前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

<新刊出版> 「日米開戦をスクープした男」(後藤基治著、新人物文庫)を出版、解説を執筆

   

<新刊出版>
 
「日米開戦をスクープした男」(後藤基治著、新人物文庫)を出 

版、解説を執筆

                  
                  前坂俊之
 <国家最高機密の「開戦Ⅹデー」をすっぱ抜く>
  - 大本営陸海軍部発表
 帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋上において米英軍と戦闘状態に入れり -
 昭和十六年(一九四一)十二月八日午前七時のNHKラジオから流れた臨時ニュースとともに、
「東京日日新聞=大阪毎日新聞」朝刊の一面を見た読者は、戦争勃発をピタリと予告した記事に驚いた。この日本の新聞史上に輝くスクープをはなったのが、本書の著者・後藤基治記者である。
 戦争当時のさびしい検問と報道規制の中で、戦時報道に命がけで働いた記者群像を描く感動の第一級ドキュメンタリー。
(解説・前坂俊之)
1SBN978-4-404-03783-1    本体667円
 
  目 次
 
第一章 日米開戦「運命のⅩデー」
    海軍省黒潮会 
    迫り来る日米対決 
    東条内閣成立をスクープ 
    開戦日を追って 
第二章 従軍記者時代
    従軍記者のはじまり 
    北支従軍と徳川航空兵団 
    武漢作戦と遡上艦隊 
     ノモンハン一番乗り 
    激戦に散った佐藤繁記者 
 
第三章 戦地へ赴く報道班員
 
    軍人人種対文人人種 
    報道班員制度の発足 
    大本営発表の裏表 
     マニラ海軍報道部 
    寺内総司令官と山田彦左″ 
    前線の実相と「竹槍事件」 
 
第四章  謎の「海軍乙事件」
パラオ大空襲の朝 
    「Z作戦」は三つあった
     不可解な司令部の夜間移動 
    古賀長官「殉職」の謎 
    「長官」救出の生き証人たち 
「軍機図書」は米軍の手に? 
ゲリラ司令部を陸軍が包囲 
旅団命令を拒んだ大西部隊長 
疑点残した中央の措置 
恩讐こえたクーシン大佐の友情 
 
第五章 翔べ、ルソンの空へ
    マニラの海軍パレード 
    幻の大戦果に陸軍は祝賀会
    間一髪、マニラを脱出 
    腰抜け軍令部″を怒る 
    「対比通信連絡事務局」の発足
    上も下も混迷する台湾現地 
    金沢カメラマン、奇跡の脱出
大東亜省暗号電でルソンと連絡 
救援機、勇躍屏東へ! 
 
第六章 悲劇!救出作戦は打切り
    行手を阻む新型夜間戦闘機 
   悲憤にわく現地ツゲガラオ 
    今日出海氏の生還 
    戸川幸夫記者、捨て身のスクープ
   胴体着陸で内地に還る 
   終戦にもめげず救出はかる 
    決戦報道隊全滅す 
 
解  説
 
                前坂俊之(元毎日新聞記者・静岡県立大学名誉教授)
 
 
 日本の新聞の歴史は約百四十年になるが、そのうちでも最大のスクープといえば、
『毎日新聞』 の太平洋戦争開戦スクープであろう。三重四重のきびしい検閲と報道規
制の中で、国家の最高機密をすっぱ抜いたのである。
 
 太平洋戦争開戦当日の昭和十六年(一九四三)十二月八日午前七時、NHKラジオ
から流れる大本営陸海軍部発表のかん高い臨時ニュースとともに、『毎日新聞』 (当時
は『東京日々新聞』 『大阪毎日新聞』)朝刊の一面を見た読者は驚いた。
「東亜撹乱、英米の敵性極まる」「断乎駆逐の一途のみ」「養進一路・聖業完遂へ」
 の大見出しが躍り、戦争勃発をピタリと予告していたからだ。他の『朝日』 『読売』
                           
ほか各新聞はすべて「戦争」の「戦」の字もなく、まさに晴天の霹靂、寝耳に水の特ダネやあつた。
 日米間に風雲が迫っていた昭和十六年十一月初め、後藤は米内光政の私邸を訪れた。
 
米内邸訪問は、後藤の〝定期便″であり、夜討ち朝駆けである。その頃はまだ政治家の間でも新聞社でも、
戦争突入を予見する気配はなかった。海軍黒潮会の記者連中でも、戦争開始三、回避七ぐらいの見込みだった。
 午後二時に勝手に訪問すると、「よう、あがれよ」ということで、女中の運んでき
た紅茶に、上等のブランデーをたらし込んで一緒に飲んだ。
 
