前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための日本政治史/復習講座』★『ニューヨークタイムズなど外国紙からみた旧統一教会と自民党の50年の癒着』★『ニセ宗教と反共運動を看板に、実質的には「反日霊感ぶったくりビジネス」で「コングロマリッド」(巨大世界企業)を形成』

      2024/05/07

「旧統一教会」(反日強欲カルトビジネス教集団と自民党の癒着問題

「米ニューヨーク・タイムズ」(7月23日付)は「日本の旧統一教会は1976年から2010年までに、米国の同協会に36億ドル(4700億円)以上を送金した。文鮮明氏はこのカネで一大企業帝国、NPOネットワーク、「ワシントン・タイムズ」などのメディア企業を興し、政治的影響力をふるってきた」と報じた。

また、「英ファイナンシャル・タイムズ」は「母国韓国ではスキー、海洋リゾート、ゴルフ、建設、防衛、新聞などの企業を傘下におさめたコングロマリットを建設した」と驚いている。

宗教を反共運動を表看板に、実質的には「カルトビジネス」で一代で「コングロマリッド」(巨大企業)を形成した文鮮明の世界戦略はどのようなプロセスをたどっていきたのか。
  •  もともと、韓国人の約30%がクリスチャンで、キリスト教でも特にプロテスタント系長老派が多く、現世と来世をつなぐ「シャーマニズム」と「韓国特有の恨(ハン)の民族的怨念」とが結合したカルト宗教が「旧統一教会」(世界基督教統一神霊協会)なのである。
  •  
  • その教義は『旧約聖書』のアダムとエバの関係を日韓の主従関係に逆転し、韓国を植民地支配した日本は悪の代表の「エバ国家」であり、韓国は正義を代表する「アダム国家」で日本は韓国への贖罪意識から献金することを義務づけられているとする反日的な教義である。1954年に文鮮明が韓国で創設し、64年に日本で宗教法人の認可を受け68年に「国際勝共連合」を結成した。71年には文鮮明は米国に移住。日米韓を股にかけて世界的な布教活動と政治工作を開始した。
  • 日本で洗脳された多数の信者たちに高額な壺や教義本を売りつける悪徳・霊感商法を資金源としていた。
  •  
  • 1974年、ウォーターゲート事件で大統領弾劾の危機にあったニクソン元大統領を支持して、信者とともに議事堂前で3日間のストライキを実施した。ニクソン氏が文鮮明に感謝の言葉を送ったため統一教会は米国内で一挙に有名になった。しかし、78年に米下院フレイザー委員会は同協会とKCIAの協力関係を指摘した。
  •  
  • 1982年、米国の首都に「ワシントン・タイムズ」を設立。共産主義と戦う保守メディアとして、レーガン、W.ブッシュの2人の共和党元大統領からも、その後のトランプ大統領からも強い支持を受けた。
  • 1980年ごろには数百人の日本人伝道師(信者)を渡米させた。折からの米国での寿司ブームに便乗して鮮魚ビジネスを拡大していった。関連企業の「ルー・ワールド・フーズ」(水産物流通業)が全米の寿司レストランへの水産物輸入、供給ルートをほぼ独占。これがドル箱となりコングロマリットに発展していった。
  • メディアでは右翼系新聞『ワシントン・タイムズ」や「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社」(20数種類の多言語新聞、テレビ、出版社を統括)を設立、日本、韓国では「世界日報」を発行し、メディア工作、政界裏工作を行った。
  • 1991年に文鮮明は北朝鮮を電撃訪問し、金日成と義兄弟の関係を結び、統一教会から北朝鮮に流れた資金は約500億円に上るといわれる。この金が北朝鮮の核開発やミサイル開発に使われたとみられている。
  • 韓国の新聞「ヘラルド経済」(2012年9月3日付)によると、「統一教会は、韓国ではカルト宗教であり、小財閥としても認知されている」と報道。2012年、文鮮明が死亡すると教団と文鮮明の資産が注目を浴びたが、この時点での教団の表向きの資産は約5,6億ドル(約790億円)。系列会社50社以上の総資産は46億ドル(6500億円)、文鮮明の不動産資産は3、8億ドル(540億円)と試算されている。
  • このため、韓国プロテスタント教会は1979年、統一教はキリスト教団体ではないと宣言し、ローマ法王庁も1985年、全世界の司祭や信者に統一教主催行事への参加を禁止している。

ところで、日本側の文鮮明とのパイプ役は岸信介元首相である。東京裁判でA級戦犯だった岸信介は、米ソ冷戦の激化で米国の対日政策が「日本を反共の防波堤にする」と180度の転換したため、米国の反共政策に協力的な人物として、約三年後に釈放された。その後、トントン拍子に総理大臣に登りつめた。戦後最大の政治闘争の60年安保を乗り切るため、岸首相は右翼勢力や反共団体と連携し、文鮮明との関係ができたのもこの時のこと。岸ファミリーの安倍晋太郎外相、安倍晋三元首相と三代続いた「旧統一協会」(1997年に世界平和統一家庭連合と改称)との密接な関係は、その後も続き、安倍長期政権を支える有力団体の1つであり続けた。

