『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の失敗研究』⑱』★『なぜ「黄禍論」は「日本禍」となったか 』★『日本の予期せぬ日清・日露戦争での勝利に恐怖したヨーロッパ』★『皇帝ウイルヘルム2世の「大ダコ(黄色人種)がヨーロッパ(白色人種)を襲 う恐怖図』
2025/11/25
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/11/18am700)
1904 ―05年(明治37-38)に日露戦争が起こった。ヨーロッパは再び、小さな日本が大きなロシアの熊に対し「まったく見通しのない冒険に打って出ようとしている」印象を持った。皇帝ウィルヘルム2世は従弟(いとこ)のロシア皇帝とその国民に対し明らかな共感を表明した。これに関連して、伸び盛りの列強日本をよく知る友人エルビン・ベルツが一九〇三年に記した日記の内容は興味深い。
「この2カ月来、満州と朝鮮をめぐる日露の戦争の危機が高まっている。最近、私は近衛連隊のロシア人士官と知り合いになった。何人かのロシア人は日本人に対し、無条件でそれほど優越しているとみなしていない。それどころか彼は最初の合戦で負けるだろうと認めた。そしてロシア側は旅順では包囲されても泰然としていられるとしても、日本は満州でのゲリラ戦でロシア側を疲弊させようとするだろう。」
一九〇四年から五年にかけて旅順港の奪取と遼陽、奉天(現在の藩陽)におけるロシア軍の壊滅的敗北、更に、日本海海戦でのロシア全滅という意外な出来事が起こった。驚きと恐れはこの間に、ヨーロツパで新たに黄禍の亡霊を再生させた。今度のそれは黄色人種一般ではなく、日本を意味した。振り子は最終的に日本に振れた。
当時のヨーロツパ、特にドイツの日本に対する支配的、優勢な意見は、皇帝ウイルヘルム2世があの記念すべき絵を描かせた時、彼が表現したと信じてぃた。
、●皇帝ウイルヘルム2世の「大ダコ(黄色人種)がヨーロッパ(白色人種)を襲 う恐怖図
その絵には、ブリタニア、ガリア、イタリアなどヨーロツパ民族は女性像として表現され、絵の一方の端の岩の高台に集まって描かれた。彼女たちの前にゲルマニアが立ち、白人の姉妹とともに鎧(よろい)を着て、そこに光が指してぃた。そして深みを指差して、他のヨーロツパ民族に何事か呼び掛けているように見える。しかし底の方の平地では町が盛んに燃えている、そこから岩山の高台に向かってたった一本の避難路が延びている。
硫黄色の薄明りの中から巨大なタコ、紛れもないアジア人の顔をした恐ろしいタコが滑るように進み出てきて、町を、家を、恐ろしい八本の足で巻き付け、むさぼり食った。足が届ぃたところは燃え上がり、全てが灼熱と灰の中に崩れた。絵の下にはこうサインがあった。この絵の中で日本人は「放火謀殺犯」として描かれていた。
「ョーロッパ民族よ、君たちの聖なる財産を守れ!」
それはドイツが白人の兄弟、英国へ与えた警告と考えられた。英国は一九〇三年以来、日本と同盟関係にあったからだ。それは他ならぬ日本に対して向けられたものだった。日本からもそのように解釈された。「黄禍」は「日本禍」になった。
「黄禍論」の風刺画は、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパの国々がアジア(特に日本や中国)の台頭を脅威と見なし、警戒する「黄禍論」を表現したもの。
黄色人種が白色人種を支配する、その文化や価値観がヨーロッパを侵食するという人種差別的な思想を、擬人化や象徴的な図である。その具体的な風刺画としては、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の提唱したこの「ヨーロッパ民族よ、君たちの聖なる財産を守れ!」でヨーロッパの国々がキリスト教の大天使ミカエルの下で団結し、燃え盛る炎の中の仏陀に向かって戦いを呼びかける様子が描かれており、ヨーロッパ諸国に団結と防衛を促す絵となった。
この思想は「Yellow Peril」として欧米に広がり、特にアメリカ合衆国では、中国人移民や日本人移民に対する排斥法が制定されるなど人種差別、民族差別運動を巻き起こした。
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