 後藤が「雲行きは、だんだん怪しいんじゃないですか」と突っ込むと、米内は「気違い沙汰だ」と吐き捨てるように言った。
「じゃ、やるんですか」とたずねると、米内は急に「ちょっと厠(トイレ)へ行ってくる」といって、机の上に置いた大きな黒カバンを開けて、
中からザラ紙のファイルを取り出そうとしたまま部屋を出ていった。
 
 後藤は「このファイルを見ろ」の合図だと思い、カバンからそっと抜いてめくると、フィリピン、シンガポール、ジャワなどと書いた
作戦計画書があり、「開戦時期は十二月一日から十日までのⅩ且と書いてあった。戻ってきた米内は「このカバンの中には、
君が見たがっている書類がある。だがこれを見せたら、僕は銃殺、これだよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下本文を読んでください)
                                                                                                http://maechan.sakura.ne.jp/war/data/hhkn/41.pdf

 

 - 戦争報道 , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『リーダーシップの日本近現代史』(319 )★『私の書いた『日本近代化の父・福沢諭吉に関する論考、雑文一覧 』検索結果 239 件(2020/3/20日現在)を一挙公開

 『地球の中の日本・世界史の中の日本人」(前坂俊之オフィシャルサイト) …

no image
<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(211)>「6/8付『エルサレム・ポスト紙(6/8)のキャロライン・グリック女史副編集長の”カタール紛争を 取り巻く諸情勢”に関する分析記事は目からウロコ』★『現カタール首長に反旗を翻すどの様な動きも、イランとの開戦の公算を強める。 』●『エジプトとサウジアラビアがカタールを攻撃するならば、NATO同盟国のトルコとアラブの同盟国が戦争状態になる危険が増幅する』

 <F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(211)>   。『Qat …

『リーダーシップの日本近現代史』(65)記事再録/ 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(55)『三国干渉』後に川上操六はスパイ大作戦をどう組み立てたか『日英同盟締結に向けての情報収集にエース福島安正大佐 をアジア、中近東、アフリカに1年半に及ぶ秘密偵察旅行に派遣した』

    2016/02/25 &nbsp …

『オンライン講座・日本戦争外交史②』★『日露戦争・ポーツマス講和会議②―戦争で勝って外交で敗れた日本』★『今も外交力不足の日本が続いている」★『樺太はこうしてロシアにとられた。ロシアの恫喝・強権・フェイク外交に騙されるな』

第ゼロ次世界大戦としての「日露戦争」 前坂俊之(ジャ-ナリスト) 会議はほぼ一カ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(95)記事再録/『戦うジャーナリスト列伝・菊竹六鼓(淳)』★『日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった稀有の記者』★『明治末期から一貫した公娼廃止論、試験全廃論など、今から見ても非常に進歩的、先駆的な言論の数々』

    2018/06/27 の記事再録 書評『記 …

『オンライン講座/『世界を魅了した最初の日本女性はプリマドンナ・三浦環です』★『バイデン米大統領就任式でのガガの国歌の熱唱を見ながら、1918年11月、第一次世界大戦休戦条約の祝賀凱旋式がニューヨークのマディソン広場で開かれ、ウィルソン大統領の演説直後に三浦環が歌い、大喝采を浴びたことを思い出したのです』』

    2015/11/13日本リーダーパワー史(192) …

no image
★『地球の未来/明日の世界はどうなる』< 東アジア・メルトダウン(1080)>『トランプ対金正恩の「悪口雑言」で米朝開戦 となるのか?』★『ロケットマン×過去最大級の水素爆弾の実験と応酬』●『「第3次大戦の危機もたらす」有力議員がトランプ氏批判 』

  トランプ対金正恩の「悪口雑言」で米朝開戦 となるのか? 「『HUF …

no image
再録『世田谷市民大学2015』(7/24)-『太平洋戦争と新聞報道』<日本はなぜ無謀な戦争を選んだのか、500年の世界戦争史の中で考える>②

『世田谷市民大学2015』(7/24)- 戦後70年夏の今を考える 『太平洋戦争 …

no image
日露300年戦争(1)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真相』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した』

徳川時代の日露関係     日露交渉の発端(ロシアの千島進出と樺太) 以下は『日 …

no image
『オンライン現代史講座/2・26事件とは何だったのか①』-「日本最大のクーデター」2・26事件でトドメを刺された新聞』作家・広津和郎の新聞批判「八百長的な笑い」★『2・26事件の3か月後に起きた阿部定事件、お定は<世直し大明神>と旋風を起こす』

『2・26事件とは何だったのか』(戦時下の愛のコリーダ」 前坂俊之×「2・26事 …