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/41506.html

 

9月8日自民党は教会側と接点があった自民党国会議員は、全体の半数近

くの179人(国会議員379人)と発表、自民党と旧統一協会のズブズブの関係が見てとれる。死去した安倍元首相と同協会と関係は調査しないと発表した。

これに対して世論が猛反発。9月16日の時事通信の世論調査では、岸田内閣の支持率は32.3%と急落。毎日新聞の世論調査でも29%と危険水域に入っている。旧統一教会に対する調査の「評価せず」は70%を超えた。

結局、「旧統一教会」が宗教の仮面をかぶり「反日強欲ビジネス教集団」として自民党や米共和党と密着し両国の政治に大きな影響を与えてきた癒着構造にメスを入れなければ、日本の民主政治のレベルアップはできないであろう。

「きき役上手?」の岸田首相の「きき(危機)突破決断力」の見せ所だが、岸田首相、自民党にもそのリーダーパワーも国難突破力もないであろう。予想通り日本興亡史の2回目のどん底に落ちてきた。

『オンライン講義/昭和戦後史の謎』-『東京裁判』で裁かれなかったA級戦犯は釈放後、再び日本の指導者に復活した』★『A級、BC級戦犯の区別は一体、何にもとづいたのか』★『日本の政治、軍部の知識ゼロ、日本語を読めないGHQスタッフ』★『A級戦犯岸信介は首相にカムバックし、右翼は裁かれず、児玉は日本の黒幕フィクサーとして再登場した』

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/41506.html

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

★<新刊予告>前坂俊之著『世界史を変えた「明治の奇跡」』(インテリジェンスの父・川上操六のスパイ大作戦~)海竜社(2200円(+税)、8月上旬刊行)★『 明治維新150年特別企画 張り巡らされるスパイ網、発揮された智謀。日清・日露戦争大勝利の背景には、川上操六の指導力があった!』

新刊予告『世界史を変えた「明治の奇跡」』   ~インテリジェンスの父・川上操六の …

no image
日本メルトダウン脱出法(703)「一方通行の日米安保に米国で高まる不満(古森義久)」「TPPは日本に無益、中国経済圏拡大への対処こそ重要だ(野口悠紀雄)」

   日本メルトダウン脱出法(703) 一方通行の日米安保に米国で高まる不満(古 …

no image
<最強の外交官・金子堅太郎⑧>『外交の極致―ル大統領の私邸に招かれ、親友づきあい、トイレを案内してもらった日本人!』

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑧>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『外交 …

no image
日本リーダーパワー史(402)●『原発廃炉国難に当たり<原発ゼロ>にリーダーパワーを発揮できるのは小泉元首相しかない

    日本リーダーパワー史(402) …

no image
終戦70年・日本敗戦史(77)大東亜戦争開戦「朝日,毎日などの新聞紙面」ーフィリピン戦線ー「ミンダナオ島にも敵前上陸」 「マッカーサー司令官」マニラ退去」

   終戦70年・日本敗戦史(77)  大東亜戦争開戦の「朝日,毎日な …

no image
日本リーダーパワー史(810)『明治裏面史』 ★『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス㉕ 『日英同盟の核心は軍事協定で、そのポイントは諜報の交換』★『日露開戦半年前に英陸軍の提言ー「シベリヤ鉄道の未完に乗じてロシアの極東進出を阻止するために日本は一刻も早く先制攻撃を決意すべき。それが日本防衛の唯一の方法である。』

 日本リーダーパワー史(810)『明治裏面史』 ★『「日清、日露戦争に勝利』した …

no image
「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑦」★『山座円次郎の外交力』●『山座が「伊藤公を叩き殺さにゃいかん」と吠え 伊藤はカンカンに怒った』★『即時開戦論に山本権兵衛海相は「貴様のいう通りだが、戦争には二十億の金が要る、金はどうしてつくるか」と逆襲』

 「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパ …

『Z世代のための昭和史敗戦講座』★『太平洋戦争敗戦(1945/8/15)の日』★『斬殺された森近衛師団長の遺言<なぜ日本は敗れたのかー日本降伏の原因』★『日本陸軍(日本の国家システム中枢/最大/最強の中央官僚制度の欠陥)の発足から滅亡までを 日露戦争まで遡って考えないと敗戦の原因は見えてこない』

    2020/02/02 &nbsp …

『日経新聞(2月10日)は「日銀の黒田総裁の後任に、元日銀審議委員の経済学者、植田和男氏(71)の起用を固めた」とスクープ』★『政治家の信念と責任のとり方の研究』★『<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相(元日銀総裁)を説得、抜擢した』

  2019/10/23  『リーダーシ …

no image
『日中韓150戦争史』(57)維新直後に外交関係を求めた時、朝鮮側が拒絶したパーセプション(認識)ギャップはこうして起きた。

      『中国紙『申報』などからの『日中韓15 …