、
FNN が米軍第101 空てい師団に記者1 人、カメラマン1 人が同行。JNN は米空母ハ
リー・トルーマンに従軍したが3 月25 日でやめた。

従軍は「エンベット」埋め込み)と呼ばれ、事前に取材規則への同意が求められた。
このため、例えば部隊の位置が知られないように携帯電話の使用を何日聞か制限さ
れるなどのケースがあった一方で、作戦目的などのブリーフィングが行われた部隊も
あり、対応は従軍した部隊によって各様だったという。
「空母に従軍した記者は、常時飛行甲板に上がるといった危険なまねをせず、冷静な
取材をしてくれた」 (伊藤友治・TBS 外信部長)など、現地では安全重視の取材が続
けられたという。
●バグダッドから
2
焦点となったバグダッドの取材は、主にフリージャーナリストの協力を得て伝えられ
た。NNN とFNN は現地入りを希望したフリーの記者と事前に、TXN は現地入りしてい
た記者とそれぞれ契約。
JNN とANN は事前契約せず、複数のフリーの記者から適宜協力を得るという形で現
地レポートがこなされた。
世界中の報道関係者が拠点としたパレスチナホテルが8 日、米軍に砲撃された。
日本テレビと契約のジャパンプレスの佐藤和孝さんはこの時、被害を受けた部屋の
隣の部屋にいて、攻撃直後の生々しい状況を伝えた。
このほか、インマルサットを渡し、家族との連絡にも使ってもらうなどの便宜を図った
系列もあった。
●ニュース映像
各系列はロイターやAP TN、CNN など、従来契約していた欧米系に据え、アラブ系
のメディアとも契約し、ニュース映像を入手した。バグダッドからの国定カメラの映像
は、こうした通信社やニュース専門局によるもの。
NNN とANN がアルジャジーラと1 年、JNN がトルコのIHA と1 カ月、FNN はアブダビ
テレビと短期の独占契約を結んだ。
米国、イラク双方による情報戦の展開といった画も配慮し、JNN がガイドライン、
FNN が留意点を作成するなど、情報源の明示、公正な報道が部内に周知・徹底され
た。
特に各局とも頭を悩ましたのが捕虜や遺体の映像の扱い。米国のメディアは米軍
の捕虜の映像を自粛したが、日本の各系列は人権に配慮しっつ必要に応じて映像を
使用。
このため米国大使館からJNN に配慮を求める申し入れが行われる一幕もあった。遺
体の映像はモザイクをかけるなどの対応を行った系列もある。
3
テレビ各系列のイラク取材態勢(4 月1 日現在)
NNN     アンマンに記者2、カメラマン3 を含む計10 人
ドーハに記者2、カメラマン2 を含む計10 人
クウェートに記者1、カメラマン1 の計2 人
JNN     アンマンに記者6、カメラマン4 を含む計15 人
ドーハに記者2、カメラマン1 を含む計8 人
このほか、イラク北部に記者が展開
FNN    中東方面に記者、カメラマンなど30 人ほど
ANN    アンマンに記者3、カメラマン3 を含む計8 人
ドーハに記者1 人
クウェートに記者3、カメラマン2 を含む計6 人
TXN    アンマンに記者2 人、カメラマン1 人
ドーハに記者2 人、カメラマン1 人

 - IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(829)(人気記事再録)『明治維新150年』★『日露戦争勝利の秘密、ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )①』★『日露開戦を決めた御前会議の夜、伊藤は金子に『ルーズベルト工作」を命令』●『伊藤の懇願を金子は拒否、日露戦争に勝てる見込みはないーと伊藤』★『金子サムライ外交官は『スピーチ、リベート決戦」に単身、渡米す。』

日本リーダーパワー史(829)(人気記事再録)『明治維新150年』★ 2011年 …

Z世代へのオープン歴史講座・なぜ延々と日韓衝突は続くのかルーツ研究⑧』★『1894(明治27)年7月13日付『英国タイムズ』★『(日清戦争2週間前)「朝鮮を占領したら、面倒を背負い込むだけ』★『日本が朝鮮を征服すれば,この国が厄介きわまりない獲物であることを思い知らされる一方,中国にはいつまでも敵意を抱かれることになる』

 2014/09/06 /現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルー …

「75年たっても自衛権憲法を全く変えられない<極東のウクライナ日本>の決断思考力ゼロ」★「一方、ウクライナ戦争勃発3日後に<敗戦国ドイツ連邦議会>は特別緊急会議を開き、防衛費を2%に増額、エネルギーのロシア依存を変更した」★『よくわかるオンライン講座/日本国憲法制定真相史②』★『東西冷戦の産物として生れた現行憲法は・・わずか1週間でGHQが作った憲法草案 』

日本リーダーパワー史(356)●『東西冷戦の産物として生れた現行憲法」 『わずか …

no image
『世界サッカー戦国史』⑦『ベルギー戦・西野ジャパンは2-3で惜敗するも大健闘!』★『グローバル化する世界で多民族国家がほとんどの中で唯一の「ガラパゴス・ジャパン」(ほぼ単一民民族国家日本)の永遠の課題がこの試合でよく見えた』

W杯サッカー、西野ジャパンの惜敗するも大健闘!   予選敗退確実とみら …

no image
世界/日本リーダーパワー史(963)ー2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか』②『米中貿易戦争は軍事衝突に発展する可能性はないのか?・』

 世界/日本リーダーパワー史(963) 米中貿易戦争は軍事衝突に発展す …

no image
『オンライン講座/歴代弁護士の奇人ナンバーワンは誰でしょうか?』ー米国伯爵を授けられたと自称した山崎今朝弥(やまさき・けさや)はハチヤメチャ

    2016/07/27 記事再録  …

no image
『オンライン/日本リーダーパワー史講座』★『日本リーダーパワー史(32)』★『 英雄を理解する方法とは―『犬養毅の西郷隆盛論』・・

日本リーダーパワー史(32) 英雄を理解する方法とは―『犬養毅の西郷隆盛論』・・ …

『Z世代のための日韓国交正常化60年(2025)前史の研究講座②』★『井上角五郎は勇躍、韓国にむかったが、清国が韓国宮廷を完全に牛耳っており、開国派(朝鮮独立党)は手も足も出ず、孤立無援の中でハングル新聞発行にまい進した>②』

2016/04/12  日本リーダーパワー史(696)記事再 …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座(47)』★『日露戦争に勝利した伊藤博文の知恵袋・金子堅太郎(農商務相)とルーズヴェルト米大統領の「友情外交インテリジェンス」★『日本海海戦勝利に狂喜した大統領は「万才!」と 漢字でかいた祝賀文を金子に送った』

    2023/06/22 &nbsp …

no image
日本メルトダウン(907)【ヘリコプターマネーの先には地獄が待っている 「GDP600兆円」で始まる高橋財政の悲劇(池田信夫)】◉『[FT]国家連合こそ英国に利益もたらす(社説)』『安倍首相も実践していたリーダーシップの3原則 菅元首相とどこが違うのか?公約違反でも支持率を維持』◉「「杉原千畝通り」誕生、イスラエルとはどんな国? イスラエルを知れば世界が分かる」

     日本メルトダウン(907)   ヘリコプターマネーの先には地 …